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「外面良く」とは? 意味と使われ方

まずは、“外面良く”という言葉の意味を整理してみましょう。
日常や職場での「外面良く」の使われ方と、ニュアンスの違いをチェックします。
♦︎「外面がいい」は表向きだけ感じがいい状態!?
「外面良く」は「外では愛想がよく見えるけれど、内面はそうでもない」という意味で使われることが多い言葉です。
具体的には、職場で上司や取引先に対して笑顔を絶やさなかったり友人関係でも空気を壊さないように振る舞ったりといった姿が、“外面がいい人”の典型です。
つまり、表向き“だけ”は感じがいい状態を示す表現として使われがちです。
♦︎「外面がいい」は諸刃の刃… 良い印象にも悪い印象にもなる
実態として「外面がいい」は、褒め言葉のように使われる場合もあれば皮肉を込めて言われる場面もあります。
たとえば「外面がいいから、仕事がうまくいく」という評価もあれば「外面ばかりで信用できない」と言われるケースもあるでしょう。
“外面良く”は、バランスを間違えると誤解されやすい性質でもあるのです。
“外面良く”してしまう心理とは?

“外面良く”振る舞ってしまうのには、無意識の心理が影響しています。
代表的な3つの理由をひも解いてみましょう。
♦︎嫌われたくない防衛反応
人から嫌われたくなくて余計な波風を立てたくないという心理から、外面良く振る舞う人は多いものです。
特に人間関係のストレスが多い職場やママ友のコミュニティでは、自己防衛のために“いい人”を演じがちに。
誰かに嫌われたり否定されたりするのが怖くて、つい“いい人”を演じてしまう心理が働きます。
実際のところ職場では、上下関係やチームワークのなかで「波風を立てない方が楽」と感じる場合も多く、本音を言ってトラブルになるよりも愛想をよくしておくほうが安全だと防衛本能が働きやすいのも事実です。
♦︎ちゃんとした自分を求めすぎる完璧主義
「しっかりしている人だと見られたい」「周囲から頼られる人でいたい」という思いから、完璧主義に陥ると外面を取り繕いがちに。
アラサー世代は、後輩からは憧れられて上司からは信頼されたいといった中間ポジションを求めがちでもあるので、理想の自分を演じようとして外面良く振る舞うパターンもあるでしょう。
♦︎相手の気持ちを優先する思いが強すぎる
相手の立場や気持ちをよく考える性格は、外面の良さにもつながっていきます。
相手が不快にならないように、気まずくならないようにと、つい先回りして思いやりと気配りを安売りしてしまいます。
自分の気持ちは封印して、友人との食事では「どこでもいいよ」と言ってしまったり職場では自分の意見を後回しにしたり。そのうちに、常に相手に合わせる行動しかしなくなっていくパターンも少なくありません。
外面がいい同僚への対処法

職場で笑顔が絶えず誰にでも愛想よく振る舞う同僚は、一見「できる人」に見えます。しかし本音が分かりにくく、対応に悩む場合も多々。
外面がいい同僚と上手に付き合うための3つのポイントを解説します。
♦︎常に距離感を意識して、情報の取捨選択をする
外面がいい同僚は誰にでもいい顔をするため、言動の真意が掴みにくいのも特徴です。
そこで、トラブルを未然に防ぎつつ、精神的に疲れすぎるのを避けられるような付き合いを心がけましょう。
具体的には、仕事の進捗や確認は書面やチャットで残し、口頭の「大丈夫」は鵜呑みにしすぎないなどの心構えを。
同僚である以上は交流が続きますので、自分に必要な情報だけを受け取って相手には過剰に期待しすぎないのがベターです。
♦︎相手の本音を引き出す場をつくる
職場の人間関係では、外面だけでは信頼関係が築きにくい面もあるのが現実。
そこで、相手を責めたり追及したりするのではなく、安心して本音を話せる空気をつくっていくのも効果的です。
雑談や少人数でのやり取りの場を活用して、「このプロジェクトの改善点、率直に意見聞かせて?」など相手が本音を話しやすい状況を作ってみましょう。
表面的な返事以上の情報を引き出せれば、大成功です!
♦︎自分の軸をもって接する
相手の外面の良さに振り回されると、つい自分も同調しすぎて疲れてしまいがちに。
職場の人間関係では、自分のストレスにならない距離感を保つことも必要です。
外面の良さはその人の特徴として受け止めつつ、自分の価値観や判断軸は明確に。相手の顔色に合わせるよりも、自分が納得できる判断を優先するよう心がけて。
“外面良く”がアダに… リアルな失敗談と解決策

