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2024.03.12

「火を見るより明らか」は正しい言い方? 語源や英語表現も紹介

「火を見るより明らか」とは、「疑いようがなく、極めて明らかであること」。一般的に、悪い結果が予想される時に使います。本記事では、「火を見るより明らか」という言葉について、語源、間違いやすい使い方、正しい使い方の例文、言い換え、英語表現まで幅広く解説。

みなさんは、「火を見るより明らか」と言いますか? それとも「火を見るように明らか」と言いますか? また、なぜ「火」なのでしょうか…? 聞いたことはあるけれど、改めて考えると知らないことも多い「火を見るより明らか」という言葉。この機会にじっくり深掘りしてみましょう!

「火を見るより明らか」の意味や語源は?

まずは、「火を見るより明らか」について、言葉の意味や語源など、基本的な知識を改めて確認していきます。

読み方

読み方は、そのまま「ひをみるよりあきらか」です。

意味

意味は、「疑いようがなく、極めて明らかであること」。一般的に、悪い結果が予想される時に使います。

語源

語源は、中国の古典である『書経』から。地方政治がうまくいかない殷(いん)の国王、盤庚(ばんこう)が、各地から諸侯を集めて話した言葉にあります。「地方政治がうまくいかない理由は、私に徳がないからではなく、お前たちの愚かさのせいであるというのは、火を見るより明らかだ」。このセリフが元となり、日本でも「火を見るより明らか」という言葉が使われるようになったそうです。

(c) Adobe Stock

正しいのはどっち? なぜ「火」なの?

基本的な知識を確認したところで、さっそく気になる「間違った使い方」や、なぜ「火」なのかについても、解説します。

正しいのは「火を見るより明らか」

「火を見るより明らか」と言う人もいれば「火を見るように明らか」と言う人もいるのではないでしょうか? 実は、「火を見るより明らか」が正しく、「火を見るように明らか」は間違いです。

間違った使い方をする人は多い

しかし、間違った使い方をする人は多く、文化庁が毎年行なっている「国語に関する世論調査」においても、平成20年度に「火を見るより明らか」について調査が行なわれています。結果は、「火を見るより明らか」を使う人は71.1%、「火を見るように明らか」を使う人は13.6%、両方使う人は2.3%でした。

参考:文化庁ホームページ

「火」である明確な理由は分からない

なぜ、「明らか」であることの例えに「火」が使われたのでしょうか? 他のものではだめだったのでしょうか? なぜ「火」であるかという点については、複数の説があり、正確なことは分からないというのが実際のところです。

災難のイメージ、占い、「日」

「火事」や「火のないところに煙は立たない」ということわざなど、古くから「火」は災難をイメージするため、「火」が使われたという説や、占いで火を使っていたという説も。のちに詳しく解説しますが、英語でも同じような意味を持つ表現があり、そこでは「day」つまり「日」が使われています。これがいつのまにか「火」になったという説もありました。

「火」以外のものはどう?

「火」ではなく他のものではだめだったのか? という疑問に対しても考えてみましょう。「水」の場合、見た目はただの透明な液体で、見ただけでは塩水やお酒と区別ができません。「木」は様々な種類がある上に、同じ品種であっても、生え方や色など、全く同じ木は1本としてありませんね。「土」も同じです。さまざまな色や質感などがありますし、型を使って形を変えることもできてしまいます。

その点、「火」は、変わらず、火以外の何物でもない「明らかなもの」であり、例えに使うには最適だったのでしょう。

使い方を例文でチェック!

「火を見るより明らか」について深掘りできたところで、次は正しい使い方を例文を用いてチェックしていきましょう!

(c) Adobe Stock

1:彼が留年することは、火を見るより明らかだ

冒頭で説明した通り、「火を見るより明らか」という言葉は、悪い結果が予測される時に使われるもの。留年や落第など、「失敗」や「よくないこと」と一緒に使い、「成功」や「いいこと」とは一緒に使いません。つまり「彼の昇進は火を見るより明らか」と言うのは間違いです。

2:彼女の試合結果は、火を見るより明らかだ

この例文には、試合結果が良かったか悪かったか書かれていません。しかしこれも正しい使い方の一つ。結果の内容が明確にされていなくても、悪い結果が予想される時に使われる言葉である「火を見るより明らか」を使うことで、結果が「悪かった」と推測できる文章になっています。

類語や言い換え表現は?

「火を見るより明らか」は、少し長くて、普段は使いづらいかもしれませんね。類語や言い換え表現についても確認しておきましょう。

1:明明白白

明明白白は「めいめいはくはく」と読み、明々白々とも書きます。意味は、はっきりしていて、疑いがないこと。「明明白白な〜」、「明明白白たる〜」、のように使います。

2:一目瞭然

一目瞭然の読みは「いちもくりょうぜん」。一目見ただけで、はっきりと分かるさま、を意味します。「〜は一目瞭然だ」というフレーズは、聞いたことがあるのでは? 明明白白よりも、聞き馴染みがある四字熟語ですね。

3:言わずと知れた

「言わずと知れた」とは、「言われなくても分かり切った」という意味の言葉。似た言葉で「言わずもがな」がありますが、「言わずと知れた」と同じ「言うまでもなく分かる」という意味の他にも、「言わないほうがいい」という意味があります。

英語表現は?

最後に、英語表現をチェックしておきましょう。「火を見るより明らか」と同じように、英語にも「極めて明らかであること」と意味するイディオムが存在します。

(c) Adobe Stock

1:as plain as day

as plain as dayは「極めて明白」「一目瞭然」を意味する言葉。plainは「無地な」「質素な」という意味がよく知られていますが、「明白な」という意味も持ちます。

dayは「日」を意味し、ここでは特に夕方から夜までの暗い時間帯であるnightと対比して、明るい日中を意味する「日」をイメージするといいでしょう。plainはclear、dayはdaylightとも言い換えることが可能です。

2:obvious

obviousは、「明白な」「疑いようがない」という意味の言葉。この言葉を使えば、「火を見るより明らか」の意味と同じ表現ができますよ。obviousの前にperfectly、completely、absolutelyなどの副詞をつければ、obviousの「明白な」という意味をさらに強めることが可能。

最後に

「火を見るより明らか」という言葉について、語源や正しい使い方、言い換えや英語表現まで解説しました。中国の古典に語源があり、英語でも同じようなイディオムがあることを知ると、言葉は世界のどこかでつながっていることを感じますね。

TOP画像/(c)Adobe Stock

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