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『おかげさまで』の意味と基本の使い方
「おかげさまで」は、ただのあいさつや報告の一文ではありますが、日本語らしい謙虚さや感謝が込められた表現とも言えます。まずは、その意味と成り立ちをご紹介します。
言葉の意味と由来
「おかげさまで」は、周囲の助けやサポートに対する感謝を伝える表現です。「おかげ」という言葉には「加護」「影響」といった意味があり、そこに丁寧語の「さま」を加え、「~のおかげで」という、感謝の気持ちを言葉になったと言われています。
たとえば、「おかげさまで元気です」と言えば、「自分ひとりの力ではなく、まわりの支えがあってこそ今の状態がある」といった謙虚な気持ちが伝わる、日本語ならではの美しい言い回しです。
目上の人に『おかげさまで』を使ってもいいの?ビジネスマナーでの使い方
「おかげさまで」は目上の相手にも失礼なく使える表現です。むしろ、謙虚な姿勢を自然に伝えられる言葉として、ビジネスの場でも好まれる表現です。
ただし、何でもかんでも「おかげさまで」を使うと、かえって伝わりづらくなるケースもあるので注意が必要です。
シーン別|『おかげさまで』を使った例文
「おかげさまで」はさまざまな場面で活躍する便利な表現です。場面によってはひと言添えるなど工夫しながら使うのも良いでしょう。
ビジネスメールや日常会話など、具体的なシーン別に例文をご紹介します。
ビジネスメールでの使い方
社外の相手への報告やお礼など、メール文面の中でも「おかげさまで」は活躍します。形式ばりすぎず、丁寧な印象を与える一文に。
「おかげさまで、無事に納品が完了いたしました」
「おかげさまで、予定通りプロジェクトが進行しております」
「おかげさまで、先方にもご満足いただけました」
どれも、相手への感謝や状況の良さを伝えると同時に、謙虚な姿勢も感じられる表現です。
日常会話での使い方
日々のコミュニケーションや打ち合わせ、ちょっとした近況報告でも自然に使えるのがこの表現の良さです。
「おかげさまで、無事に退院できました」
「おかげさまで、順調に進んでおります」
「おかげさまで、たくさんの方にご来場いただけました」
などは、聞く側も構えることなく受け取れる、柔らかい言い回しです。
メールで使う例
会話では「おかげさまで」が自然ですが、メールではやや改まった表現が相応しい場合も。
「おかげさまで〜」の文章の後に、「ご配慮いただきありがとうございました」などプラスすると、少しフォーマルな印象になります。

言い換え表現とフォーマル度の違い
より改まった言い回しや、相手との関係性に応じた敬意を示したいときには、「おかげさまで」に代わる表現を取り入れるのが効果的です。ここでは目的別に適した言い換えを紹介します。
丁寧な言い換え表現の使い方
「おかげさまで」よりも少しフォーマルな印象を与えたいときは、次のような表現がおすすめです。
「ご高配を賜り、誠にありがとうございます」
「皆さまのご支援のもと、本日を迎えることができました」
「温かいご配慮をいただき、心より感謝申し上げます」
大切な場面や改まった文章では、より格式のある言葉選びを意識しましょう。
目上の人への敬意を込めた言い換えの使い方
特に相手が役職者やキーパーソンの場合は、敬意を込めた表現に言い換えることで、より信頼感のある印象を与えることができます。
「〇〇様のご指導の賜物と、心より御礼申し上げます」
「〇〇様にお力添えいただいたおかげで、スムーズに進めることができました」
具体的に相手の貢献を示すことで、言葉の重みが増し、形式的な印象を避けることができます。
「誰のおかげか」を添えて信頼アップ
「おかげさまで」は便利な表現ですが、曖昧なまま使うと感謝の気持ちが伝わりにくくなります。「誰に対する感謝か」を明確に伝えると、より信頼がアップします。
感謝の相手を明確にする使い方
「おかげさまで、順調に進んでいます」
改善例:「〇〇様の的確なご指示のおかげで、順調に進められております」
曖昧な表現を避け、具体的に「誰に何を感謝しているのか」を伝えることが、より良い関係づくりの第一歩です。
「おかげさまで」を使いこなして、好印象を!
「おかげさまで」は、感謝と謙虚さを込めた日本語の魅力が詰まった言葉です。目上の人にも失礼なく使える便利な表現ですが、場面や相手との関係性を意識することで、より丁寧に、より誠実に伝えることができます。
自分らしい“+αのひと言”も添えて、相手とのコミュニケーションを深めていきたいですね。

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コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。