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2024.01.06

「柔よく剛を制す」とは? ことわざの意味や使い方、類語を解説

「柔よく剛を制す」は、「柔弱なものが、かえって剛強なものに勝つ」という意味のことわざです。スポーツやビジネスシーンなどで使われています。本記事では、「柔よく剛を制す」の意味や使い方、類語などをチェックしていきましょう。

「柔よく剛を制す」ということわざを聞いたことはありますか? あまり馴染みのない表現かもしれませんが、実生活で役立つ教訓が含まれている言葉です。本記事では、「柔よく剛を制す」の意味や使い方、類語などを解説します。

「柔よく剛を制す」とは?

「柔よく剛を制す」は、「じゅうよくごうをせいす」と読みます。意味を辞書で確認していきましょう。

《「三略」上略から》しなやかなものは、かたくて強いものの鋭い矛先を巧みにそらして、結局は勝利を得る。転じて、柔弱なものが、かえって剛強なものに勝つ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

一見、弱そうな者が強い者に勝利するという意味を持っているのが「柔よく剛を制す」。柔道の用語としても用いられています。柔道の世界では、相手の力をうまく利用し、背の小さい人や力の弱い人でも、大きい人を投げ飛ばすことができます。そのような姿を表現するときに、「柔よく剛を制す」が使われているようです。

辞書
(c)Adobe Stock

使い方を例文でチェック!

「柔よく剛を制す」は、スポーツ以外にもビジネスシーンや人間関係の築き方にも応用できることわざです。「柔よく剛を制す」が、どのような態度や振る舞いを指すのか一緒に見ていきましょう。

1:私は体が小さいけれど、柔よく剛を制すの精神で頑張ります。

柔道や相撲などの競技では、一般的には体格が良く、身長が高い方が有利とされます。そんな中で、小柄な選手や力の弱い人ほど、どうしたら自分より体の大きい選手に勝てるのか研究するもの。力の弱いことを逆手にとって勝ちを取りにいくことを宣言したい時には、例文のように言ってみてはいかがでしょうか?

柔道
(c)Adobe Stock

2:商品のクレームを言ってきたお客様の意見に反論せず、丁寧な対応を心がけたところ、最後はご納得いただけました。柔よく剛を制すとは、こういうことかもしれませんね。

感情的になっている相手に対して、言い訳をしたり、強い口調で言い返してしまうと、より大きなトラブルにつながってしまう可能性も。たとえ相手の態度を理不尽に感じたり、イラッとしても、それを直接ぶつけるのではなく、「そうなのですね」と一度受け入れたり、具体的な解決策を提示することで、うまく収めることができるかもしれません。スポーツだけでなく、ビジネスシーンにも応用したいことわざですね。

3:無理やり従わせようとすると、かえって反発されることもある。人間関係も「柔よく剛を制す」だね。

例文のように「柔よく剛を制す」は、人生の教訓のように使われることもあるでしょう。いくら権力のある人物でも、力でねじ伏せようとすると、時間が経ってから社員にストライキをされるなどの反動が起きることがあります。周囲の意見を聞きつつ、その時の状況に合わせて柔軟な対応を心がけるのが望ましいですね。

類語や言い換え表現は?

「柔よく剛を制す」の類語には、「堅い木は折れる」「柳に雪折れなし」などがあります。あまり聞き覚えのないことわざかもしれませんが、似たような意味を持っているため、言い換え表現として覚えてみてはいかがでしょうか?

1:堅い木は折れる

「堅い木は折れる」とは、「堅いものは折れやすく、逆に柔らかいもののほうがしなって折れにくい」という意味。そこから転じて、人の姿を表すことわざとしても用いられます。例えば、普段頑強な人が大病にかかって倒れたり、強情でストイックな人ほど、いったん気力をなくすと立ち直れなくなってしまうことがあるなど。強い人ほど、かえって脆い一面があるということを言いたい場合に使ってみてはいかがでしょうか?

(例文)
・堅い木は折れると言うけれど、気が強い彼は失恋してから妙にしおらしくなってしまった。
・あんなに元気だった祖父も、まるで堅い木は折れると言うように、祖母の死をきっかけに気力を無くしてしまったようだ。

働く男女
(c)Adobe Stock

2:柳に雪折れなし

「柳に雪折れなし」の意味は、以下の通りです。

柳の枝はよくしなうので雪の重みで折れることはない。柔らかいものは、堅いものよりかえってよく持ちこたえるというたとえ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

柳の枝は、雪が積もっても、しなって振り落とすことができることから「柳に雪折れなし」ということわざができました。こちらも「柔よく剛を制す」のように、柔らかい気質を持っている方が、かえってしぶとく強いという意味になりますね。

(例文)
・柳に雪折れなしって言うし、案外繊細な性格のAさんの方が出世するかもしれない。
・すぐに意見を変える弟の方が意外と変化に強い。柳に雪折れなしとはこのことだ。

3:歯亡び舌存す

「歯亡び舌存す」とは「はほろびしたそんす」と読みます。意味は以下の通りです。

《「説苑」敬慎から》剛強なものは滅びやすく、柔軟なものは残ることのたとえ。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用

こちらのことわざは、中国の説話集に載っている話が元となっています。昔、老子が友人の病気を見舞った時、友人の歯が抜けてしまっているのを見て、「舌があるのは柔らかいためで、歯が落ちたのは堅いからだ」と言ったとか。このことから、柔軟なものが最後まで生き残ることのたとえとして使われるようになったとされています。

(例文)
・歯亡び舌存すというように、一見弱いものがしぶとく最後まで残ったりするものだよ。
・肉食動物よりも、雑食や草食動物の方がいざという時に食料に困らないね。歯亡び舌存すとはこのことだ。

最後に

「柔よく剛を制す」とは、「一見弱そうなものの方が、かえって剛健なものよりも強い」という意味。体が小さいことや気が弱いことはデメリットとして捉えてしまいがちですが、見方を変えれば、競技する上で小回りが効いたり、共感力があるなどの長所でもあります。

力の強いものには、力で対抗するのではなく、相手の力をうまく利用したり、受け流すことで有利な立場に逆転することもあるでしょう。自分の弱みを強みに変えていけたらいいですね。

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