「お見かけする」を正しく使えていますか?
会話やメールで「お見かけする」という言葉を使う時、自分の使い方が正しいかどうか、不安になることはありませんか? 特に目上の人と話す際、「見かけました」と「お見かけしました」のどちらを使うべきか、わからなくなるかもしれません。そこで、この記事では「お見かけする」の使い方などについて解説します。
「お見かけする」は、「見かける」の敬語表現。目上の方には、「お見かけする」が適切です。
「お見かけする」の意味をおさらい
「お見かけする」は、「見かける」の尊敬語にあたります。「見かける」とは、意図せず目についた際に使う言葉。意図して見た時は使いません。
「お見かけする」は、自分より目上の人に対して使うことがほとんどです。「お見かけする」を使うシチュエーションとしては、「カフェで上司を偶然見かけたけれど、その時は声をかけなかった」というような状況が当てはまるでしょう。
「お見かけする」を正しく使おう
「お見かけする」は、ビジネスシーンの会話でもよく使います。だからこそ、適切に使えるようにしておきたいですね。「お見かけする」の正しい使い方を例文とともに紹介しますので、参考にしてください。
「お見かけする」の正しい使い方を例文で紹介
「お見かけする」は、偶然相手を見たけれど、その時は声をかけなかったという状況でよく使われますが、少し違うニュアンスもあります。例文とともに、その違いを見ていきましょう。
【例文1】先週の土曜日、駅前の書店で〇〇先輩をお見かけしました
駅前の書店で〇〇先輩の姿を偶然見つけたけれど、その時は声をかけなかったことを話題にしているパターンです。「声をかけてくれたらよかったのに」「休日だし申し訳ないと思ったのと、熱心に本を見ておられたので、遠慮しました」のように、会話が広がるかもしれません。
【例文2】先日公開されたWeb記事でお見かけしました
この場合は、実際に会ったわけではないけれど、Web記事の写真で姿を確認したことを示します。「お見かけした」は、実際に会っていなくても、使うことが可能です。ただし、記事に顔写真がない場合は「記事を読んだ」が適切。「先日公開されたWeb記事を拝読しました」と伝えるのがいいでしょう。
【例文3】部署異動されてから、フロアでお見かけする機会があまりなく、残念に思っています
上司や先輩などと会う機会が減ったり、姿を見かけなくなったりした場合に使うパターンです。「お見かけする機会があまりなく」の後は、「さみしい」「残念だ」のような気持ちの表現が続きます。相手と会う機会が減り、残念に思う気持ちを素直に表現することが可能。
【例文4】思いもかけない場所でお見かけしたので、嬉しくなりお声がけしました
偶然姿を見かけ、嬉しくなって話しかけたという場合に使うパターンです。偶然に姿を見つけ、少し迷ったけれど思い切って声をかけたということが伝わりますね。「嬉しくなり声をかけた」と言われたら、言われた側も悪い気はしないでしょう。また、「唐突に話しかける人」という印象を持たれずに済みます。
「お見かけする」の誤った使い方とは?
「お見かけする」の誤った使い方もチェックしましょう。NG例も、例文とともに解説します。
「お見かけする」のNG例
【NG例文1】通勤途中で、猫の親子をお見かけすることがある
「お見かけしました」は、敬語表現です。猫は尊敬する対象にはならないため、使い方としては不適切。この場合は「通勤途中で、猫の親子を見かけることがある」が適しています。
【NG例文2】昼休み、カフェで後輩の〇〇君をお見かけしました
同期や後輩を尊敬しているとしても、会話などで敬語表現は使いませんよね。聞いている方も違和感を覚えるはず。この場合も、「昼休み、カフェで後輩の〇〇君を見かけました」が適切です。
【NG例文3】お祭りの日は、浴衣姿の女性を多くお見かけする
「お見かけする」は、相手に敬意を示す表現のため、不特定多数の「浴衣姿の女性」に対して使うのはおかしいですよね。この場合は、「お祭りの日は、浴衣姿の女性を多く見かける」が適切です。
【NG例文4】〇〇部長をお見かけしましたか?
「お見かけする」をそのまま疑問文にすると、尊敬の対象があいまいになってしまいます。また、「見かける」という表現自体、主語は自分であることが多いため、疑問文にすると違和感を覚える人も多いでしょう。
「お見かけする」を疑問文にする場合は、「見かける」にするのが適切。この場合は、「〇〇部長を見かけましたか?」だと違和感がありません。聞く相手も上司で、敬語表現を使いたいという場合は、「ご覧になる」にするのも一つ。「見る」の意味をキープしたまま、尊敬語で尋ねることができます。
「お見かけする」の英語表現を紹介
英語表現の場合、丁寧な表現はあるものの、日本語のような敬語表現はあまり使いません。「お見かけする」を英語で伝えたい場合、どのような表現になるかを見ていきましょう。
「happen to see」
「偶然~する」を表す「happen to」と、「見る」を表す「see」を合わせ、「偶然見た」ということを表現。ただし、敬語表現を表す単語はないため、口調や態度で、相手に対する尊敬の気持ちを表現することになります。
【例文】I happened to see her. She was walking her dog.
→偶然彼女をお見かけしました。彼女は犬を散歩させていました。
最後に
「お見かけする」は、「見かけた」の敬語表現です。相手に対して敬意を表す言葉ですので、目上の人に対して使うのが一般的。実際に姿を見た場合はもちろん、姿を見ていない場合にも使うことができます。「お見かけする」は丁寧な表現ですが、使い方によっては相手が違和感を抱いたり、言葉の使い方がおかしいと取られたりすることも。特に疑問文として使うのは避けることをおすすめします。「お見かけする」は、フォーマルな場でもよく使われますので、正しい使い方をマスターし、日常でも使いこなしてくださいね。
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