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「おいといください」意味は
メールや手紙などで、「おいといください」と書かれていることがあります。これを読み、「何のこと?」「どういう意味?」と思う人もいるかもしれません。
「おいといください」は相手の健康を気遣ったり、相手を労わったりするときによく使います。メールや文書の結びの言葉としても使えますので、ぜひ覚えておきたいですね。
「おいといください」の「厭う」の意味
「おいといください」の「いとい」は、「いとう」という言葉です。さまざまな意味を持ちますが、現代においては、健康について述べる際に使うことが多いとされています。
▷いと・う〔いとふ〕読み方:いとう
1:嫌って避ける。嫌がる。「団体行動を—・う」「どんな苦労も—・わない」
2:かばう。大事にする。いたわる。現代では多く健康についていう。「おからだをお—・いください」
3:(多く「世をいとう」の形で)世俗を嫌って離れる。出家する。
4:危険や障害などを避ける。しのぐ。「霜雪の寒苦を—・ふに心なし」〈笈の小文〉
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
上記から、「お体をおいといください」は、「お体をお大事にしてください」という意味になることがわかりますね。
使うのは、書き言葉がメイン
「おいといください」を会話などで耳にするということは、あまりないかもしれません。書き言葉として使われるのが一般的で、メールや手紙、文書などで登場することが多いでしょう。
「おいといください」の使い方
ここからは、「おいといください」の使い方を見ていきましょう。例文とあわせて紹介します。
「おいといください」例文と使い方
《例文》
・まだまだ暑い日が続くようです。くれぐれもお体をおいといください
・お疲れが出ませんよう、おいといくださいませ
・寒さが厳しくなってまいりました。お体をおいといください
「おいといください」は、ビジネスシーン以外にお礼の文書や手紙、年末年始や季節のあいさつでも使えます。丁寧さや柔らかさを感じさせる言葉ですので、相手を気遣う気持ちがより深く伝わるでしょう。また、目上の人に使うのも問題ありません。
「おいといください」を別の表現にするなら?
「おいといください」を別の表現で伝える場合、どのような言葉が適しているでしょうか? こちらも例文とともに紹介します。
「ご自愛ください」
《例文》
・季節の変わり目、くれぐれもご自愛くださいませ
ビジネスシーンや手紙などでよく使われる「ご自愛ください」も、同じような意味を持ちます。ただし、注意しなければならないのが、「お体を」はつけないということ。「ご自愛」には、「自分の体を大切にする」の意味が含まれるということを把握しておきましょう。
また、この言葉は、実際に体調を崩している人に対しては使わないのが一般的。基本的には元気な人を気遣う際に使います。
「お大事になさってください」
《例文》
・まだまだ暑い日が続きます。どうぞお大事になさってください
相手の体調や状態を気遣う際に使う「お大事になさってください」も、「おいといください」と同様の意味。言い換えに適しています。
基本的には、相手が体調不良の場合も使ってよいとされていますが、「ご養生なさってください」や「ご静養なさってください」のように言い換えてもいいですね。
「お労りください」
《例文》
・体調を崩されているとお伺いいたしました。どうぞお労り下さいませ
体を労わることを願う「お労り下さい」も、「おいといください」と同じように使うことが可能です。健康状態が良くない人に対しても使うことができますので、覚えておくといいですね。
「お労り下さい」は、定年により退職する上司をねぎらう際に使うのも適していますので、ぜひ使ってみてください。
「お気をつけください」
《例文》
・お疲れが出ないよう、くれぐれもお体にお気をつけください
この言葉も、「おいといください」の言い換え表現として使うことができます。ただし人によっては、語気が強いと受け取ることもあるかもしれません。それを避けたいという場合は、他の言葉に言い換えるなどして、工夫するといいでしょう。
「おいといください」と言われた場合の返し方
職場の人などから「おいといください」と言われたら、どう返せばいいかについて見ていきましょう。
相手の気遣いに感謝を伝える
《例文》
・ありがとうございます。〇〇様も、どうぞおいといくださいませ
・お気遣いいただき感謝申し上げます。静養のため数日お休みをさせていただきますが、復帰後は何卒よろしくお願いいたします。〇〇様もどうぞおいといくださいね。
体調を気遣う際にかけるのが「おいといください」ですから、まずはその気遣いに対してお礼の気持ちを伝えるといいですね。「ありがとうございます」と率直に感謝の気持ちを述べましょう。
また、体調を心配して連絡をしてくれた場合は、相手にさりげなく自分の状況を知らせるのも一つ。相手を気使う気持ちも忘れずに伝えてくださいね。
相手を気遣う言葉、使い方を知っておこう
ビジネスシーンでは、メールやチャットなどで相手を気遣うという場面が生じますよね。その際、どの言葉を使うかで、相手に与える印象が変わるかもしれませんから、それを意識しておくといいでしょう。
「おいといください」はあらゆる方に使うことができますが、少し堅苦しい印象を与えるかもしれません。同僚や部下に対しては、「ご自愛ください」や「大事にしてください」の方が、気持ちが伝わりやすいということも。
また、本当に体調が良くない人に対しては、慎重に言葉を選ぶことが求められます。体の状態が良くないと、普段は気にしないことにも敏感に反応してしまいがち。何気なく放った言葉に相手が傷つくということもありますから、十分に注意してください。
最後に
相手の体調などを気遣う際につかう「おいといください」は、会話ではあまり使わないかもしれません。結び言葉として、メールや文書、手紙で使われることが多いので、覚えておくことをおすすめします。相手を気遣う言葉にはさまざまなものがありますが、それぞれニュアンスが異なります。また、相手の体調によっては使うのを控える方がいいという言葉もありますので、それをきちんと知り、適切に使えるようにしたいですね。
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