この記事のサマリー
・「鬼が出るか蛇が出るか」は、次に何が起こるか予測できない不安な状況を表すことわざです。
・読み方は、「おにがでるか じゃがでるか」です。
・からくり人形師の口上が由来とされています。
「鬼が出るか蛇が出るか」という言葉を耳にしたことはありますか? 次に何が起こるのか分からない、不安や緊張を含んだ場面で使われることわざです。
この記事では、「鬼が出るか蛇が出るか」の読み方や意味、由来、使い方の注意点までを丁寧に解説します。大人の語彙力を磨きたい人や、場面に合った言葉を使いたい人におすすめです。
意味・読み方・使いどころを押さえる
まずは、「鬼が出るか蛇が出るか」という言葉の読み方や意味、そして日常やビジネスでの使いどころを整理しましょう。
読み方と意味
「鬼が出るか蛇が出るか」の読み方は、「おにがでるか じゃがでるか」です。ここで注意したいのが「へび」と誤読しやすい点。辞書でも明記されているように「蛇(じゃ)」と読みます。
意味は、次にどんな事態が起こるか分からない、予測不能で不気味な状況を表すことわざです。
辞書では次のように説明されています。
鬼(おに)が出(で)るか蛇(じゃ)が出(で)るか
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
前途にはどんな運命が待ち構えているのか予測できない。鬼が出るか仏(ほとけ)が出るか。
[補説]からくり人形師の口上から出た語。
使えるシーンと使わない方がいい場面
例えば「今日のプレゼン、鬼が出るか蛇が出るかだね」といえば、これからの結果が未知数な状況を軽妙に表現できます。SNSでも「この先どうなるか… 鬼が出るか蛇が出るか」と添えれば、緊張感を和らげつつユーモラスに伝えられるでしょう。
ただし、人を評価する文脈で「あなたの提案は鬼が出るか蛇が出るかですね」などと言うのはNG。相手を不安にさせたり、皮肉に聞こえたりする恐れがあります。あくまで「自分ごと」や「状況」への比喩として使うのが適切でしょう。

由来や語源に迫る
言葉の深みは、その背景を知ることでいっそう際立ちます。「鬼が出るか蛇が出るか」という表現がどこから生まれ、どのように意味づけられてきたのか…。鬼・蛇という存在が持つ象徴性を手がかりに、この言葉のルーツについて迫っていきましょう。
からくり人形師の口上から生まれた言葉
このことわざは、からくり箱を胸にかけた、からくり人形師が観客に向かって語った口上が起源とされています。人形師が箱を使った演出のなかで、「鬼が出るか蛇が出るか」と語りかけ、次に何が現れるのかというドキドキ感を煽ったのです。
つまり、「次の展開が予測できない」不安や期待を、そのまま言葉にした表現だといえます。明治・大正時代の小説などにも登場しており、当時の娯楽文化とも密接に関わる言い回しです。
鬼と蛇が象徴するもの
「鬼」や「蛇」は、日本の伝承や信仰において恐ろしく不気味な存在として登場することが多くあります。『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館)の補説にもあるように、どちらも「人にとって突然現れて困るもの」の代表格。
実際、蛇は地域によっては神聖視されることもありますが、この表現においては鬼も蛇も、どちらが出ても怖い・得体が知れない存在というニュアンスが強く表れています。
同じ意味を持つ言葉として、「鬼が出るか仏が出るか」もありますよ。
現代語としてどう受け継がれてきたか?
「鬼が出るか蛇が出るか」は、現代でも文学作品やドラマ、小説などでしばしば引用されています。例えば、黒岩涙香の『幽霊塔』や菊池寛の『真珠夫人』など、明治・大正期の文豪たちの筆にもこの表現が登場しています。
現代では、SNSやプレゼン資料のキャッチコピー、広告タイトルなどでも使われ、「展開が読めない面白さ」や「期待と不安の入り混じる感情」を端的に伝える言葉として受け継がれています。場の雰囲気を少し和らげたいときにも効果的です。

類語や言い換え表現、英語表現は?
「鬼が出るか蛇が出るか」という表現を理解したら、次は言い換えや英語表現などをチェックして、語彙の幅を広げてみましょう。
類語・対義語からニュアンスを整理する
類語には「吉と出るか凶と出るか」や「当たるも八卦当たらぬも八卦」などが挙げられます。いずれも結果が読めない不確実な状況を示す表現です。
「鬼が出るか蛇が出るか」はその中でも特に、不気味さや不安感が強調された言い回しといえるでしょう。
一方で、対義語には「火を見るより明らか」「明々白々」など、予測が容易な状況を表す言葉が挙げられます。シーンに応じて適切に使い分けましょう。
英語表現
「鬼が出るか蛇が出るか」の英語表現としては、慣用表現 “You never know what will happen.”(何が起こるか分からない)が挙げられます。
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「鬼が出るか蛇が出るか」に関するFAQ
ここでは、「鬼が出るか蛇が出るか」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「鬼が出るか蛇が出るか」の正しい読み方は?
A. 「おにがでるかじゃがでるか」と読みます。
「へび」と読んでしまいがちですが、正しくは「じゃ」と読む点に注意しましょう。
Q2.「鬼が出るか仏が出るか」との違いはありますか?
A. 大きな意味の違いはありません。どちらも「次に何が起こるか分からない」という不確実性を表します。
Q3.現代でも実際に使われている言葉ですか?
A. はい。日常会話だけでなく、SNSの投稿やビジネスシーンでも使われています。
最後に
「鬼が出るか蛇が出るか」の意味や使い方を正しく理解すれば、表現の幅が広がり、会話や文章に深みが出ます。ぜひこの記事で得た知識を、日々のコミュニケーションに生かしてみてください。
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