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2025.11.15

「柔よく剛を制す」の意味・使い方・類語|力に屈しない「柔らかさ」を紹介

「柔よく剛を制す(じゅうよくごうをせいす)」とは、「柔弱なものが、かたく剛強なものに勝つ」という意味の四字熟語です。本記事では、「柔よく剛を制す」の意味や生かし方、類語・英語表現、よくある疑問と回答を紹介します。

この記事のサマリー

・「柔よく剛を制す」は柔軟な姿勢で強さに勝つという意味を持つことわざです。
・由来は中国の古典兵法書『三略(さんりゃく)』の一節。
・人間関係やビジネスでの対立回避の参考になります。

ビジネスや人間関係の中で、「強さ」や「正論」を押し通すよりも、「柔らかさ」や「しなやかさ」が驚くほど力を発揮する瞬間があります。その本質を見事に表しているのが「柔よく剛を制す」ということわざです。

この記事では、辞書に基づいた正確な意味や由来をもとに、現代のビジネスシーンにこの知恵をどう生かすかを紹介します。

「柔よく剛を制す」とは?

まずは言葉の正確な意味と、由来を掘り下げていきましょう。

「柔よく剛を制す」の意味

「柔よく剛を制す」は、「じゅうよくごうをせいす」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。

柔(じゅう)能(よ)く剛(ごう)を制(せい)す
《「三略」上略から》しなやかなものは、かたくて強いものの鋭い矛先を巧みにそらして、結局は勝利を得る。転じて、柔弱なものが、かえって剛強なものに勝つ。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)

「柔よく剛を制す」は、「柔軟なものが、かたく強いものに打ち勝つこと」を意味する四字熟語です。

単なる力の強さではなく、柔らかさやしなやかさ、あるいは柔軟な姿勢が、時として強さや頑なさを上回るという考え方を指します。

由来|兵法書『三略』から伝わる古い教え

「柔よく剛を制す」という言葉は、中国の古典兵法書『三略(さんりゃく)』の上略に記された一節「柔能制剛、弱能制強」に由来します。『三略』は、古代中国の軍事思想をまとめた書物で、戦術や人心掌握の方法を説いた兵書です。

古来より、強硬な姿勢だけでは物事を制することはできず、受け入れる心の余裕こそが真の力とされていたことがうかがえます。

辞書
(c)Adobe Stock

現代での「柔よく剛を制す」の生かし方

力で押すだけではうまくいかない… そんなときこそ、「柔よく剛を制す」の真価が発揮されます。ここでは、この言葉が生きる具体的な場を例文で紹介します。

使い方のポイント

「柔よく剛を制す」は、強引なやり方や力任せの姿勢よりも、柔軟な対応や冷静さが功を奏する場面で使います。

例えば、意見が対立した会議で、強硬な提案に対する反発によって議論が平行線をたどっていたとします。

ここで、力でねじ伏せるのではなく、以下のような「柔」の対応を取るのです。

・「まず意見を整理してみましょう」と場をなだめる。
・双方の主張の要点を冷静に再構成する。
・双方が納得できる別の解決策を提案する。

このように、感情的なぶつかり合いを避け、しなやかに対応することで、双方が納得できる結論に至った場面などに使うと非常に効果的です。

「柔よく剛を制す」の例文で使い方をチェック

「柔よく剛を制す」は強引な力よりも、しなやかなアプローチが状況をうまく動かすという意味の四字熟語。ここでは、日常・ビジネスシーンで自然に使える例文を紹介します。

「相手の強い意見に対し、感情的にならずに冷静に話し合いを進めた彼女の姿勢は、まさに『柔よく剛を制す』だった」

気持ちでぶつかるのではなく、落ち着いた態度で相手を受け止めたことで、議論がスムーズに進んだ場面を表しています。

「無理やり説得するより、丁寧に説明する方がうまく伝わる。『柔よく剛を制す』とはこのことかもしれない」

「力で押すより、丁寧な言葉選び」の大切さを示す日常的な使い方です。

「ゴリ押しの営業ではなく、相手のペースに寄り添った提案で契約を取った。『柔よく剛を制す』戦術が功を奏した」

相手中心のアプローチが成果につながった、ビジネスシーンでの活用例です。

柔道
(c)Adobe Stock

「柔よく剛を制す」の類語と英語表現

「柔よく剛を制す」と同じく、力や強硬さよりも、柔軟性や知恵が勝る考えを表す言葉を整理して紹介します。

「和を以って貴しと為す(わをもってとうとしとなす)」

「和を以って貴しと為す」とは、「人と人とが親しく調和することを貴いものとする」という意味です。

「柔よく剛を制す」と同様に、力でねじ伏せるのではなく、思いやりや調和の精神によって物事を治める点で共通します。

「負けるが勝ち」

「負けるが勝ち」とは一見すると不利に見える選択や、目先の勝ち負けをあえて手放すことで、最終的に勝ちを得るという意味のことわざです。

「柔よく剛を制す」は柔軟な力が強さを上回る意味ですが、「負けるが勝ち」は無意味な争いを避ける柔軟さが、結果的に勝利につながることを教えてくれます。

“Soft and fair goes far.”

“Soft and fair goes far.” は、英語のことわざで、直訳すると「柔らかく公平であれば、物事は遠くまで進む」という意味になります。

性急に強く出るよりも、優しく、相手に配慮した態度のほうが人間関係や交渉において効果的であることを示すものです。

参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)

働く男女
(c)Adobe Stock

「柔よく剛を制す」に関するFAQ

ここでは、「柔よく剛を制す」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。

Q1.「柔よく剛を制す」はビジネスでも使えますか?

A. はい。

ビジネスの場面でも、交渉や部下指導などで「柔軟な姿勢がかえって問題を解決する」という意味で使えます。具体的な行動に言い換えて説明すると、より伝わりやすくなりますね。

Q2.スポーツにおける「柔よく剛を制す」の例にはどんなものがありますか?

A. 柔道や柔術の相手の力を利用して技をかけるという発想そのものが「柔よく剛を制す」に影響を受けたものだと考えられます。

参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)

Q3.「柔よく剛を制す」の使い方で避けた方がいい場面はありますか?

A. 力強さや即断が求められる緊急対応などでは、「柔軟さ」がかえって優柔不断に見えるおそれがあります。状況や文脈に合わせて使いましょう。

最後に

「柔よく剛を制す」という言葉は、力に力で対抗するのではなく、しなやかに対応することの大切さを教えてくれます。人間関係やビジネスの場面でも、柔軟な姿勢が思わぬ成果につながることがあります。

自分の強さを誇示するのではなく、状況に応じた対応力を持つことが、真の強さにつながるのかもしれません。日々の選択や行動の中で、この言葉を思い出してみてください。

TOP画像/(c) Adobe Stock

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