【目次】
・「貴殿」の読み方と意味は?
・「貴殿」をビジネス等で使う時の注意点とは?
・「貴殿」の使い方は? 例文でチェック
・「貴殿」の類語にはどのようなものがある?
・最後に
「貴殿」の読み方と意味は?
「貴殿」という言葉をご存知ですか? あまり聞き馴染みのない言葉かもしれません。ビジネスメールや手紙などでは「貴殿」という言葉がよく使われます。そこで、今回は「貴殿」の意味や使い方について解説していきます。「貴殿」を使いこなし、マナーのある文書を書けるようになりましょう。
まずは、「貴殿」の読み方と意味から、確認していきます。
◆「貴殿」の読み方と意味
「貴殿」は「きでん」と読みます。「あなた」という意味で、二人称の人代名詞。つまり、「あなた」を丁寧に言い換えた言葉です。男性が、目上または同等の男性に対して用います。
◆「貴殿」の使い方は? 女性にも使える?
「貴殿」は、もともと目上の相手への敬称として用いられていましたが、のちに、同輩に対する親愛の気持ちを表す語としても用いるようになりました。現代では多く手紙や文書で用いる書き言葉となり、ビジネスシーンでは、かしこまった文書に用います。本来、「貴殿」は男性に対して使われる言葉。特定の女性に手紙やメールを宛てるときや、女性に向けて呼びかけるときは「貴殿」よりも「貴女」を使うほうが適切です。
「貴女」は、「きじょ」と読みます。「貴女」のもともとの意味は、「身分の高い女性」のこと。女性に対する敬意を表す語として、手紙や文書で用います。近年では男女を平等に扱うことが求められており、女性に対しても「殿」と使用することがあります。目上の相手への敬称として用いる点においては間違いではありません。しかし、本来の意味を考えれば「貴殿」ではなく「貴女」とするのが適切です。
「貴殿」をビジネス等で使う時の注意点とは?
ビジネスシーンで「貴殿」を使う時、どのような点に注意すれば良いか、確認していきましょう。
1:目上の人に対して使う
「貴殿」は目上、または同等の相手への敬称です。部下や後輩など、自分よりも下の立場の相手には使いません。ビジネスシーンでは、個人に文書を宛てるときに、文中では「○○様」「○○部長」といった書き方をせず、「貴殿」と書くのが一般的です。
また、「貴殿様」と書くのは誤りなので気をつけましょう。すでに敬称が含まれている役職名、例えば「課長」や「社長」に、「様」を付けることは間違いとされていますよね? 「貴殿」も同様です。どうしても、「様」を使いたい場合は、「○○様」を使うようにしてください。
2:話し言葉としては使わない
「貴殿」は書き言葉です。話し言葉として通常の会話の中で使うことはありません。上司や取引先に宛てた手紙やメールの前文、または結びの挨拶や正式な文書の中で用いられるのが一般的。面と向かって、「貴殿」と呼ぶことは出来ないので、注意しましょう。
3:複数人には使えない
「貴殿」は、二人称の人代名詞。複数人には使えません。「二人」のことを「お二方」などと言いますよね? 同じように、相手が複数の場合は「貴殿方」を使いましょう。敬意を含む「方」を付けて「貴殿方」とすることで、「あなた」の複数形を丁寧に表すことができます。
また、「貴殿」の複数形で「貴殿ら」があります。しかし、「ら」という言葉に失礼なニュアンスを感じる方もいるため、なるべく使うのは避けた方が良いでしょう。
「貴殿」の使い方は? 例文でチェック
では、「貴殿」という言葉をどのように使えば良いのでしょうか? 実際に例文を用いて、ビジネスシーンでの「貴殿」の使い方をみていきましょう。
1:「貴殿におかれましては、益々ご清栄のことと、お慶び申し上げます」
「貴殿」は、手紙の前文、または結びの挨拶や正式な文書の中で用いられます。そのような場合、慣用的な表現を用いて、個人の健康や活躍を慶ぶ言葉を書くのがマナーです。このような例文は、一般的に用いられる表現なので、覚えておきましょう。
2:「この度正式に貴殿を採用することが決定しましたので、ご連絡いたします」
採用通知で、「貴殿」を目にしたことがあるかもしれません。このように採用結果を通知する際にも、「貴殿」を用いることができます。「貴殿」は敬意をもって相手を呼ぶときの言葉です。応募してくださったことへの敬意をこめて「貴殿」と書きます。
3:「貴殿のご尽力の賜物と感謝しております」
例文のように、感謝を述べる際に、相手のことを「貴殿」と記すことが出来ます。感謝を述べる相手には、敬意をもって呼ぶべきですよね? このようなフレーズは、一般的に用いられる表現であり、正式な文書の中で用いることができます。
「貴殿」の類語にはどのようなものがある?
「貴殿」と同じように、「あなた」の代わりに使うことができる言葉があるでしょうか? 「貴殿」の類語と、その使い方について確認していきましょう。
1:貴台
「貴台」は、「きだい」と読みます。「貴殿」よりもさらに敬意を高めた言葉です。「貴殿」は男性が男性に対して使う言葉ですが、「貴台」は男女どちらにも使うことができます。
2:貴社
「貴社」は、「きしゃ」と読みます。相手が個人ではなく会社の場合は「貴社」を用いますよ。ただし、話し言葉では「御社」を用います。「記者」や「帰社」など、別の言葉と間違う可能性があるためです。書き言葉と話し言葉が違う点に、注意しましょう。
3:貴公
「貴公」は、「きこう」と読みます。「貴殿」と同様に、男性が、男性に対して用いますよ。男性が自分と同等、または目下の相手に用います。目上の相手には使えませんので、注意しましょう。
最後に
いかがでしたでしょうか? 「貴殿」という言葉を見たことはあっても、正しい意味や使い方を知らなかったという方も多いのではないでしょうか。「貴殿」は、改まった文書で多く使われる表現です。社会人として、メールの前文、または結びの挨拶等で、「貴殿」という言葉を用いて、マナーのある文書を書いていきましょう。
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