「お越しいただき」の意味とは?
ビジネスシーンや冠婚葬祭などで使われる「お越しいただき」という言葉。わざわざ来てくれたお客様や取引先の人へ「お越しいただきありがとうございます」と感謝の気持ちを伝える機会も多いはず。最初の挨拶や別れ際にさらっと口にすることができると、印象アップに繋がりますよ。
今回は、敬語表現「お越しいただき」の意味や使い方、類語、英語表現などを解説しましょう。
意味
「お越しいただき」は、相手が自分の元に来てもらうことを丁寧にいう言葉。お客様が自分の会社に来たときなどに、「お越しいただきありがとうございます」というように使うのが一般的です。
「お越しいただき」は、「来る」の尊敬語の「お越し」と「〜してもらう」の謙譲語である「いただく」で成り立っています。お客様に来てもらうのは自分なので、自分がへりくだった謙譲語として用いられますよ。
「お越しいただき」は二重敬語?
「お越しいただき」は丁寧な表現なので、中には「二重敬語なのでは?」と思っている方も多いはず。まずは、二重敬語の定義についてみていきましょう。二重敬語を調べてみると、「同じ種類の敬語を重ねて使うこと」とあります。
例えば、尊敬語を重ねた「おっしゃられる」や謙譲語を重ねた「ご参上する」などは二重敬語です。しかし、先述したように「お越しいただき」は尊敬語と謙譲語を組み合わせた言葉なので、二重敬語ではありません。よって、正しい敬語表現として使うことができるのです。
使い方を例文でチェック!
「お越しいただき」は、挨拶やお礼のメールなど様々なシーンで使われます。ここでは、社会人として押さえておきたい基本の使い方を3つ紹介しましょう。
1:本日はお忙しい中お越しいただきありがとうございます
「お越しいただき」を使った表現でよく使われているのが「お越しいただきありがとうございます」です。わざわざ来てくれた相手に対して、感謝の意を伝えたいときに使用します。大抵は、最初に顔を合わせたときの挨拶や、お見送りの際に使うことが多いでしょう。
2:ご多忙のところ恐縮ですが、当日は14時までに弊社までお越しいただきますよう、お願いいたします。
相手に来てもらいたいという旨を伝えるときにも「お越しいただき」を使います。失礼に当たらないよう「お越しいただきますよう」と婉曲表現を使うことで、柔らかな言い回しになります。また、別の言い方で「お越しいただきたく存じます」と表現することも可能です。
3:先日は弊社までお越しいただきありがとうございました。
相手に来てもらった後日、お礼のメールをするときにも使います。わざわざ時間をかけて足を運んでくださった方へ、手紙やメールなどで感謝の気持ちを伝えることは社会人として大切にしたいマナーです。遠くから来てくださった方には「遠路はるばる」、天気が悪かった際には「天候が悪い中」など一言添えるとより丁寧な印象になります。
類語や言い換え表現とは?
ビジネスシーンでは、相手に来てもらったときに「お越しいただき」という言葉を使うのが一般的です。しかし、何度も同じ言葉を使うことに違和感を覚えたことはありませんか? そんなときには、よりシチュエーションに合った言葉を選ぶことで、表現のマンネリ化を防ぐことができますよ。覚えておきたい言い換え表現を3つ紹介しましょう。
1:ご足労いただき
相手に足を運んでもらったときには、「ご足労いただきましてありがとうございます」とお礼を言うこともありますよね。「足労」とは、「足を疲れさせること」で、尊敬の接頭語「ご」がついて「ご足労」となります。わざわざ出向いてくれた相手をねぎらう気持ちが伝えられます。
・ご多忙にも関わらず、ご足労いただきまして誠にありがとうございます。
2:おいでいただき
「おいでいただき」も、相手に来てもらうことという意味があります。「行くこと」「来ること」の尊敬語である「おいで」と、謙譲語の「いただく」を組み合わせた言葉です。「(そこに)居ること」という状態を表す意味が含まれていることが、「お越しいただく」と少し異なります。自宅にお客様を招くときなどに使われる傾向がありますね。
・お忙しいところわざわざおいでいただきありがとうございます。
3:ご訪問いただき
「訪問」は、「他人の家などに訪れること」。「ご訪問いただき」という形にすることで、「(相手に)来ていただき」といった意味合いになります。また、自分が目上の人を尋ねる場合には「今度ご訪問させていただきます」というように使うことができます。
・本日は、遠路はるばるご訪問いただきありがとうございます。
英語表現とは?
海外の仕事相手が来社したときには、感謝の気持ちを伝えたいですよね。最初の挨拶のフレーズを覚えておくことで、自信を持ってコミュニケーションが取れるようになれるはず。さっそく英語表現を見ていきましょう。
1:Thank you for coming today.
「本日はお越しいただきありがとうございます」は、英語で「Thank you for coming today」と表現します。「Thanks for〜」という言い方もありますが、こちらはややカジュアルな言い方なので、フォーマルな場面では「Thank you for 〜」を使いましょう。
2:Thank you very much for coming all this way.
「本当に」「誠に」など、より深い感謝を伝えたいときには「very much」をつけると良いでしょう。また、「all this way」には「はるばる、わざわざ」という意味があるので、「わざわざお越しいただき誠にありがとうございます」と表現することができます。
最後に
「お越しいただき」という言葉は、感謝の言葉とセットで使われることが多い敬語表現です。相手を迎え入れるときや最後の挨拶などでうまく使いこなせると、ビジネスで信頼関係を築きやすくなるでしょう。「本日はお越しいただきありがとうございます」とさらりと口に出せるような、素敵なビジネスパーソンを目指しましょう。
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