外面を良くしたせいでアダとなり、失敗につながる事例も。筆者が見聞きしたリアルなエピソードから、アラサーにありがちなパターンを3つピックしました。
♦︎外面を優先しすぎて周囲からの評価が下がった
「上司の提案や意見に無理をしてまで賛成し続けていたら、社内で自分のアイデアや意見が全く通らなくなっていまいました。しかも周りからは“イエスマン”とあだ名まで付けられていたと知り、大ショック。
本当はメラメラ系のキャリア思考なのに、上司のご機嫌取りに集中しすぎて自分の評価が下がり、後悔しました」(30代前半女性)
>>どうすればよかった?
上司の意見と自分の意見が異なるならば「この場でなら、反対しても大丈夫」と思えるタイミングを見極めたうえで、本音を打ち明けていきましょう。
最初から強く反論をするのではなく、まずは小さな意見から言う練習をすると◎。
♦︎自分を押し殺して疲労感ばかりが募った
「大好きすぎて自分から告白した彼とのデート中に、本当は彼の趣味にまったく興味がないのに合わせ続けていたら、次第に気疲れしてしまって…。
自分を取り繕うのにも疲れて、デートがだんだんと面倒になっていきました。
せっかく付き合ったのに、早々に関係がぎくしゃくしてしまいわずか3ヶ月でジ・エンド」(20代後半女性)
>>どうすればよかった?
恋愛関係でも興味のないことは無理に合わせず、自分の意見も小出しに伝えるよう努めて。
無理に合わせていると、必ずどこかで疲弊します。
意見を出すときには相手を否定するのではなく、ときには冗談も交えながら軽やかに伝えると◎。
♦︎本音を隠しすぎて感情が爆発
「友人や同僚との飲み会で、自分とは意見が合わないのに笑って流していたら、いつも後から嫌な気持ちだけが残るように。
ある日、いつものメンバーで飲んでいるときに猛烈にイラッとしてしまって、思わず感情をぶちまけてしまったんです。
自分の気持ちが爆発したせいで口論になり、その場にいたメンバーとはそれ以降は疎遠になってしまいました」(30代後半)
>>どうすればよかった?
仲間うちでの小さな違和感や意見の食い違いは、その場で柔らかく伝えましょう。
どんなに親しくても無理に同調する必要はなく「同意できる部分だけ同調する」と割り切る心も大事です。
心地よい距離感を保ちながら、本音を話せる相手と向き合って。
外面の良さは生きるための知恵でもある
“外面良く”してしまう背景には「人に合わせよう」「空気を壊したくない」という思いやりや順応力が関係しています。
そのため、“外面良く”は決して悪いこととは言い切れず、むしろ社会で生き抜くうえでの知恵でもあると言えるでしょう。
ただし外面を保つあまりに感情を抑え込みすぎると、心が疲弊します。周囲にも迷惑をかけてしまいやすいので、人間関係も悪化しやすくなります。
極端に外面良くせず、ほとほどのバランスを意識するくらいがベターかもしれません。
TOP画像/(c)Adobe Stock

並木まき
ライター、時短美容家、メンタル心理カウンセラー。企業研修や新人研修に講師として数多く携わっている。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。



