目次Contents
この記事のサマリー
・「ピンからキリまで」とは、「始めから終わりまで」「最上から最低まで」という意味。
・語源は、ポルトガル語もしくはカルタ文化に由来するといわれている。
・類語には、「玉石混淆」や「一から十まで」がある。
「ピンからキリまで」という言葉、よく耳にするけれど「結局どっちが上なの?」と迷いませんか? ビジネスでも日常会話でも使われる身近な表現ですが、意外と語源や正確な意味を知らない人も多いもの。
この記事では、「ピンからキリまで」の意味・語源・使い方をわかりやすく解説します。
「ピンからキリまで」とは? 意味と使い方をわかりやすく解説
まずは、「ピンからキリまで」の意味と使い方を確認しましょう。
意味の基本を正しく理解する
「ピンからキリまで」とは、「始めから終わりまで」「最上のものから最低のものまで」を表す言葉です。
辞書では次のように説明されていますよ。
ピンからキリまで
始めから終わりまで。また、最上から最低まで。ピンキリ。「―さまざまの種類がある」
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
例えば「この店にはピンからキリまで色々な商品がある」といえば、「高級なものから手頃なものまで幅広く揃っている」という意味になります。

「ピンからキリまで」の語源と由来を深掘り
「ピンからキリまで」の語源にはいくつかの説があります。ここでは、複数の説を比較しながら、「ピンからキリまで」を深掘りしていきます。
ポルトガル語「pinta」と「cruz」説
『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)によると、「ピン」はポルトガル語の pinta(点)、「キリ」は cruz(十字架・十字形) が語源ではないかとされています。
花札・カルタ文化との関係
めくりカルタでは「一」を「ピン」、「一二」を「キリ」としたというもの、花札では正月を「ピン」、一二月を「キリ(桐)」と呼びました。これらが定着したという説もあります。
『日本国語大辞典』(小学館)や『角川類語新辞典』(角川書店)ではポルトガル語起源説を主としていますが、確定した語源というものは、今のところないようです。複数の説を知っておくことで、言葉の背景をより立体的に理解できますね。
「ピンからキリまで」はどっちが上? 使い分けのコツ
「ピン」と「キリ」、どちらが上を表すのか―この疑問を検索する人も多いようです。ここでは、その答えを見ていきましょう。
結論:「ピン」が上、「キリ」が下
結論から言うと、「ピン」が上で「キリ」が下です。「ピン」には、第一番、最上のものという意味があります。一方、「キリ」には、最後、もしくは最低のものという意味があります。
先述した語源の一説からも分かるように、花札やめくりカルタで「一」をピン、「十二」をキリと呼んでいたことにも通じますね。

「ピンからキリまで」の使い方を例文でチェック!
意味や語源がわかったところで、「ピンからキリまで」の使い方を見ていきましょう。
「講師のレベルもピンからキリまであるから、選ぶのが大事だよ」
人の能力やスキルに幅があることを表しています。「最上から最低まで」=「レベル差が大きい」という意味での使用ですね。
「家電製品ってピンからキリまであるから、どれを買うか迷うよね」
商品の種類・性能・価格の幅広さを表現しています。「優劣」もありますが、「多様さ」を示す、現代的な使い方でもありますよ。
「彼はプロジェクトをピンからキリまで一人で担当した」
ここでの意味は「最初から最後まで」。「工程のすべてを自分で行った」という意味での使い方です。「一から十まで」「全工程を通して」と置き換えても自然ですね。
「ピンからキリまで」の類語・言い換え表現
シーンによっては「ピンからキリまで」よりも別の表現の方がふさわしい場合もあります。ここでは、意味の近い類語・言い換えを紹介します。
意味の近い慣用句
類語としては「玉石混淆(ぎょくせきこんこう)」「一から十まで」などが挙げられます。
「玉石混淆」は、価値のあるものとそうでないものが混じるという意味。「一から十まで」は、物事の始めから終わりまでを表します。文脈に応じて使い分けることで、語彙の豊かさが際立ちますよ。
フォーマルな言い換え例
ビジネスでは、「幅広いラインアップ」「価格帯に大きな差がある」などと表現すると伝わりやすいでしょう。TPOを意識した言い換えができると、言葉選びのセンスが伝わります。
「ピンからキリまで」を英語で表すと?
グローバルに通じる表現を知りたい人も多いはず。「ピンからキリまで」を英語で言いたいとき、どんなフレーズを使えばいいのかを紹介します。
all sorts of/a wide range of
「あらゆる種類の」「幅広い〜」という意味で使われます。ちなみに、“It takes all sorts.”は英語のことわざで、「世の中にはいろんな人がいるものだ。」という意味がありますよ。主に、変な行為をする人に対して使われます。
例:“There are all sorts of books in this shop.”
(この店にはピンからキリまで様々な種類の本がある。)
from beginning to end
「はじめから終わりまで」を意味する表現です。
例文:He managed the project from beginning to end
(彼はそのプロジェクトをピンからキリまで担当した。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「ピンからキリまで」に関するFAQ
ここでは、「ピンからキリまで」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「ピンからキリまで」はどんな場面で使えますか?
A. 「始めから終わりまで」または「最上から最低まで」を指すときに使えます。
Q2. 「ピンキリ」と「ピンからキリまで」に違いはありますか?
A. 「ピンからキリまで」を略して「ピンキリ」ということがあります。意味は同じです。
ビジネスシーンでは略さず「ピンからキリまで」を使う方が丁寧です。
Q3. 「ピン」と「キリ」、どっちが上?
A. 「ピン」が最上・最初、「キリ」が最下・最後です。
最後に
普段何気なく使っていた言葉ですが、まさかポルトガル語が由来かもしれないなんて驚きですね。カタカナと日本語が混ざっている言葉には、外来語が由来しているパターンも少なくありません。気になる言葉の由来があれば、一度調べてみると面白いかもしれませんね。
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