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この記事のサマリー
・「目と鼻の先」は距離の近さを示す慣用句です。
・「目と鼻の先」はビジネス会話でも使える表現です。
・類語には「目睫の間(もくしょうのかん)」や「指呼の間(しこのかん)」などがあります。
距離がとても近いことを表す際に使う「目と鼻の先」。耳なじみのある表現ですが、改めて意味を問われると迷う人も多いかもしれません。そもそも、どれくらいの距離を示す言葉なのでしょうか?
さらに、日常やビジネスの場面で正しく使えるのかを理解しておくと、表現の幅が広がります。
この記事では、辞書の記述に基づいて「目と鼻の先」の意味や使い方を整理。さらに具体的な例文とともに、関連する慣用句も紹介します。
「目と鼻の先」の意味と距離
まずは「目と鼻の先」について、辞書の定義と読み方を確認し、誤解のない形で活用できるよう整理しましょう。
「目と鼻の先」の意味
「目と鼻の先」は、「めと はなの さき」と読みます。辞書には、以下のように書かれています。
目(め)と鼻(はな)の先(さき)
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
目と鼻との間のように距離が非常に近いこと。目と鼻の間(あいだ)。「ここから駅は―だ」
「目と鼻の先」は慣用句で、二つの間の距離がきわめて近いことのたとえです。
どれくらいの距離を指す?
「目と鼻の先」が示す距離は、明確な数値として定義されているわけではありません。目と鼻の間のような、ごく近い距離を比喩的に示しているため、数値化はできない表現です。
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)

「目と鼻の先」の使い方と例文
距離の近さを強調したいとき、「目と鼻の先」は比喩的な表現として便利です。具体例とともに、自然な使い方を確認しましょう。
「近所の公園は、家から目と鼻の先にあります」
道案内では、距離がごく近い場面で用いると、相手に位置関係が伝わりやすくなります。
「担当部署は、このフロアの目と鼻の先にあります」
ビジネスでも、相手に場所を簡潔に示したいときに使えます。口頭での説明や、簡単なメールなどでも取り入れることができる表現です。
「目と鼻の先」の類語や言い換え表現は?
「目と鼻の先」と同じような意味を持つ言葉が「目睫の間」「指呼の間」です。あまり聞き馴染みのない言葉なので、この機会に類語として覚えてみてください。
「目睫の間(もくしょうのかん)」
「目睫の間」とは、距離や時間がきわめて近いことを意味する言葉です。「睫」は、「まつ毛」のこと。
文章表現での使用が多い言葉です。
例文:「目的地までは目睫の間です」
「指呼の間(しこのかん)」
「指呼の間」は、呼べば答えが返ってくるほど近いことを示します。こちらも文章での使用が多い表現です。
例文:「支店は本社から指呼の間にあります」
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)、『角川類語新辞典』(角川書店)

英語ではどう表現する?
英語にも「目と鼻の先」を示す表現があります。
まず、“at a stone’s throw” は、「石を投げれば届くほど近い」という比喩です。
例文:“The café is at a stone’s throw from here.”
(このカフェはここからすぐ近くにあります)
また、“around the corner” は「すぐ近くに」という意味で、日常でもよく使う表現です。
例文:“Our hotel is around the corner from the museum.”
(私たちのホテルは博物館のすぐそばにあります)
また、“within walking distance of …”(歩いて行ける距離に)や “within shouting distance of …”(呼べば聞こえる距離に)などの表現もあります。
例文:
“The school is within walking distance of my house.”
(その学校は私の家から歩いて行ける距離にあります)
“The cabin is within shouting distance of the lake.”
(その小屋は湖から呼べば聞こえるほどの近さにあります)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』、『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)
他にもある! 目や鼻を使った慣用句
「目と鼻の先」と同じように、身体の部位を使った慣用句には、状況や人物の特徴を端的に表すものが多くあります。意味を整理しておくと、表現の幅が広がりますよ。
「目から鼻へ抜ける」
「目から鼻へ抜ける」は、非常に頭の働きのいい様子や、抜け目なくすばしこい様子を表します。
例文:「加藤さんは目から鼻へ抜けるように気付きが早く、提案が的確です」
「目鼻が付く」
物事の、おおよそが決まることを「目鼻が付く」と表現します。
例文:「企画の方向性に目鼻が付いたので、次の工程に進みます」
「長い目で見る」
「長い目で見る」は、気長に将来を見守る意味の言葉です。現状だけで判断を下さない、おおらかな視点を示す言葉だといえます。
例文:「新入社員の成長は長い目で見ることが大切だと感じています」

「目と鼻の先」に関するFAQ
ここでは、「目と鼻の先」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「目と鼻の先」はビジネスでも使えますか?
A. 距離感を伝える際に使えます。
Q2. 時間の近さにも使えますか?
A. いいえ。距離のみを表します。
例えば「締め切りが目と鼻の先」など時間に使うのは不自然でしょう。
Q3. 「目と鼻の間」という表現も使えますか?
A. はい。
「目と鼻の先」と同じく、距離が非常に近いことを示す慣用句として使います。
最後に
「目と鼻の先」は、距離の近さを感覚的に伝えることができる便利な慣用句です。類語や英語表現と合わせて覚えておくことで知識を広げ、場面に応じた適切な言葉選びに役立ててください。
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