この記事のサマリー
・「肝が据わる」とは「落ち着いて動じない」こと。
・正しくは「据わる」で「座る」と書くのは誤用なので注意しましょう。
・仕事や日常で頼りになる人を表す、肯定的な褒め言葉として使えます。
突然のトラブルにも涼しい顔で対処したり、ここぞという大舞台で堂々としていたり。そんな落ち着き払った人を見ると、憧れと同時に「自分もそうなりたい!」と思いますよね。
ところで、この「肝が据わる」という言葉、なんとなく使っているけれど、その本当の意味や由来まで説明できますか? 今回は、知れば誰かに話したくなる「肝が据わる」の使い方、そして英語表現まで、とことん深掘りしていきます。
「肝が据わる」の意味を正しく理解する
「肝が据わる」という言葉について、正しい意味を紐解きながら、誤用しやすいポイントを整理してみましょう。
「肝が据わる」の本当の意味
「肝が据わる」とは、「きもがすわる」と読みます。以下が、辞書の引用です。
肝(きも)が据(す)わ・る
落ち着いていてめったなことには驚かない。度胸がある。胆(たん)が据わる。「―・った人物」
[補説]「肝が座る」と書くのは誤り。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「肝が据わる」は、「落ち着いていてめったなことには驚かない。度胸がある」という意味です。大胆さとは少し違い、どんな状況でも動じない心の強さを表現する言葉だといえるでしょう。
「据わる」と「座る」、どう違う?
「肝が座る」と書いてしまう人もいますが、これは間違いです。正しくは「肝が据わる」。
この「据わる」という漢字には「ぐらつかず安定している」「どっしりと落ち着いている」といった意味があります。「度胸が据わる」「性根が据わる」といった使い方をイメージすると分かりやすいでしょう。
一方、「座る」は「腰を下ろす」や「席につく」といった意味で、慣用句の「肝が据わる」には当てはまりません。
メールや文書では、うっかり誤変換しないよう注意したいポイントです。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
憧れの的!「肝が据わっている人」の共通点
「肝が据わっている人」とは、予期せぬトラブルや大事な場面でも慌てず、冷静に対応できる人を指します。
例えば、会議で想定外の質問が飛んできても、焦らず的確に答えを導き出す上司。あるいは、急なアクシデントに直面しても、周囲を安心させるように落ち着いて指示を出す同僚は、まさにその典型です。
こうした人たちには、周囲を安心させる力があります。日常生活でも「肝が据わっている」という評価は、勇気と安定感を兼ね備えた人物像をイメージさせますよね。

「肝が据わる」の類語・対義語をチェック
物事に動じない「肝が据わった」状態を表す言葉は、ほかにもたくさんあります。ここでは代表的な類語と対義語を整理していきましょう。
類語|「腹が据わる」
「腹が据わる」とは、物事に動じなくなり、落ち着いた心で覚悟を決めることを指します。重要な局面で覚悟を固める、意志の強さを示す場面でよく使います。
例えば、「大きな手術を受ける前に、腹を据えて医師の説明を聞いた」のように、強い覚悟を決める場面にぴったりです。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)
類語|「豪胆(ごうたん)」
「豪胆」は、度胸が据わっていて、物事に動じないことを意味します。単に落ち着いているだけでなく、大胆な行動力も伴う人を評する際に使うことが多いです。
難局で斬新な提案をする人を「豪胆な人だ」と表現すると、その勇気ある行動を称えるポジティブな評価になります。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
対義語|「臆病(おくびょう)」「気が小さい」は使い方に注意
「肝が据わる」の反対としてよく挙げるのが「臆病」と「気が小さい」です。
「臆病」は、ちょっとしたことにも怖がったり、しりごみしたりすることを指します。一方「気が小さい」は、小さなことを気にしすぎたり、小心で度量が狭いさまを意味します。
どちらも相手を評価する際にはネガティブに響きやすいため、会話や文章で用いる際は十分に配慮が必要です。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)

「肝が据わる」を英語で表現
日本語の「肝が据わる」を英語で言いたいとき、どんな表現を使えばいいか迷いますよね。「落ち着いている」「度胸がある」といった意味を伝える、代表的な英語表現を紹介します。
“unflappable”
“unflappable”は、危機的な状況でも慌てず、常に冷静でいることができる人を指す言葉です。英国のハロルド・マクミラン首相の人物評から広まり、一般化しました。
例文
“She remained unflappable during the crisis.”
(彼女は危機の最中でも冷静さを保っていました。)
“Feeling unflappable today.”
(今日は何があっても動じない気分。)
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)
“have the guts to do”
“guts”は、口語で「度胸」や「ガッツ」を意味する、とてもカジュアルな表現です。親しい友人との会話や、少しくだけた場面で使えます。
例文
“He has the guts to speak up in any meeting.”
(彼はどんな会議でも物おじせずに発言する度胸がある。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)
“composed”
“composed”は、フォーマルな場面で「落ち着いた」「平静な」と表現する際に適しています。プレッシャーがかかる状況でも、心の乱れがない様子を上品に伝えることができますよ。
例文
“He looked composed even under great pressure.”
(彼は大きなプレッシャーの中でも落ち着いて見えました。)
“Stay composed, no matter what.”
(何があっても落ち着いていよう。)
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)

「肝が据わる」に関するFAQ
ここでは、「肝が据わる」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「肝が据わる」と「肝が座る」は同じ意味ですか?
A. いいえ。
「肝が座る」と書くのは誤りで、正しくは「肝が据わる」です。誤用すると知識不足と見られる可能性があるため注意しましょう。
Q2. ビジネスシーンで「肝が据わっている」と言っても大丈夫ですか?
A. はい。
相手の冷静さや判断力を称える意味で使えます。
Q3. 「肝が据わる」の対義語はありますか?
A. はい。「臆病」「気が小さい」などが対義語にあたります。
ネガティブに響きやすいため、相手を直接評価するときには慎重に用いる必要があります。
まとめ
「肝が据わる」とは、困難な状況でも決して動じない心の強さを表す言葉です。「肝」を据えて、どんな場面でも落ち着いた強さを身につけたいですね。
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