目次Contents
「生む」と「産む」、使い分けていますか?
会話の中では意識することはありませんが、文字であらわそうと思うとふと分からなくなりがちなのが、「生む」と「産む」。使い分け方は、ご存知ですか?
「意味やニュアンスは分かるけれど、漢字の使い分けは実はあいまい…」という方も多いかもしれませんね。本記事では、「生む」と「産む」の使い分け方や使い方を紹介します。
あわせて、「生む」と「産む」にまつわる英語表現も一緒に見ていきましょう。
「うむ(生む/産む)」のニュアンス
まずは、「うむ」そのもののニュアンスについておさらいです。「うむ(生む/産む)」とは、「出産する」「新しく物事が生じる、作り出す」「ある事態を生じさせる」という意味を持っています。
「生む」と「産む」の違い
では、「生む」と「産む」はどう違うのでしょうか? 「生む」は一般的に使われ、「産む」は「出産に関係すること」に対して使うことが多いです。出産に関すること以外の多くは「生む」が用いられるため、迷った時には「生む」を使うことをおすすめします。
胎児やたまごなどを母体から外に出すなど、生命に関することは「産む」を用い、ものや状況を新たに生み出すことは「生む」を用います。「生成」という言葉がわかりやすいかもしれません。「生成」は主にものや事象に対して使い、生命に対しては使われませんよね。
「生む」と「産む」の使い方を例文で紹介
「生む」と「産む」の使い分けを確認したところで、続いては具体的な使い方について紹介します。
1:「エジソンが生み出した発明品の数々は、現代を生きる私たちの生活を豊かにするきっかけとなったと言っても過言ではない」
エジソンの発明品は物体ですよね。人の知恵や技術によって生み出したものは「生む」を使うことが多いです。
2:「小学校で飼っていたニワトリがたまごを産む瞬間に居合わせたことがある!」
出産に関わることについては「産む」を用います。この例文ではニワトリのたまごですが、イヌの赤ちゃんや人間の赤ちゃんなどに対しても「産む」を使いましょう。
3:「何気ない私の一言が、険悪な雰囲気を生む」
物体だけではなく、状況や空気感なども「生む」と表現することができます。「逃げ場のない状況を生む」などとも表現できますよ。
4:「彼女のつじつまが合わない言動が、私たちの疑惑を生んだ」
疑惑や怒り、感動など、感情にまつわることも「生む」を使います。ある状況や判断、感情を発生させるというニュアンスです。
「生む」と「産む」にまつわる英語表現
「生む」と「産む」は、同訓異字です。つまり、読み方は同じということですね。ではこの場合、英語表現はどうなるのでしょうか? この機会に抑えておきましょう。
「生む」のニュアンスを持つ英語表現
まずは「生む」の英語表現から。「作り出す」というニュアンスで、「produce」という単語を使うことが多いです。
たとえば、「You produced a good result.」で「あなたは良い結果を出した(もたらした)」という意味になります。
ややかたいニュアンスで使いたい場合には、「yield」を使うことが多いようです。「yield」には、「(農作物などを)産出する」「(結果などを)生む」「しぶしぶ差し出す、与える」といったニュアンスがあります。
ビジネスシーンなどで使われることも多く、「His experiment will yield amazing information.」で「彼の研究で驚くべき情報が得られる(生まれる)だろう」という意味合いになりますよ。
「産む」のニュアンスを持つ英語表現
「出産する」ということをダイレクトに表現する場合、「have a baby」を使うことが多いです。会話中では、「have a baby」を使うことが多いですが、文章中などでは「give birth(to)」を使います。たとえば、手紙やメールで出産予定日を聞く時には「When will you give birth to the baby?」という表現がおすすめです。
ほかにも、「bear」という動詞で表現することもできますよ。「My mother bore three children.」で、「母は3人の子供を産んだ」となります。
また、紹介したいくつかの表現は、人間の赤ちゃんの出産に対して使われることが多いです。
たまごを産む場合は「lay」を使います。「lay」には本当にたくさんの意味がありますが、そのなかのひとつが「産卵」です。ほかの意味も気になった方はぜひ調べてみてくださいね。
「うむ(生む/産む)」に関する言葉を紹介
ここまで「生む」と「産む」のニュアンスの違いや使い方を見てきましたが、最後に「うむ(生む/産む)」にまつわる言葉をひとつ紹介しますね。
「案ずるより産むが易し」
「案ずるより産むが易し」とは、「あれこれと考えて心配することよりも、行動する方が案外うまくいくことのたとえ」です。
この故事成語は、出産というリスクのある事態に対して、あれこれと心配するよりも実際に出産の段階に入ってしまえば案外何とかなるものだというところから生まれたとされています。
最後に
「産む」は出産に関する時に用いる漢字、それ以外は基本「生む」を使うと覚えておきましょう。本記事では、「生む」と「産む」の使い分け方や使い方、それぞれの英語表現などを一緒に見ていきました。
日常会話で使う際は問題ありませんが、いざ文字であらわすとなると混乱するのが同訓異字。「うむ」のほかにも「あつい」「はかる」など、日本語にはたくさん同訓異字がありますので、この記事を読んで興味を持った方がいらっしゃったらぜひ調べてみてください。
TOP画像/(c) Adobe Stock