子は鎹の意味や由来
「子は鎹」は、夫婦の仲が円満なときにはあまり使われない表現であるため、ややネガティブな意味で用いられてしまうケースも。
本章では、子は鎹のくわしい意味や言葉の由来を解説します。
子は鎹の意味
子は鎹(かすがい)とは、子どもの存在が夫婦のつながりを強めることを指す言葉です。たとえ夫婦の仲が悪くても、子どもを愛する共通の想いが、二人の間をつなぎ止めるという意味で使われる傾向にあります。
子は鎹は、ポジティブにもネガティブにも捉えられる言葉です。一部では、子どもの存在を夫婦の縁をつなぎ止めるための道具として表現しているとして、この言葉にネガティブな印象をもつ人もいるかもしれません。
子は鎹
出典:小学館 デジタル大辞泉
子供への愛情から夫婦の仲がなごやかになり、縁がつなぎ保たれることのたとえ。
子は鎹の由来
子は鎹は、「鎹(かすがい)」という道具に由来しています。鎹とは、木材をはじめとする建材の合わせ目を、つなぎ止めておくための釘のこと。
2つの建材をつなぐ、コの字型に曲がった形状になっているのが特徴です。2つのものをつなげる道具であることから、両者(夫婦)の仲をつなぎ止めるという意味で用いられます。
子は鎹の使い方
子は鎹は、使われるシチュエーションが限られており、いざ使おうとしても使い方がわからないかもしれません。ここでは、例文や会話例などを解説します。
険悪だった夫婦仲のとりもつ、関係性が回復するといった意味で用いられます。気づかないうちに誤用してしまうことがないように、本章の例文・会話例を参考にしてください。
例文
子は鎹を文章のなかで用いるためには、以下の例文を参考にしてください。
・昨年は仕事が忙しくて家事に協力できず、夫婦の危機であったが、息子のおかけで乗り越えられた。まさしく子は鎹だ
・けんかの多い夫婦だったが、子どもが生まれてから夫婦げんかが減ったので、子は鎹といえる
・夫婦の関係において子は鎹とせずに、夫婦二人の力で楽しく暮らしていきたいと思っている
会話例
日常会話のなかで「子は鎹」を使う場合は、以下の例を参考にしてください。
A「最近、家に帰ると妻とけんかばかりだ…いよいよ危ないかなあ」
B「それは大変だ。離婚の危機ってこと? 」
A「いや、娘がかわいそうという気持ちは、自分も妻も同じだから離婚まではしないよ」
B「まさしく、子は鎹…だな」
夫婦の仲がよくなる場合や、不仲であっても子どもの存在が夫婦の縁を保つ場合にも使われます。
子は鎹の類語や言い換え表現・対義語
子は鎹には、さまざまな類語・対義語があります。たとえば、子は縁つなぎ・縁の切れ目は子でつなぐ・子は三界の首枷などが挙げられます。
類語はいずれも子どもの存在が夫婦の間に、どのような影響を及ぼすのかを意味する言葉です。
ひとつの言葉を覚える際は、類語・対義語、どちらもセットで覚えておくとボキャブラリーが向上するでしょう。
【類語】子は縁つなぎ
子どもは夫婦の仲を、つなぎ止める存在であるという意味です。子は鎹と同様の意味をもちますが、よりストレートな表現といえます。
夫婦が離れ離れになってしまうと、同時に子どももどちらかの親と離れることにも。夫婦仲が悪くても、これを避けるために離れないという夫婦もいるようです。子どもという存在が、夫婦をつなぐケースは実際に珍しくないのかもしれません。
【類語】縁の切れ目は子でつなぐ
「縁の切れ目は子でつなぐ」は言葉通り、夫婦の縁の切れ目を、子どもの存在がつなぐという意味で用いられる言葉です。夫婦でいう縁の切れ目とはすなわち、離婚を意味すると考えられます。こちらも「子は縁つなぎ」と同様に、ストレートな表現といえるでしょう。
【対義語】子は三界の首枷
子は三界(さんがい)の首枷(くびかせ)とは、親は子どものことにとらわれるあまり、一生を子どもに束縛される様を表した言葉です。三界とは、過去と現在、未来を指す仏教用語です。
言葉の意味からもわかるように、あまりポジティブな意味では用いられません。子どもに責任をもつべきと思いつつ、ときにはそれが首枷のように感じてしまうことも。
しかし、子は鎹のように、子どもの存在によって助けられることもあるでしょう。
子「だけ」が鎹にならないポイントはある?
夫婦になってから、両者をつなぎ止める存在が「子どもだけ」になってしまうのは悲しいことかもしれません。
子どもの存在だけに頼らず、夫婦が円満に暮らせるために心がけたいことを3つ見ていきます。
子どもを盾にしない
子どもを盾にしないことが、夫婦二人の関係性を良好にする秘訣の一つ。「子どもが〇〇だから」と、子どもを理由にしてしまうと、夫婦の関係が子どもありきになってしまいます。
子どもは大人になれば親元を離れ、巣立っていくでしょう。子どもを盾にして夫婦間のトラブルを避けていると、その盾がなくなったとき、関係を保てなくなってしまいかねません。
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夫婦の会話を増やす
日常生活のなかで、夫婦の会話を増やす努力をしましょう。長時間語り合うのは難しいかもしれませんが、10〜15分でも毎日会話する時間を作れるといいですね。
このとき大切なのは、子ども抜きで夫婦だけの会話をすることです。子どもが加わったコミュニケーションと、大人同士でのコミュニケーションでは内容が異なります。
「今日はどうだった?」といった簡単な切り口でもよいので、会話を増やすように心がけることをおすすめします。
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「対話」ができるように努める
夫婦二人きりで会話をする習慣が身についたら、会話から「対話」をする次のステップへ。
ここでいう会話とは、何気ない日常を話す行為です。それに対して「対話」とは、お互いの意見を尊重し、両者が納得できる結論を模索することです。口論にならず、二人で大切なことを話し合える関係性が理想といえるでしょう。
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子は鎹を正しく使おう!
子は鎹は、子どもの存在が夫婦をつなぐといった意味で用いられる言葉です。しかし、必ずしもよい意味で用いられる言葉とはいえません。
子は鎹という表現がポジティブなのかネガティブなのかは、子どもの存在を通してより夫婦の絆を深めるか、子どもだけがよりどころとなってしまうのかによって分かれるでしょう。
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