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2024.02.29

「二階から目薬」とはどんな意味? ことわざの意味や使い方、類義語を解説

「二階から目薬」とは、「物事がうまくいかず、もどかしいこと」「また、遠回しすぎて効果がないこと」のたとえです。回りくどいやり方をしている人に対して、「そんなことをしても効果はないよ」と忠告する時に使われることも。本記事では、意味や使い方、類語を解説します。

「二階から目薬」ということわざ、ご存知ですか? 今まで見たことも聞いたこともないという方も多いかもしれませんね。馴染みのない言葉ではありますが、二階から一階に向かって目薬をさす様子をイメージしてみると、意味が想像しやすいかもしれません。

そこで本記事では、「二階から目薬」の意味や使い方、似た意味を持つことわざを解説します。

「二階から目薬」とは?

「二階から目薬」の読み方は、「にかいからめぐすり」。意味を辞書で確認していきましょう。

2階にいて、階下の人に目薬を差すこと。もどかしいこと、また遠回しすぎて効果がないことのたとえ。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「二階から目薬」は、「物事がうまくいかず、もどかしいこと」「遠回しすぎて効果がないこと」のたとえとして用いられます。二階から下の階にいる人に向かって目薬を指すことは、なかなか困難で、無意味なことに感じるはず。このことから、もどかしく効果のないことのたとえとして使われるようになったと言います。

そもそも「二階から目薬」ということわざは、上方いろはかるたに収録され、広く親しまれた言葉であるとか。上方かるたとは、江戸時代中期に生まれたかるたで、江戸時代後期にできた江戸かるたよりも歴史があり、それだけに古いことわざも多く含まれているそう。

江戸時代の目薬は現在の液体タイプではなく、軟膏のような塗り薬だったため、2階から指すのは不可能だという意見もあるそうですが、軟膏に水を加え竹筒などで目にさすこともあったようです。

(c) Adobe Stock

使い方を例文でチェック!

「二階から目薬」は、回りくどいやり方をしている人に対して「そんなことをしても効果はないよ」と忠告する時などに使われることが多いです。実際にどのように使えばいいのか、例文で確認していきましょう。

1:鈍感な彼に対して、回りくどい言い方をしても二階から目薬だよ。

恋愛に鈍感な人に、回りくどいやり方でアピールしても意味がないということですね。察しのいい人ならまだしも、恋愛に疎い彼に、自分から告白するように仕向けるような遠回しなやり方は通用しないかもしれません。小手先のテクニックより、ストレートに告白した方が早いかもしれませんね。

2:メールでやり取りしていても二階から目薬になるだけです。今すぐ会って説明してください。

「遠回しすぎて効果がないこと」を意味する例文です。仕事の作業手順や契約の仕方など、複雑な内容をメールでやり取りをしているとかえって、ややこしくなるものです。例文では、メールで何回もやり取りをするよりも、直接会って説明した方が効率がいいと助言されています。

現代では、ZOOMなどの便利な手段もあるので、状況に応じて使い分けたいですね。

(c) Adobe Stock

類語や言い換え表現は?

ここでは、もどかしさを感じていることを意味する、四字熟語やことわざを3つ紹介します。

1:隔靴掻痒

「隔靴掻痒」は、「かっかそうよう」と読みます。意味は以下の通りです。

《「無門関」序から。靴の上から足のかゆいところをかく、の意》思うようにならないで、もどかしいこと。核心にふれないで、はがゆいこと。「―の感」

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

思い通りにいかなくて、はがゆくじれったいことを「隔靴掻痒」と言います。靴の上から痒(かゆ)いところをかいても、痒さが完全にとれないので、なんとなくモヤモヤとするはず。そこから転じて「核心に触れず、はがゆいこと」を表すようになったようです。

不便を感じ、もどかしさを感じている様子が「二階から目薬」とよく似ていますよね。

(例文)
・彼女の説明は、隔靴掻痒の感がある。
・なかなかテストで100点を取ることができず、隔靴掻痒した。

2:戸板に豆

「戸板に豆」は、「といたにまめ」と読みます。意味は以下の通りです。

《戸板にのせた豆は転がって扱いにくいところから》なかなか思うようにならないたとえ。

『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

「戸板に豆」は、なかなか自分の思うようにならないことのたとえです。「戸板にごろつく豆」とも言います。「戸板」とは、雨戸に使う板のことで、雨風を避けたり、防寒の役割がありますが、昔は板を外して怪我をした人を運んだり、物を運ぶ時にも活用されていたとか。しかし、大きい戸板で小さな豆を載せると、転がって運びにくいことから、「戸板に豆」ということわざができたようです。

(例文)
・ご近所との付き合いというものは、戸板に豆というものだよ。
・反抗期の息子が戸板に豆だと彼女は嘆いていた。

(c) Adobe Stock

3:御簾を隔てて高座を覗く

「御簾を隔てて高座を覗く」は、「みすをへだててこうざをのぞく」と読みます。物事が思うようにいかず、もどかしいことをたとえたことわざです。「御簾」とは、竹ひごを編んで作られた簾(すだれ)のこと。昔は帝など高貴な身分の方を、直接拝見するのは畏れ多いこととして、御簾を隔てるのが習わしとされていました。

簾を隔てて見る帝の姿は、当然のことながらはっきりとは見えません。目の前にいるはずなのに姿が直接見られずもどかしいということから、転じてことわざとして用いられるようになったようです。

(例文)
・彼女の両親の反対があり、なかなか結婚の話が進まない。御簾を隔てて高座を覗くとはこのことだ。
・御簾を隔てて高座を覗くというように、留学の日程が決まらず困っている。

最後に

「二階から目薬」は、上方かるたに収録されていることわざです。わざわざ二階から目薬をさす様子を思い浮かべると、ユーモラスで印象に残りますね。ビジネス戦略や仕事のやり方などが、効果的でないことを指摘する際にも使えることわざなので、豆知識として覚えてみてはいかがでしょうか?

TOP画像/(c) Adobe Stock

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