ピーキーの意味とは?
「ピーキー」という言葉、聞いたことありますか? 初めて耳にして意味を検索したら、この記事に辿り着いた、という方もいらっしゃるかもしれません。文字の音の響きからも、平穏でない様子は感じ取れますよね。
この「ピーキ(peaky)」、物の状態に対して使う時と人の性格を表す際に使う時では、意味が異なるんです! 早速、噛み砕いて解説していきましょう。
◆ピーキーの意味「物の状態に使う場合」
物に使う場合の「ピーキー」とは、自動車のエンジンで、トルク(回転軸のまわりの、力のモーメントのこと)は強いけれど、それを発生させる回転域が狭いもののことを指します。
説明を聞いても、ちょっとわかりにくいですよね。レーシングカーや高性能のスポーツカーにみられるものだと理解しておくと、わかりやすいかもしれません。
◆ピーキーの意味「人の性格に使う場合」
辞書には出てきませんが、「ピーキー」は人の性格を表す際にも使われます。上記のようなエンジンの特性になぞらえて、「感情の起伏が激しい人」、「特定の分野でのみ実力を発揮する人」のことを指しますよ。それぞれの特徴についてさらにご説明しましょう。
まず、「感情の起伏が激しい人」については、特定の条件下ではハイテンションだけど、普段は低テンションというように、気分の浮き沈みが激しい人のことを表しています。ある意味、扱いづらい人とも言えますね。
次に、「特定の分野でのみ実力を発揮する人」についてですが、特定の状況下ではものすごいパフォーマンスを発揮するのに、それ以外の分野ではからっきし能力が発揮できない人のことを表しています。つまり、得意不得意のギャップが激しいということです。
◆ピーキーの由来
では、この「ピーキー」という言葉はどのように生まれ、人の状態にまで使われるようになったのでしょうか? 先ほど、「物の状態に使う場合」の解説で、自動車のエンジンのご説明をしましたが、エンジンのパワーの変化をグラフ化すると、普通のエンジンよりも、傾斜が急な山なりになります。
鋭い岩峰(peak)のような形状を示すところから、ついた名称です。そのため、ピーキーは英語でpeakeyと表記されるというわけ。
ピーキーの使い方「人の性格」に使う場合の例文
まずは、人に対して使う場合の「ピーキー」の使用例から。ネガティブな意味で使われることが多いので、ご注意ください。
1:「彼女はピーキーな人だから、一緒にいるとこちらが疲れる」
この例文の「ピーキー」は、感情の起伏が激しいことを表しています。浮き沈みが激しい人と一緒にいると、気を遣う場面がどうしても多くなりがちですよね…。
2:「彼は扱いづらい人物だけど、ITに関してはピーキーだから、上司によっては能力を発揮するかもしれない」
この例文の「ピーキー」は、特定の分野で実力を発揮する人のことを指しています。不得意な部分が多くても、得意分野のある人は強いもの。環境を整えさえすれば、実力を発揮してくれることでしょう。
3:「あなたのピーキーさは、どうにかならないの?」
この例文では、ピーキーな相手に対して、苦情を訴えています。ピーキーな人に振り回されている方は、一度は言いたくなるセリフかもしれませんね。
ピーキーの使い方「物の状態」に使う場合の例文
1:「彼は、いつだってピーキーな車に好んで乗っている」
この例文に出てくる「ピーキーな車」とは高性能ゆえに一般には扱いづらい車のことを指します。操作するには、技術が必要です。一般受けはしませんが、一部のコアなファンからは絶大な人気を誇りますよ。
2:「ピーキーなマシンは、サーキットでこそ活きる」
「ピーキーなマシン」とは、高性能なスポーツカーやレーシングカーのこと。本領を発揮するのは、一般道ではなく、サーキットがメインとなるでしょう。
3:「ピーキー過ぎてお前にゃ無理だよ」
これは、劇場版アニメ「AKIRA」で、金田正太郎(AKIRA)がAKIRAのバイクにまたがった島鉄雄をたしなめた時に発したセリフです。このセリフ後に、鉄雄は「乗れるさ」と言ってAKIRAのバイクに乗りましたが、結局走行中にエンストさせてしまいました。
ピーキーの類語と対義語は?
「ピーキー」という言葉について、大筋は理解できたことと思います。類語と対義語をチェックして、より理解を深めていきましょう。
1:<類語>玄人向け、上級者向け、特化、扱いづらい
元々のピーキーの意味は、高性能ゆえに扱いづらいことでした。誰にでも操作できるものではないので、「玄人向け」、「上級者向け」、「特化」、「扱いづらい」が類語として挙げられます。「扱いづらい」は人に対しても使えますね。
2:<対義語>大衆向け、一般的、汎用、万能
誰にでも扱える、広く用いられる、あらゆることに役立つといったような言葉が対義語に当たります。「一般的」、「万能」は人に対しても使えますね。
最後に
馴染みの薄い言葉だったかもしれませんが、「ピーキー」について伝わったでしょうか? 「限定的な範囲の中で高性能を発揮する」ことを意味していました。
今までは汎用性のあるものが求められてきましたが、人々の趣味嗜好は細分化され、特定の部分に重点を置いた商品が増えています。物だけではなく、人もそうですよね。
それぞれに専門分野が求められる時代です。かといって、ピーキーにはなり過ぎず、他者とのコミュニケーションを上手にとりながら、専門性を磨いていきたいですね。
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