人から「家からはどのくらい近いの?」と尋ねられた時に、「目と鼻の先の距離ですよ」などと答えたことはありませんか? 普段会話の中で使われる表現ですが、「目と鼻の先」とはどんな意味なのでしょうか。そこで本記事では、「目と鼻の先」の意味や使い方、類語、体の部位を使った慣用句を解説します。
「目と鼻の先」の意味
「目と鼻の先」は、「めとはなのさき」と読みます。意味を辞書で確認してみると、
目と鼻との間のように距離が非常に近いこと。目と鼻の間(あいだ)。「ここから駅は―だ」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
と記載されています。2つの間の距離が極めて近いことのたとえとして、顔のパーツである「目」と「鼻」が使われるのは面白いですね。友人や同僚などとの雑談の中で使われることが多いでしょう。
使い方を例文でチェック!
友人や仕事仲間との会話の中で、「目と鼻の先」を使うこともあるはず。ここでは、日常生活でよくある例を3つ紹介します。
1:幼馴染のAちゃんの家は、私の実家と目と鼻の先にある。
私の実家とAちゃんの家の距離が、非常に近いということですね。もしかしたら、お互いの家の窓から見えるくらいの距離かもしれません。「目と鼻の先」は非常に近いことを表しますが、具体的に何メートルなどの決まりがあるわけではないようです。
2:近所のスーパーは私のマンションから目と鼻の先にあるが、疲れすぎて行く気にもなれない。
行きたいお店ががとても近いところにあるにも関わらず、そこさえいくのも億劫だ… と思ったことはありませんか? 特に残業などで疲れている時は、家から一歩も出たくないと考えてしまうかもしれませんね。
3:山頂まで、あと目と鼻の先だから頑張ろう!
山登りなどで、「目的とする地点まであと少し!」ということを伝えたいときには、例文のように声をかけることもあるでしょう。へとへとに疲れている仲間たちも、その掛け声を聞いて「もうちょっとだから頑張ろう」とやる気になれるかもしれませんね。
類語や言い換え表現は?
「目と鼻の先」と同じような意味を持つ言葉が「目睫の間」「指呼の間」です。あまり聞き馴染みのない言葉なので、この機会に類語として覚えてみてください。
1:目睫の間
「目睫の間」は、「もくしょうのかん」と読みます。意味は以下の通りです。
距離や時間がきわめて近いこと。「―に迫る」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「目睫」とは、「目」と「まつ毛」のこと。目と鼻以上に緊密であることが想像できますね。もっとわかりやすく言えば、「ごく近く」などと言い換えられますよ。
(例文)
・幼馴染の家は、実家と目睫の間だ。
・原稿の締め切りまで目睫の間に迫っている。
2:指呼の間
「指呼の間」は「しこのかん」と読み、「呼べば答えが返ってくるほど近い距離」を表します。「指呼」は、「指を指して呼ぶこと」。会話の中では、「すぐそこ」「目前だ」などというような近い距離を指しますね。
(例文)
・目的地まで指呼の間だから頑張ろう。
・同僚の佐藤さんとはデスクの距離がとても近く、まさに指呼の間だ。
「目」や「鼻」を使った慣用句
顔の部位を使った慣用句はたくさんあります。ここでは、「目」と「鼻」に焦点を当ててみていきましょう。ビジネスシーンでも使える表現をピックアップしました。
1:目から鼻へ抜ける
「目から鼻へ抜ける」の意味は以下の通りです。
非常に頭の働きのよいさま。また、抜け目なくすばしこいさまをいう。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「目」と「鼻」両方が使われている慣用句がこちら。賢くて抜け目がない人のことを、「彼女は目から鼻へ抜けるようだね」と言ったりします。
(例文)
・加藤さんの目から鼻へ抜けるような対応に感心してしまいました。
・れいこちゃんは目から鼻へ抜けるように賢い子で、将来が楽しみですね。
2:目鼻が付く
「目鼻が付く」の意味も見ていきましょう。
物事の大体のところが決まる。おおよその見通しが立つ。「計画の―・く」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
目と鼻があるべきところにきちんとあって、整っているということから、転じて物事がほぼ出来上がることを表します。ビジネスシーンでは、「予算の目鼻が付く」などと表現することもできますね。
(例文)
・計画の目鼻が付いたし、ひとまず安心だ。
・イベントまでの目鼻が付いたので、今度話し合いましょう。
3:長い目で見る
「長い目で見る」の意味を見ていきましょう。
現状だけで判断を下さず、気長に将来を見守る。「新人の成長を―◦見る」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「長い目で見る」は、すぐに判断を下さず、時間をかけて見守ること。一度や二度の失敗で人の評価をすることなく、気長に見守っていこうとする姿勢を表します。採用時や新人教育の現場などで使いやすい慣用句ですね。
(例文)
・新入社員のAさんはまだ不慣れなところもあるが、長い目で見ていこう。
・「息子さんの将来は、長い目で見てあげてください」と担任に言われた。
最後に
「目と鼻の先」とは、2つのものの距離が非常に近いことを表す慣用句です。身近な「目」と「鼻」を使うことで、誰でも「とても近い距離なんだな」と理解することができますね。「どこくらい近いの?」と聞かれた時に、「目と鼻の先にありますよ」などと答えてみてはいかがでしょうか?
TOP画像/(c)Adobe Stock