この記事のサマリー
・基本ルールは「出産に関することは『産む』、それ以外はすべて『生む』」と覚えます。
・「産む」は、母体から新しい命が物理的に外へ出る、具体的・身体的な行為に限定して使います。
・「生む」は、利益・名作などの「価値の創出」や、誤解・うわさなどの「事態の発生」といった、比喩的・抽象的な場面でも広く使います。
「生む」と「産む」は日常でよく使う言葉ですが、漢字で書こうとすると迷いやすい表現だったりしますよね。「新しい命をうむ」「利益をうむ」「誤解をうむ」… など、どの漢字を選ぶべきか、パソコンを打つ指が止まってしまった経験がある人もいるでしょう。
実は、この二つには明確な使い分けのルールがあります。
この記事では、辞書の定義をもとに「生む」と「産む」を使い分けるための基本ルールを整理します。文章を書く場面でも安心して使えるように確認していきましょう。
「生む」と「産む」の違いはどこにある?
まずは、「生む」と「産む」の違いについて、辞書の定義を確認しましょう。
「生む」と「産む」の意味の違い
辞書では、この二つの使い分けについて非常にシンプルに説明されています。出産に関する場合は「産む」を用い、それ以外の意味では広く「生む」を使用。とても分かりやすいですね。
辞書では次のように説明されています。
う・む【生む/産む】
[動マ五(四)]
1 胎児や卵を母体から外に出す。出産する。分娩する。「卵を―・む」
2 物事を新たに生じる。新しく作り出す。「利が利を―・む」「名作を―・む」
3 ある事態・判断を生じさせる。「疑惑を―・む」「いろいろなうわさを―・む」
[補説]出産に関する「産む」以外は、広く「生む」が用いられる。
[可能]うめる
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
参考:『デジタル大辞泉』、『日本国語大辞典』(ともに小学館)
迷ったときのチェックリスト
「生命の誕生に関わるかどうか」を基準にすると、わかりやすいですね。
・「出産する」場面か? → 「産む」
・「新しい結果や状況ができる」場面か? → 「生む」
参考:『角川類語新辞典』(角川書店)

「生む」と「産む」を例文で確認
実際の例文を通して、「生む」と「産む」の使い分け方を具体的に確認します。
「赤ちゃんを産む」
出産に関連することは、「産む」が当てはまります。
「鳥が卵を産む」/「猫が子を産む」
対象が動物であっても判断の基準は変わりません。重要なのは「人間か動物か」ではなく、「出産に関連するかどうか」です。
「名作を生む」「記録を生む」
出産以外の場面では、「生む」を用います。
例えば、「誤解を生む」「混乱を生む」「成果を生む」「新たなビジネスを生む」といった言い回しが代表的です。また、「利子が利子を生む」のように、価値や結果が連鎖的に生じる場面でも「生む」を使います。
参考:『新選漢和辞典 Web版』(小学館)

英語ではどう表す?
英語で「出産」を表す場合は “have a baby” や “give birth (to)” を用います。
例文:“She gave birth to a healthy baby boy.”
(彼女は元気な男の子を産みました。)
「生む」を表す場合は、 “produce”、”give rise to”、”yield” などで表します。
例文:“The collaboration produced many creative ideas.”
(その共同作業は、多くのクリエイティブなアイデアを生み出しました。)
“The tax hike may give rise to public protest.”
(増税は、国民の抗議を生む(引き起こす)可能性があります。)
“This investment is expected to yield a high profit.”
(この投資は、高い利益を生むと期待されています。)
参考:『プログレッシブ和英中辞典』(小学館)

「生む・産む」に関するFAQ
ここでは、「生む」と「産む」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「子どもを生む」と「子どもを産む」は、どちらが正しいですか?
A. 出産という具体的な行為を表す場面では、「子どもを産む」を用いることが多いでしょう。
Q2. 動物の場合も「産む」を使いますか?
A. 人間か動物かに関わらず「産む」を用います。
Q3. 「誤解を産む」という表現は使えますか?
A. 出産以外の場面では「生む」を使います。
最後に
「生む」と「産む」の使い分けは、一見複雑そうに見えますが、「出産に関連するかどうか」というシンプルな基準を知っておくだけで、迷うことはありません。今日から自信を持って使い分けたいですね。
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