目次Contents
この記事のサマリー
・「誠に」は「本当に」「じつに」を意味する副詞です。
・「ありがとうございます」は、形容詞「有難い」と丁寧語「ございます」を組み合わせた言葉。
・言い換え表現には「心より感謝申し上げます」「厚く御礼申し上げます」があります。
「誠にありがとうございます」。心からの感謝を伝える場面で、誰もが一度は使ったことがあるでしょう。しかし、ビジネスの場で実際に口にするとき、「丁寧すぎて不自然ではないか?」と、立ち止まってしまった経験はありませんか?
感謝を伝える表現は数多くありますが「誠にありがとうございます」は、その中でも敬意と丁寧さを込めることができる表現です。言葉の正しい意味、適切な使い方、状況に応じた言い換え表現、そして英語表現を整理します。
「誠にありがとうございます」の意味
「誠にありがとうございます」の意味を辞書で確認すると、正しい敬語表現であることがわかります。
「誠に」の意味
『デジタル大辞泉』で、「誠に」の意味を確認します。
まこと‐に【誠に/▽真に/▽実に】
[副]まちがいなくある事態であるさま。じつに。本当に。「―彼女は美しい」「―ありがとうございます」
[感]「まこと」に同じ。
「―雪少しうち散りて、折節とり集めて、さることやは候ひしとよ」〈大鏡・道長下〉
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「誠に」は、感謝の気持ちを強く伝えるための言葉です。
「ありがとうございます」との組み合わせ
「ありがとうございます」は、「有ることが難しい」という意味を持つ形容詞「有難い」に、丁寧語の「ございます」を組み合わせた言葉です。
「誠に」に、「ありがとうございます」を加えることで、感謝の気持ちを丁寧かつ重厚に伝えることができます。
日常の「ありがとうございます」よりも一歩かしこまった場面、例えば、取引先へのメールや、重要な式典の挨拶などで、深い敬意を伝えたいときに有効です。
「誠にありがとうございます」は正しい敬語表現か?
「誠にありがとうございます」という表現は、正しい敬語表現であり、安心して使用できます。
この表現は、感謝の気持ちを強調するための副詞「誠に」を添えており、過剰な敬語表現(二重敬語)には該当しません。
しかし、親しい間柄などカジュアルな場面では、不必要に硬い印象を与えます。この表現は、強い感謝と敬意を伝える表現として、特にビジネスや公の場での使用が適切です。場面に合わせて使い分けることが、より適切なコミュニケーションにつながります。

場面別の使い方と具体例
ここでは、「誠にありがとうございます」という表現について、ビジネス・就職活動・日常といった各場面における具体的な例文とともに、その活用シーンを整理します。
ビジネスメールでの例文
取引先に送るフォーマルなメールでは、「誠にありがとうございます」を添えることで、真摯な感謝と文章の引き締め効果を得ることができます。
例文:「この度は迅速にご対応いただき、誠にありがとうございます」
就活・面接での使用例
「誠にありがとうございます」は、面接の機会を設けていただいた面接官や採用担当者に対し、敬意と深い感謝の念を伝える表現として有効です。
例文:「本日は貴重な面接の機会を賜り、誠にありがとうございます」
日常・社内での使い方
社内で上司から助言をもらったり、同僚から重要なサポートを受けたりした際にも活用できます。日常の「ありがとう」よりもフォーマルさが増すため、感謝の度合いを強調したいときに有効です。
例文:「先ほどは本質的なアドバイスをいただき、誠にありがとうございます」

「誠にありがとうございます」の言い換え表現
ここでは、「誠にありがとうございます」の言い換え表現を紹介します。状況に応じて、使い分けてみてください。
「本当にありがとうございます」
親しい間柄や日常の会話の中でもよく用いられる表現です。「心から感謝している」という、率直な気持ちを伝えたいときに適しています。
ただし、人によってはやや軽い印象を与えかねないため、かしこまった場面で使うのは控えたほうがいいでしょう。
例文:こんなに親切にしてもらって、本当にありがとうございます。
「心より感謝申し上げます」
心からの深い感謝を伝えたいときに使います。「申し上げます」は「言う」の謙譲語なので、相手への敬意を示すことができますね。目上の人や取引先にも安心して使うことができます。
例文:平素より弊社の事業にご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。
「厚く御礼申し上げます」
式典の挨拶や、改まった文書などで使われることが多いでしょう。
例文:「平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」

英語での「誠にありがとうございます」
日本語の「誠にありがとうございます」にあたる深い感謝や敬意を英語で伝えたい場合、どんな表現が適切でしょうか? ここでは、日常会話からビジネスまで使える英語フレーズを整理します。
“Thank you very much.”
最も基本的であり、丁寧さも十分にあるのが “Thank you very much.” (どうもありがとうございます。)です。短く簡潔ながら、ビジネスや日常のあらゆる場面で安心して使えます。
“I really appreciate it.”
感謝の気持ちを強調したいときには “I really appreciate it.”(本当に感謝しています。)が便利です。
“appreciate ” は「親切な行為などに感謝する」という意味があります。
“I am grateful to you for your support.”
「ご支援に感謝いたします。」という意味です。“grateful”には「感謝をする」という意味があります。
参考:『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)

「誠にありがとうございます」に関するFAQ
ここでは、「誠にありがとうございます」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「誠にありがとうございます」は正しい敬語ですか?
A. はい。
Q2. 就活メールや面接で使っても大丈夫ですか?
A. はい。
「面接の機会をいただき、誠にありがとうございます」といった形で用いると、敬意と感謝を適切に伝えることができます。
Q3. NGな使い方はありますか?
A. 「誠にありがとうございます」を親しい友人同士の会話で使うと、かしこまりすぎて不自然に響くでしょう。
カジュアルな場面では「本当にありがとう」など、関係性に合った表現を選びましょう。
最後に
「誠にありがとうございます」は、「ありがとうございます」に「誠に」を添えることで、感謝の気持ちを強調できる、非常に丁寧な表現です。
ビジネスや就職活動といった重要な場面で、丁寧に感謝の気持ちを伝えることで、あなたの誠意は必ず相手に届き、円滑で良好な人間関係の構築へとつながるでしょう。
TOP画像/(c)Adobe stock