「壁に耳あり障子に目あり」とは
内緒の話をしている時、「壁に耳あり障子に目ありだから気をつけて」のように注意を促されたことはありませんか? ことわざであることはわかるけれど、正しい意味は知らないという人もいるでしょう。
本記事では「壁に耳あり障子に目あり」について、意味や使い方を紹介します。会話で使える言葉なので、ぜひチェックしてください。
意味を確認
壁(かべ)に耳(みみ)あり障子(しょうじ)に目(め)あり
読み方:かべにみみありしょうじにめあり
隠し事をしようとしても、どこでだれが見たり聞いたりしているかわからないということ。秘密が漏れやすいことのたとえ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
他人に聞かれたくない話や噂話、コソコソ話は、意外とバレやすいものであるという意味のことわざです。壁の向こうで誰かが聞いているかもしれない(壁に耳あり)、障子の小さな穴から誰かが見ているかもしれない(障子に目あり)とイメージすると、話をするのを躊躇しますよね。
「壁に耳あり障子に目あり」は、不用意に隠し事を話さないようにという戒めの言葉として使われています。
「壁に耳あり障子に目あり」の使い方
「壁に耳あり障子に目あり」は、会話で登場することが多い言葉。ここからは、この言葉の具体的な使い方を見ていきましょう。まずは「壁に耳あり障子に目あり」を使うシチュエーションを紹介します。
どんなシチュエーションで使う?
「壁に耳あり障子に目あり」を使うのは、表沙汰にできない話をするときです。誰かの噂話や内内で済ませたい話、秘密や密談などが該当すると言えるでしょう。
通常よりも小声で、周囲を警戒しながら話すような場合に、「誰が聞いているかわからないから気をつけて」と相手に注意を促す際に、たとえとして用います。
例文をチェック
「壁に耳あり障子に目あり」の具体的な使い方を見ていきましょう。例文を紹介します。
《例文》その話をここでするのはやめよう。壁に耳あり障子に目ありって言うでしょ?
例文は、内密な話をしようとするけれど、それにふさわしい場所ではないため、話すのをやめようと相手に注意を促すさまを表しています。いくら小声で話したとしても、たくさんの人がいる場所だと誰かが見ているかもしれません。内密の話をする際は、場所を選ぶのも大切です。
《例文》先輩が結婚するのは内緒だったはずなのに、すでにみんな知っている。壁に耳あり障子に目ありとはよく言ったものだ
内緒にして欲しいと念押しした上で打ち明けた話なのに、あっという間に広まってしまうというのはよくあることかもしれません。例文は、人を限定して結婚の報告をしたはずなのに、すぐに話が広まり、周囲に知られたさまを表しています。「壁に耳あり障子に目あり」は、内緒話のはずが周囲に知られてしまった場合にも用いられます。
会話例をチェック
「壁に耳あり障子に目あり」を会話で使う場合についても見ていきましょう。オフィスでAさんとBさんが話しています。
A「例のプロジェクトの件、どうやら部長が動いたらしいよ」
B「そうなの? 意外な展開だね」
A「いろいろあったみたいで、くわしく聞いたの。Bは知っておく方がいいかなと思って。でも、他の人には内緒ね。実はさ…」
B「ちょっと待って。壁に耳あり障子に目ありだ。誰が聞いているかわからないから、場所を変えよう」
大っぴらには言えないことをBさんだけに伝えようとしている会話例です。ビジネスシーンでは、さまざまな事情が絡んで大っぴらにできないことってよくありますよね。オフィスで内緒の話をする際も、場所や状況を選ぶ必要があるでしょう。
「壁に耳あり障子に目あり」と似た言葉
ここからは「壁に耳あり障子に目あり」と似た言葉を紹介します。
「壁に耳」
どこで誰が聞いているかわからないことを表す「壁に耳」。「壁に耳あり障子に目あり」と同じで、密談が漏れやすいことを表すたとえです。意味や使い方は、「壁に耳あり障子に目あり」とほぼ同じと考えていいでしょう。
《例文》極秘情報を聞いたけれど、壁に耳ありだ。当分話さないでおこう
「闇夜に目あり」
「闇夜に目あり」とは、人に知られることなく悪事を働いても、必ず隠していることが表に現れてバレることのたとえ。「やみよにめあり」と読みます。
「闇夜」とは、月のない夜や、暗い夜を意味する言葉。暗闇に隠れているのでわからないと思っても、誰かが見ているかもしれないから、悪事を働くような行為は慎むべきという戒めの意味を持ちます。
《例文》あなたはバレないと思ったのかもしれないが、闇夜に目ありで必ず誰かが見ているものだよ
「耳」「目」に関連する慣用句
ここからは「壁に耳あり障子に目あり」のように「耳」「目」を使った慣用句を紹介します。「口耳四寸の学」「目は口ほどに物を言う」の二つをピックアップしました。
「口耳四寸の学」
聞いたことをそのまま人に伝えるだけの、身につかない学問や受け売りの学問を意味するのが「口耳四寸の学」。「こうじしすんのがく」と読みます。
中国の思想家である荀子が書物で述べた言葉とされており、口と耳との間でする学問の意味が転じて使われるようになりました。
《例文》彼はいつもわかったふうにいろいろ言うけれど、ほとんどが口耳四寸の学ばかり。つっこんだ質問をしても答えられない
「目は口ほどに物を言う」
情のこもった目つきは、口で話すのと同じくらい気持ちを表現するという意味の「目は口ほどに物を言う」。この言葉はよく知られていますよね。本心でないことを話していても、目つきなどから相手にバレてしまうことがあるという意味で使われています。
《例文》彼女が言ったのは本心じゃないだろう。目は口ほどに物を言うというが、目が泳いでいたし、終始ソワソワしていたから
最後に
「壁に耳あり障子に目あり」について、意味や言葉の使い方、似た言葉などを紹介しました。内緒の話ほど、意外と広まってしまうもの。昔からそれは同じだったのかもしれませんね。
知った情報を誰かに話したいと思うのは誰もが同じですが、迂闊に話すと信頼関係が壊れたり、トラブルにつながったりすることも。口外できない情報や、他言無用をお願いされたことに関しては、慎重に対応したいですね。
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