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この記事のサマリー
・「目をつむる」と「目をつぶる」は、どちらも「まぶたを閉じる」という意味を持つ言葉です。
・「目をつぶる」には「見て見ぬふりをする」という比喩的な意味もあります。
「目をつむる」と「目をつぶる」…。どちらが正しいのか、迷った経験がある人も多いのでは? そこで、本記事では、辞書の定義や文学作品での用例を手がかりに、両者の違いや使い分けについて丁寧に解説します。
「目をつむる」と「目をつぶる」の基本的な意味
「つむる」と「つぶる」は、どちらも「まぶたを閉じる」という動作を指します。漢字表記は両方とも「瞑る」です。まずは、両者の意味を辞書の記述から確認していきましょう。
「つむる」の意味
まずは、「つむる」から確認していきましょう。
つむ・る【×瞑る】
[動ラ五(四)]目を閉じる。つぶる。「目を―・る」
[可能]つむれる
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「つむる」とは、目を閉じることを指します。このほか、「口を閉じる」という意味もありますよ。
「つぶる」の意味
続いて、「つぶる」も確認しましょう。
つぶ・る【×瞑る】
[動ラ五(四)]
1 まぶたを閉じる。つむる。「目を―・って考える」
2 見て見ぬふりをする。「失敗に目を―・る」
[可能]つぶれる
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
「つぶる」は「まぶたを閉じる」の他にも、「見て見ぬふりをする」という2つの意味があります。
共通する意味と違い
どちらも「まぶたを閉じる」点では同じですが、「つむる」は「口を閉じる」という意味があります。一方「つぶる」は「見て見ぬふりをする」という意味を持つ点が違いです。

「目をつむる」と「目をつぶる」どちらが正しい?
「目をつむる」と「目をつぶる」は、どちらも辞書に掲載されており、いずれも誤用ではありません。口語でよく使われるのは、「目をつぶる」の方でしょう。
『類語例解辞典』(小学館)によると、「つむる」は「つぶる(tsuburu)」のbの音がmに変化したものだと説明されています。
「目をつむる/つぶる」心理効果は?
「目を閉じる」という行為は、単に視界を遮る動作だけでなく、心理状態や心身の反応とも深く結びついています。ここでは、心理面への効果を見ていきましょう。
リラックス・拒否・集中
会話中に目をつぶるしぐさが出ると、相手の発言を受け入れがたく感じていたり、考えを整理していたりするケースが考えられます。
一方で、静かに目をつぶる動作はリラックスや安心感を示すことも多いでしょう。
こうしたことを考えると、目を閉じることは、複数の心理的なサインを含んでいることがわかります。
健康や休息の効果
数秒間目を閉じるだけでも、光の刺激から解放され、目の筋肉が休まります。デスクワークの合間に少し目をつぶるだけで疲れが和らぐ体験をした人も多いでしょう。小休止のサインとしても使える動作です。
比喩表現としての「目をつぶる」
例えば、上司が「今回は目をつぶっておこう」と言うとき、それは「見て見ぬふりをする」という意志表示です。
また友人が「ちょっと目をつぶって聞いてみて」と促すときは、想像を膨らませて欲しいという意図が含まれます。このように、心理や場面によって「目をつぶる」のニュアンスは変化します。

実際にどう使う? ビジネスと日常の例文集
「見て見ぬふりをする」という意味を持つ、「目をつぶる」。ここでは、ビジネスシーン、日常会話に分けて例文を紹介します。
ビジネスメールでの例文
「今回はあえて目をつぶって、次回以降の改善に期待します」
「小さな誤りには目をつぶることも必要です」
日常会話での例文
「彼女の遅刻癖には、友人たちも目をつぶるしかなかった」
「ちょっとしたルール違反があったけど、忙しいから目をつぶった」

「目をつむる/つぶる」に関するFAQ
ここでは、よくある疑問をQ&A形式で整理しました。
Q.どちらを使うのが正しい?
A.両方とも辞書に掲載されており、誤用ではありません。
「見て見ぬふりをする」ことを表したいときは、「目をつぶる」としましょう。
Q.「つぶる」の漢字表記は?
A.「瞑る」です。
最後に
「目をつむる」と「目をつぶる」は、目を閉じるという意味ではどちらを使っても正解です。ただし、文書やメールを作成する際は、その中で表記を統一するのがベター。「目をつむる」と「目をつぶる」が混在すると、読み手を混乱させてしまうかもしれません。
「目をつぶる」は、「見て見ぬふりをする」という意味を持ちます。意味や使い方を把握し、適切に使えるようにしたいですね。
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