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「一筋縄では行かない」の意味について
日常会話で「このプロジェクトは一筋縄では行かない」「あの人の対応は一筋縄では行かない」「全く一筋縄では行かないキャラクターだな」というフレーズを聞いたことはありませんか? このように 「一筋縄では行かない」という表現は、日常生活やビジネスなど数多くの場面で使われます。
この記事では「一筋縄では行かない」の意味や使い方、類似表現や英語表現などについて解説しましょう。
まずは「一筋縄では行かない」の意味についてです。「一筋縄では行かない」は、普通のやり方では思うとおりにすることができない、という意味になります。「一筋縄」は一本の縄を意味し、転じて普通の方法や手段などを指すわけですね。
なお「一筋縄では行かない」は、人に対しても使われる表現です。人に対して使う時は、がんこで扱いが難しい人を形容することも。なかなかこちらの思うようには従って動いてくれない、手強い… といったニュアンスでしょうか。中性的な意味で「個性が強い」という使い方もされます。使い方には気を付けましょう。
「一筋縄では行かない」を使った例文
次に「一筋縄では行かない」を使った例文を紹介します。「一筋縄では行かない」は物事や人に対しても使える表現です。例文を実際に使う時の参考にしてみてください。
1:「このプロジェクトは一筋縄では行かないだろう。不確定要素が多すぎる」
「一筋縄では行かない」は物事に対して使える表現です。この例文では、期限が短い、人員不足である、技術的な困難が多いといった理由から成功させるのが難しいプロジェクトに対して、通常のやり方では通用しないということですね。
2:「あの人は一筋縄では行かないぞ。接する時は覚悟することだな」
「一筋縄では行かない」は人に対しても使えますよ。例えば、自分の主張ばかりして人の言うことを聞いてくれない人などに接する時は、神経を使いますよね。そのように、対応に苦慮する人に対して「一筋縄ではない」が用いられることもあるわけです。
3:「あのキャラクターはお茶目で一筋縄では行かない模様だ」
ここでの「一筋縄では行かない」は「扱いにくい厄介な人」というネガティブな意味よりも「個性が強い人」という中性的な意味を含んでいます。個性が強いので、少々の扱いにくさはあるが、かといって厄介な人かというとそうとも言い切れない。文脈によって「一筋縄では行かない」の意味が変化するわけですね。
「一筋縄では行かない」の類語
「一筋縄では行かない」の類似表現には、どのようなものがあるのでしょうか。確認しておきましょう。
1:手強い(てごわい)
強くて油断できないこと。「手強い」は「手強い相手」「思ったよりも手強い」などと使います。
2:一朝一夕(いっちょういっせき)にはいかない
簡単ではない、という意味です。「一朝一夕」はわずかな期間を表します。すぐにできないということで、簡単ではないという意味につながってくるわけですね。「制度の見直しは一朝一夕にはいかない」「財源確保は一朝一夕にはいかない」などと使います。
3:生半可(なまはんか)なことではない
「生半可」は「十分でなく中途半端であること。いいかげんであること」を意味します。それを否定した形ですので「普通ではない、すごい」という意味になりますね。「この仕事をやるのは生半可なことではない」などと使います。
「一筋縄では行かない」の英語表現
「一筋縄では行かない」は英語ではどう表現するのでしょうか。確認しておきましょう。英語には「一筋縄では行かない」を直接表現できる言い回しがないので、「簡単ではない」「やりにくい」といった趣旨の単語で表現することになります。
1:「It’s not easy」
意味としては「簡単ではない」。そのままの表現ですね。
2:「It’s not straightforward」
「straightforward」には「直接的な」「まっすぐ進む」という意味があります。そこから「わかりやすい、単純な」というニュアンスも含まれるようです。したがって「スムーズにはいかない、一筋縄には行かない」という表現になります。
3:「It’s a hard nut to crack」
「nut」は木の実などのナッツのこと。ナッツというのは割るのが大変ですよね。そこから「扱いにくい問題、人」という意味につながります。「hard」の代わりに「tough」を使ってもいいでしょう。
人生は一筋縄では行かない
基本的に、人生というのは一筋縄では行かないものです。仏教の四苦が「生老病死」であるように「生きる」ことそのものが苦労することであるとされています。
実際、何かやろうにも失敗がつきものですし、自分を陥れようとする相手もいます。相対的な優劣をつけられる中で嫉妬心を抱く、悩むといったこともあるでしょう。
このような中で、いかに自分が信じる価値観を確立し、自分が納得できるような人生を歩めるかはますます重要になってくるのかもしれませんね。どのような人生を歩めば「正しい」のかを判断してくれる基準は崩れつつあります。
最後に
「一筋縄では行かない」の意味や使い方などについて見てきました。「一筋縄では行かない」は人にも使えますが、「個性が強い」という意味もあれば「扱いにくい人」という否定的な意味もあります。使う時は気を付けたいですね。「一筋縄では行かない」という言葉を使用する際は、ぜひ本記事を思い出して参考にしてみてください。
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