この記事のサマリー
・「やり手」とは、「腕前のある人」「敏腕家」のこと。
・特にビジネスでは「成果を出す」「判断が早い」といった特徴を持つ人物に対して使います。
・恋愛では「対人スキルの高さ」を指す一方、計算高さや思わせぶりな態度を揶揄する場合もあります。
「やり手な人」と聞くと、仕事ができる、周囲を引っ張る力がある、そんな前向きなイメージを思い浮かべる人も多いのでは? 一方で、恋愛の文脈では少し違った意味合いを持つこともあります。
この記事では、「やり手」の意味や使い方を辞書に基づいて整理しつつ、ビジネス・恋愛で見られる「やり手な人」の特徴や、言い換え表現、英語での表現方法まで幅広く解説します。
「やり手」の意味と背景
ビジネスで「あの人はやり手だ!」と言うとき、そこにはどのような意味が含まれているのでしょうか? 辞書に基づいた正確な意味と、知っておきたい背景を解説します。
「やり手」の意味と現代での使い方
辞書によると、「やり手」には大きく分けて以下の意味があります。
やり‐て【▽遣り手】
1 物事をする人。物事を行う人。「危険な仕事なので―がない」
3 腕前のある人。敏腕家。「業界きっての―」
4 遊郭で客と遊女との取り持ちや、遊女の監督をする年配の女。花車(かしゃ)。香車(きょうしゃ)。やり。遣り手婆(ばば)。
引用(一部抜粋):『デジタル大辞泉』(小学館)
現代のビジネスシーンで使うのは、主に「3. 腕前のある人(敏腕家)」という意味です。
「やり手の営業職」と言えば、高いスキルを持ち、着実に成果を上げる人物を指す言葉として定着しています。
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)
「やり手」と「遣り手婆」との関係
「やり手」という言葉は「敏腕家」といった意味のほかに、歴史的には異なる用法も見られます。辞書によれば、かつて遊郭において、遊女と客の仲立ちや監督を担う年配の女性を「遣り手(やりて)」あるいは「遣りて婆(やりてばば)」と呼んでいた時代がありました。
この意味は、現代ではあまり意識されることはありません。ただし、表現を使う際の背景知識として知っておくと、より配慮の行き届いた言葉選びができるようになるはずです。
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)

やり手な人の特徴とは?
「やり手」と言われる人の特徴をまとめました。
ビジネスで「やり手」とされる人の共通点
ビジネスで「やり手」とされる人は、具体的な成果や行動で評価されることが多いです。売上や業績など、数値で結果を示せる点は大きな要素です。
加えて、段取りの早さや優先順位を見極める判断力も欠かせません。トラブル時に冷静に対応し、周囲を巻き込みながら成果につなげる姿勢は、「敏腕家」としての評価につながります。
また、信頼関係を築く力も重要です。交渉や指導を通じて周囲に好影響を与える点が、「やり手」と見なされる理由になります。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)
恋愛シーンで「やり手」とされる人の特徴
恋愛における「やり手」は、対人スキルの高さが際立ちます。相手の心をつかむ術を、違和感なく使いこなしているのが特徴です。
絶やさぬ笑顔とポジティブな空気
場を和ませる笑顔と明るさは、それだけで人を惹きつける力になります。感情を安定させ、話しかけやすい雰囲気を保てるのも大きな魅力です。
絶妙な「思わせぶり」
明確な言葉を使わなくとも、距離をコントロールし、「もしかして…?」と思わせるスキルも「やり手」とされる要素です。
話を引き出す「聞き上手」
うなずきや質問によって、相手を気持ちよく話させるのが上手な人は、「一緒にいると心地いい」と思わせる存在。信頼感や親近感を自然に築けるタイプです。
さりげなく心を打つ「褒め上手」
表面的なお世辞ではなく、相手の内面や努力に目を向けた言葉が伝えられる人は、相手の心を動かします。タイミングを見極める共感力も、恋愛の「やり手」に欠かせません。
ただし、思わせぶりな態度や計算高い距離感を指し、皮肉として「やり手」と呼ぶ場合もあります。必ずしも肯定的な評価とは限らないため、注意が必要です。
「やり手」の類語と言い換え表現
場面に合わせて使い分けたい、類語表現を整理します。
「敏腕(びんわん)」
「敏腕」は、仕事を素早く処理する実行力を評価する表現です。
例文:「彼は営業部の敏腕マネージャーとして知られている」

「辣腕(らつわん)」
躊躇せず物事を的確に処理する能力を表す言葉です。やり方が多少乱暴でも、解決能力が高い様子を示します。
例文:「辣腕を振るう経営者として、業界内でも一目置かれている」
「有能(ゆうのう)」
役に立つ才能があることを示します。職業人として言う場合が多い言葉です。
例文:「彼女はチームを牽引できる有能なリーダーだ」
「凄腕(すごうで)」
活発で、そつなく仕事ができることを表します。また、普通にはできないようなことをやってのける手腕を表すこともあります。
例文:「彼はIT業界では知られた凄腕のエンジニアだ」
「腕利き(うできき)」
技能がすぐれていることを表す語です。
例文:「このレストランのシェフは、地元でも有名な腕利きの料理人だ」
「手練れ(てだれ)」
技能に長けた人物に対して用いる言葉です。
例文:「交渉相手はかなりの手練れで、一筋縄ではいかなかった」
参考:『デジタル大辞泉』『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)
英語で「やり手」は何と言う?
「やり手」に近い英語表現としては、“go-getter” や、“hotshot” などが挙げられます。いずれも「能力が高い」「実行力がある」といった意味を持つ表現です。
“go-getter”は、行動力と意欲の高さが評価される言葉です。積極的にチャンスをつかみにいくタイプの人物を指します。
例文:“He’s a real go-getter—he started his own company at 25.”
(彼は本当にやり手だ。25歳で自分の会社を立ち上げた。)
「hotshot」は、華やかで有能な人物を指す表現です。称賛の意味で使われる一方、場面によっては「自信過剰な人」「目立ちたがり」という皮肉を込めて用いることもあるため、文脈には注意が必要です。
例文:“She’s a hotshot lawyer known for winning high-profile cases.”
(彼女は注目の案件で勝訴を重ねる敏腕弁護士です。)
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)

「やり手」に関するFAQ
ここでは、「やり手」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「やり手」という言葉に、ネガティブな印象はありますか?
A. 場面によってはあります。特に恋愛や対人関係では「駆け引きがうまい」「計算高い」と受け取られることがあるため、使い方に注意が必要です。
Q3. ビジネスで使うなら、どんな表現に言い換えると好印象ですか?
A. 「敏腕」「有能」「結果を出す人」などが適しています。評価の意図を明確に伝えることで、誤解を防ぐことができます。
Q3. 自分を「やり手」と称してもいいですか?
A. 自称するには少し不自然な言葉です。自分の能力を伝えたい場合は、「〇〇の分野に自信があります」「これまでの実績として〜」と具体的に述べるのが適切です。
最後に
「やり手」という言葉は、単に仕事ができる人を指すだけではありません。成果を出す力、状況を読む判断力、そして周囲を動かす実行力… それらを総合的に見たときに、使われる評価です。
一方で、「やり手かどうか」は立場や文脈によって見え方が変わるものでもあります。だからこそこの言葉は、能力を称える一方で、距離感や含みを帯びることもある…。使うときには、そのニュアンスを意識することが、言葉を上手に扱う第一歩だといえるでしょう。
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