「貴学」の意味や読み⽅とは?
ビジネスシーンにおいて、取引先の会社に対しメールや文書を送る際は、相手の会社のことを「貴社」と書きますよね。銀行であれば「貴行」と表します。では、「貴学」という言葉は、どのような時に使われるかご存じでしょうか。「貴学」の正しい使い方や、「貴校」「御校」との違いについて解説していきます。
読み⽅と意味
「貴学」は「きがく」と読みます。意味は「相手の学校」のことで、ここでは「大学」を指す言葉です。「貴」には、相手を敬う意味が込められており、他に「貴女」「貴殿」「貴兄」などの言葉があります。
どんな時に使う?
「貴学」は「大学」宛に使われる言葉で、メールや文書などの書き言葉として用いられます。例えば、大学宛に資料請求をメールで依頼する際や、教職員採用の履歴書の志望動機など、文中で相手の大学を指す時には、「貴学」という言葉を使用するのが一般常識ですので、ぜひ覚えておきましょう。
「大学院」の場合は?
では、「大学院」の場合はどうでしょうか。「院」が最後にきているので、「貴学院」と使えるように思いますが、実はそれは誤った表現です。「大学院」は大学に付属した機関のため、「貴学」に統一されます。また、大学でも4年制、6年制、短期大学の区別はなく、ここではすべて「貴学」という言葉を使います。
「貴校」「御校」とは何が違う?
学校にまつわる似た言葉で、「貴校」や「御校」という言葉があります。この2つは「貴学」と何が違うのでしょうか。早速、解説していきます。
「貴校(きこう)」とは
「貴学」が大学を指すのに対し、「貴校」は主に、小学校、中学校、高等学校、専門学校などの大学以外の学校を指します。「貴校」も口頭ではなく、メールや文書などの書き言葉として使われるのが一般的です。なお、大学のことを「貴校」としても間違いにはなりませんが、上述したように「貴学」と書かれるのが一般的ですので、覚えておくとよいですね。
「御校(おんこう)」とは
「御校」も相手の学校を敬って使われる尊敬語になりますが、書き言葉ではなく、話し言葉として使われます。小学校、中学校、高等学校、専門学校、大学、あらゆる学校に対して使えますが、対面で話す際や、電話などで間違って、「貴学」や「貴校」と言ってしまわないように気を付けましょう。
また、大学に対して口頭では、「御大学」という言葉も使用できます。ぜひ、こちらの言葉も活用してみてくださいね。
学校にまつわる「貴」を使った言葉を例文で紹介
では、学校にまつわる「貴」を使った例文を紹介します。
「貴学の研究内容に非常に興味があり、学部案内のパンフレットなどがございましたら、お送りいただけますでしょうか」
先にご紹介した「貴学」を使った例文です。4年制大学に限らず、6年制や短期大学、大学院に対しても使えるフレーズになります。資料請求や志望動機など、相手の大学を指す際は「貴学」を使いましょう。
「貴学園の教育方針に強く共感し、ぜひ運営に貢献させていただきたく存じます」
「○○学園」などの学校法人に対し使えるフレーズです。上述したように、「貴校」と言い換えることも可能ですが、「貴学」は大学(もしくは大学に属する機関)に対し使える言葉ですので、ここでは使えません。履歴書などを送る際は特に注意してくださいね。
「貴学部の研究結果は、地震発生の将来予測に関する信頼性をさらに前進させたといえるでしょう」
大学内のある特定の学部を指す際には、「貴学部」と表現される場合もあります。学科の場合は、「貴学科」です。しかし、大学名から記載した場合は「貴学の○○学部○○学科」と記載するのが適しています。「貴学貴学部貴学科」と記載すると、大袈裟な書き方になりますので、気を付けてくださいね。
英語表現とは?
「貴学」を英語で表現する場合は、どのような表現を使えばいいのでしょうか。英語では「貴学」にあたる敬語表現は残念ながらありません。一般的には、大学名をそのまま記載するのが適しているといえるでしょう。二つ目の例文のように、“this university”(この大学)と表現することも可能です。
・I would like to admit into ○○ University and study political science.
私は○○大学へ入学し、政治学を学びたいです
・If I admitted this university, I will dedicate myself to the study criminal psychology.
この大学へ入学できたら、犯罪心理学の研究に専念したいです
最後に
学校にまつわる言葉のため、「貴学」を使う場面は限定的ですが、企業でも取引先が学校法人であれば、「貴校」「貴学」「御校」などを使うことが一般常識ですので、覚えておいて損はありません。口頭では、「御校」や「御大学」を使うこともお忘れなく。対面や電話で恥ずかしい思いをしないように、ぜひ、本記事を参考になさってくださいね。
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