この記事のサマリー
・「二階から目薬」とは、遠回しすぎて効果が出ず、もどかしい状況をたとえたことわざです。
・意味の由来は、二階から下の人に目薬をさすという、思うようにいかない行為にあります。
・類語には「隔靴掻痒」などがあります。
「二階から目薬」という言葉を聞いて、意味をすぐに説明できますか? どこかユーモラスな響きのこのことわざは、実は日常や仕事の場面でも意外と使われています。
遠回しな言い方が通じないときや、効果が出ずにもどかしい状況を表す表現ですが、由来や正しい使い方を知らないと誤解されることも…。
そこで、この記事では「二階から目薬」の意味や成り立ち、使い方のポイントをわかりやすく整理します。
「二階から目薬」とは?
「二階から目薬」の読み方は、「にかいからめぐすり」。意味を辞書で確認します。
二階(にかい)から目薬(めぐすり)
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
2階にいて、階下の人に目薬を差すこと。もどかしいこと、また遠回しすぎて効果がないことのたとえ。
「二階から目薬」は、「物事がうまくいかず、もどかしいこと」「遠回しすぎて効果がないこと」のたとえとして使われます。
二階から下の階にいる人に向かって目薬を指すことは、なかなか困難で、思うような効果が得にくいはず。このことから、もどかしく効果の出にくいやり方のたとえとして使われるようになったといいます。
「二階から目薬」の由来
そもそも「二階から目薬」ということわざは、上方いろはかるたに収録され、広く親しまれた言葉だとされています。
上方かるたとは、江戸時代中期に生まれたかるたで、江戸時代後期にできた江戸かるたよりも歴史があり、それだけに古いことわざも多く含まれているそう。江戸時代の目薬は現在の液体タイプではなく、軟膏のような塗り薬だったため、2階からさすのは不可能だという意見もあります。
一方で、軟膏の入った貝殻に水を加え、浸出液を竹筒などで目にさす方法も行われていたようです。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

使い方を例文でチェック!
「二階から目薬」は、回りくどいやり方でうまく伝わらない時や、遠回しすぎて効果が出にくい時などに使われます。相手に対して「そのやり方だと真意が届きにくいよ」と伝える場面で用いられることもありますよ。実際にどのように使えばいいのか、例文を通して確認していきましょう。
気づきにくい相手に対して、回りくどい言い方をしても二階から目薬だよ。
遠回しな伝え方では、意図が届きにくく、効果が出にくいということですね。
察しやすい相手ならまだしも、ヒントだけでは伝わりにくい相手には、遠回しなやり方が通用しないこともあります。
状況によっては、要点をはっきり伝えた方が早いかもしれませんね。
メールでやり取りしていても二階から目薬になるだけです。今すぐ会って説明してください。
「遠回しすぎて効果がないこと」を意味する例文です。仕事の作業手順や契約の仕方など、複雑な内容をメールでやり取りをしているとかえって、ややこしくなるもの。例文では、メールで何回もやり取りをするよりも、直接会って説明した方が効率がいいと助言しています。
現代では、ZoomやMicrosoft Teamsなど便利な手段もあるので、状況に応じて使い分けたいですね。

類語や言い換え表現は?
ここでは、もどかしさを感じていることを意味する、四字熟語やことわざを3つ紹介します。
隔靴掻痒
「隔靴掻痒」は、「かっかそうよう」と読みます。意味は以下の通りです。
かっか‐そうよう〔カククワサウヤウ〕【隔靴×掻×痒】
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
《「無門関」序から。靴の上から足のかゆいところをかく、の意》思うようにならないで、もどかしいこと。核心にふれないで、はがゆいこと。「―の感」
思い通りにいかなくて、はがゆくじれったいことを「隔靴掻痒」といいます。靴の上から痒(かゆ)いところをかいても、痒さはとれないので、なんとなくモヤモヤとするはず。そこから転じて「核心に触れず、はがゆいこと」を表すようになったようです。
不便を感じ、もどかしさを感じる様子が「二階から目薬」とよく似ていますよね。なお、「靴を隔てて痒きを掻く」は「隔靴掻痒」を言い換えた表現で、どちらも「核心に届かず、もどかしい」という意味です。
(例文)
・彼女の説明は、隔靴掻痒の感がある。
・なかなかテストで100点を取ることができず、隔靴掻痒した。
戸板に豆
「戸板に豆」は、「といたにまめ」と読みます。意味は以下の通りです。
戸板(といた)に豆(まめ)
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
《戸板にのせた豆は転がって扱いにくいところから》なかなか思うようにならないたとえ。
「戸板に豆」は、なかなか自分の思うようにならないことのたとえです。「戸板にごろつく豆」ともいいます。「戸板」とは、雨戸に使う板のことで、雨風を避けたり、防寒の役割がありますが、昔は板を外して怪我をした人を運んだり、物を運ぶ時にも活用されていたとか。
しかし、大きい戸板に小さな豆を載せると、転がって運びにくいことから、「戸板に豆」ということわざができたようです。
(例文)
・ご近所との付き合いというものは、戸板に豆というものだよ。
・思うように話が進まず、戸板に豆だと彼女は嘆いていた。

御簾を隔てて高座を覗く
「御簾を隔てて高座を覗く」は、「みすをへだててこうざをのぞく」と読みます。物事が思うようにいかず、もどかしいことをたとえたことわざです。
「御簾」とは、竹ひごを編んで作られた簾(すだれ)のこと。昔は帝など高貴な身分の方を、直接拝見するのは畏れ多いこととして、御簾を隔てるのが習わしとされていました。
簾を隔てて見る帝の姿は、当然のことながらはっきりとは見えません。目の前にいるはずなのに姿が直接見られずもどかしいということから、転じてことわざとして用いられるようになったようです。
(例文)
・彼女の両親の反対があり、なかなか結婚の話が進まない。御簾を隔てて高座を覗くとはこのことだ。
・御簾を隔てて高座を覗くというように、留学の日程が決まらず困っている。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)、『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)
「二階から目薬」に関するFAQ
ここでは、「二階から目薬」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「二階から目薬」の意味を簡単に言うと?
A. 遠回しで効果が出ず、もどかしいやり方や状況を表すことわざです。
Q2. どんな場面で使うのが正しいですか?
A. 回りくどい説明や間接的な方法では、相手に意図が伝わらない場面で使います。
Q3. 「二階から目薬」はいつ頃から使われていますか?
A. 江戸時代の文献にすでに登場しており、長く使われてきた表現です。
最後に
「二階から目薬」は、上方いろはかるたに収録され、広く親しまれたことわざだとされています。二階から目薬をさす様子を思い浮かべると、意味のイメージがつかみやすいかもしれません。
遠回しすぎて効果が出にくい時や、もどかしい状況を表す際にも使えるので、場面に応じて思い出してみてはいかがでしょうか。
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