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「ご理解賜りますよう」の意味とは?
ビジネス文書では「ご理解賜りますよう」という言葉はよく使いますよね。でも普段聞き慣れない「賜る(たまわる)」という言葉が入ると、使い方が難しいように感じませんか?
辞書で調べてみると、理解とは、「物事がわかること」や「意味をのみこむこと」。「賜る(たまわる)」は、「もらう」の意の謙譲語で、目上の人から物などをいただく、ちょうだいする、という意味になります。また、神から通行の許しをいただく、神の許しを得て通らせていただく、という事前に了承を得る意味もあるそうです。
つまり「理解を賜る」は「物事をわかっていただく、了承をいただく」という意味になります。相手に理解や協力を求める文章を締めくくる言葉として使われ、「お願いする」より丁寧でかしこまった表現になります。社外や目上の人はもちろん、不特定多数に向けた発信にも適した言葉です。
ビジネスで使える!「ご理解賜りますよう」を使った例文を紹介
「ご理解賜りますよう」の意味は理解できたでしょうか? 次に具体的な例文をご紹介します。
1:○○様におかれましては、何卒これらの諸事情をご賢察いただき、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
こちらの事情を理解してもらいたい場合に使う例文です。
原料高騰による価格改定など、やむを得ない事情で、相手に負担がかかることを説明し了承を得る時などに使います。そこにいたる経緯と、努力をしたがこのような結果になってしまったことを説明し、結びの言葉として使用。
ちなみに「ご賢察」は、推測を意味する「賢察」に尊敬を表す接頭辞「ご」がついた言葉になります。
2:○月○日まで臨時休業させていただきます。大変ご不便をおかけし誠に勝手ではございますがご理解賜りますようお願い申し上げます。
あらかじめ了承を得る場合に使う例文です。
休業案内など、不特定多数に広く周知し、あらかじめ了承を得たい時などに使います。あらゆる年代層を想定する場合は丁寧な表現を使い、平身低頭な姿勢であらかじめ理解を求めるようにしましょう。
3:再発防止に向け、今後とも引き続き努めてまいりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
謝罪時に使う例文です。
こちらのミスにより相手に不都合や迷惑をかけてしまった時などに使います。経緯や対応策を説明する謝罪文の結びの言葉として使用し、大変申し訳ないという気持ちと、同じミスを繰り返さないという意思を表しながら、許しを乞います。
4:大変恐れ入りますが、期日までのご入金につきまして、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
催促で使うときの例文です。
使うのは、取引先や目上の人に催促する時など。あくまでもこちらから依頼する姿勢で、角が立たないように伝えるようにします。「お忙しいところ恐れ入りますが」など、相手を気遣う言葉を添えると、効果的でしょう。
いずれのケースも「相手にこちらの事情を理解してもらいたい」という内容とともに使われます。
「ご理解賜りますよう」の言い換え表現には何がある?
ここでは「ご理解賜りますよう」の言い換え表現をいくつか紹介していきます。使う相手や場面に合わせて、使い分けてみてくださいね!
1:ご理解いただきますようお願いいたします
意味は同じですが、「賜りますよう」のほうがかしこまった言い方になります。社内などでは「いただきますよう」が相応しいでしょう。
2:ご理解いただければ幸いです
「理解してもらえれば自分にとって嬉しい」という意味です。ビジネス、日常生活で広く使えるやわらかい表現。「ご多忙の中大変恐縮ですが、ご理解いただければ幸いです」など、謝意を表す言葉を前に添えて使うと、やわらかく伝わります。
3:ご理解の程よろしくお願いいたします
「理解してほしい」という意味です。「ご理解よろしくお願いいたします」と言い切ってしまうより、「の程」を挟むことでやわらかい印象を与えます。
また、「何卒ご理解いただきますようお願いします」など、「何卒(なにとぞ)」を付けると、なんとかして理解、了承や許しを得たい意味が強調されます。
「ご理解賜りますよう」は失礼にあたることも…?
「ご理解賜りますよう」は、場合によって相手に不快な印象を与えるときがあります。
例えば「勝手ながらしばらく休業させていただきます。ご理解賜りますようお願い申し上げます」という文章。なんだか一方的に言われているような感じがしませんか?
当たり前のことですが、理解を得るには理由の説明が不可欠です。詳しい事情は言えない場合でも、「一身上の都合で、勝手ながらしばらく休業させていただきます。ご理解いただきますようお願い申し上げます」とすると、何かしらの事情を察して理解してもらいやすくなります。
理解や了承を求める際は、真摯でわかりやすい説明の上で、「ご理解賜りますよう」のような丁寧な言葉で締めくくると効果的です。
また、相手がこちらの事情への理解を示したことに対する「ご理解賜りありがとうございます」の使い方は注意が必要です。相手が理解しているかどうかわからないまま「ご理解賜りありがとうございます」と伝えると、一方的で押し付けがましい印象を与えることに。メールでも会話でも、こちらの意図を汲み取ってもらえたと確信したときに、感謝の言葉として伝えましょう。
「ご理解賜りありがとうございます」の言い換え表現として、下記3つがあります。
1:ご理解いただき感謝いたします。
「ありがとうございます」より丁寧な表現で、「理解してもらえて嬉しい」という率直な気持ちを表します。
2:ご理解いただき厚く御礼申し上げます。
こちらの事情を汲んでくれたことに対し感謝の意を表す、ややかしこまった表現になります。社外や目上の人に使えます。
3:ご理解いただき大変ありがたく存じます。
「存じる」は「知る」の謙譲語で、へりくだった言い方になり、かしこまった表現です。こちらも社外や目上の人に使えます。
最後に
「ご理解賜りますよう」は理解や了承をお願いするときに使う表現で、ビジネス文章でもよく使われます。きちんと事情を説明の上、文の最後に添えれば丁寧な印象を与えることができますので、シーンに合わせて活用してみてくださいね!
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