察するとはどういう意味?
日常会話で「気持ちを察する」「察してほしい」などと言ったりしますが、「察する」とはどういう意味なのでしょうか? なんとなく理解しつつも、はっきりと説明できない方も多いかもしれません。そこで今回は、「察する」の意味や使い方、類語などを解説します。「察するってどういうこと?」と疑問をお持ちの方は参考にしてみてくださいね。
「察する」とは、「物事の事情を推察する」「人の気持ちを思いやる」ことです。具体的に目に見えるものではなく、その場の雰囲気や言葉遣いなどから、「もしかしたら困っているのでは?」などと推察し、了解することを表します。
「察する」ものは、苦労や心労だけでなく単純に気持ちや考えを読み取ることでもあります。「空気を読む」ことと近い表現ですね。「察する」の「察」には、「調べて明らかにする」「推し量る」などの意味があり、「観察」や「視察」「察知」などの熟語にも使われます。
使い方を例文でチェック!
「察する」という言葉は、日常生活で度々使われますが、いくつかパターンがあります。ここでは主な使い方を4つみていきましょう。
1:森の中から何かが近づいてくる気配を察した。
「気配を察する」もよく使われる表現ですね。まだ姿が見えていなくても、物音や空気感などでそこに何かがいると感じることはあるでしょう。感覚が鋭い人や繊細な人ほど、微妙な変化に気付きやすいものです。
2:彼氏は最近目を合わせてくれない。察するところ、何かを隠しているのだろう。
「察するところ」という表現も覚えておくといいでしょう。勘が鋭い人ほど相手の些細な表情や目の動きなどで「いつもと違う、怪しい」と気づくはず。相手が自分の好きな人や恋人なら尚更です。
3:「わざわざ説明しなくても察してほしい」と彼女に言われた。
カップルの会話から時々聞くことがあるセリフですね。親しい仲になればなるほど、相手には多くを望んでしまいがち。こちらから言わなくても気持ちを察してほしいと思うことは誰にでもあることです。しかし、言葉にしなくては伝わらないこともあることも忘れずにいたいですね。
4:兄は先日、高校時代の恩師を亡くした。彼の悲しみは察するにあまりある。
相手に対して共感したいけれども、あまりの状況の悲惨さに同情しても仕切れないことはありませんか? 例えば近親者の死などで悲しむ友人などの気持ちは、想像しても仕切れないと無力感を感じることもあるでしょう。想像する範囲を超えている場合に、「察するにあまりある」は使われます。
類語や言い換え表現は?
「察する」と同じような意味を持つ言葉には、「推測する」「察知する」「勘付く」などが挙げられます。それぞれの意味や違いについてみていきましょう。
1:推測する
「推測」とは、「ある物事をもとにして推量すること」。例えば、事件の犯行現場にある痕跡をもとにして、真相を想像することなどを言います。「察する」は、表情などの数値化できないものから想像することが多いですが、「推測」は具体的なデータをもとに推量する傾向があります。
・犯人の供述から犯行の動機を推測した。
・それは単なる推測に過ぎないよ。
2:察知する
「推し量って知ること」を「察知する」と言います。数値を見て判断する「推測」とは異なり、勘で「こうなのではないか」と気がつくことです。察するは今目の前で起きていることに対して使うことがいいですが、「察知」は物事が起きる前に気づくことが多いようですね。
・その日犯行を行うことを警察は事前に察知していた。
・彼女は恋人の浮気を察知するのが早い。
3:勘付く
「勘付く」とは、「直感的に気づくこと」。相手の行動の怪しさやぎこちなさなどから「もしかしたらこうなのではないか?」と気づくことを指します。勘が鋭いと言い換えることもできますね。
・夫の様子から何かあるとは薄々感づいていた。
・学校をサボったことを母親に勘付かれてしまった。
4:見抜く
表に現れない真実や本質を知ることを、「見抜く」と言います。挙動不審な態度を取る人を見て「嘘をついているな」と気づいたり、恋人の浮気を見抜くなどどちらかというとよくない場面で使われることが多いですね。
・その刑事は容疑者の本心を見抜くのが上手い。
・夫が帰宅してすぐに妻は浮気をしてきたことを見抜いた。
「察する」の敬語表現
ビジネスの場面や目上の人に対して使う場合、どのように使うのが正しいのでしょうか? 「察する」の敬語表現は「お察しになる」、謙譲語なら「お察しする」になります。上司や先輩などの立場の上の人に対して、その苦労を労わりたい場合には、「心中お察しいたします」「ご苦労をお察しします」などと表現するといいでしょう。
ただしこの表現は、相手が深い悲しみや苦しみを抱いているときに使われる表現なので、軽い気持ちで「心中お察しします」などと言ってしまうと、かえって相手の感情を逆撫してしまう可能性もあります。目上の人にはより丁寧な言い方で「ご心労を心からお察しいたします」などを選ぶといいでしょう。相手との関係性やシチュエーションによって、言い換えられるようにしたいですね。
最後に
「察する」とは、「物事の事情を推察する」「人の気持ちを思いやる」こと。言葉で説明しなくとも、その場の雰囲気や相手の態度などから想像して気を遣うのは日本特有の文化であるかもしれません。ビジネスシーンや葬儀では、目上の人に「お察しします」とお悔やみの言葉を述べることもあるでしょう。相手の気持ちに寄り添ったより丁寧な言葉遣いを心がけたいですね。
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