「ご理解いただきありがとうございます」の基礎知識
「ご理解いただきありがとうございます」とは感謝の気持ちを伝える言葉ですが、相手によっては使い方に注意が必要です。はじめに、以下の基礎的な内容からチェックしていきましょう。
・ご理解の意味
・ご理解いただきありがとうございますの意味
・ビジネスシーンで上司などに使う際に注意すべき点
・使い方や例文
それぞれのポイントを詳しく解説します。
ご理解の意味
ご理解いただきありがとうございますには、「ご理解」と「〜いただきありがとうございます」という言葉が使われています。このうちご理解とは、「物事がわかること」や「意味をのみこむこと」という意味です。目上の相手に対して事情をくみ取ってほしいときに使います。
「理解」に尊敬や謙譲を表す接頭辞である「ご」をつけて、相手を敬う気持ちを表しつつも自分の事情を考慮してほしいと表現する言葉です。
ご理解いただきありがとうございますの意味
ご理解いただきありがとうございますとは、「もらう」の謙譲表現である「いただく」をつけることで、相手が理解を示したことに対して感謝の気持ちを表す表現です。「理解してくれてありがとう」という気持ちを丁寧に伝えたいときに使います。
この言葉を品詞分解すると、「ご」「理解」「いただく」「ありがとう」と、「ござる」の連用形である「ござい」に丁寧語である「ます」をつけたものに分解されます。
ビジネスシーンで上司などに使う際には注意
この言葉は目上の人に対して使う敬語表現のため、ビジネスシーンなどでも使っている人が多いです。相手に対してこちら側の事情や立場を察してほしいとやんわりと伝える際や、理解を依頼して相手から返信がきたときに返すメールなどで、「ご理解いただき~」という表現を使います。
ご理解いただきありがとうございますは「ご理解ください」よりはやわらかいニュアンスの言葉です。しかし、「お礼申し上げます」や「感謝申し上げます」としたほうが丁寧な印象にできます。また、いただくよりも「賜る<たまわる>」としたほうがより丁寧になるため、上司や取引先などに対して使う際には時と場合にあわせた使い分けが重要です。
使い方・例文
実際に、言葉の使い方や例文をチェックしていきましょう。
ご理解いただきありがとうございますは、相手がこちらの事情への理解を示したことを感謝する際に使います。ビジネスシーンではよく使用されるフレーズで、メールを送る際などに使える言葉です。実際の例文は、以下のとおりです。
・システムの仕様変更につきまして、ご理解いただきありがとうございます。
・打ち合わせの件、ご理解いただきありがとうございます。
さらに丁寧な印象にしたい際は、以下のように伝えましょう。
・このたびの納期遅延につきまして、ご理解賜り厚く御礼申し上げます。
ご理解いただきありがとうございますの類語3つ
言葉を言い換える場合の表現方法も、あわせてチェックしましょう。言い換えできる言葉は、以下のとおりです。
・ご容赦いただきありがとうございます
・ご了承いただきありがとうございます
・ご承知いただきありがとうございます
このほかに、「ご承認いただき」や「ご承諾いただき」という表現もあります。
それでは、どのように言い換えるのか、違いはあるのかを解説していきます。
1. ご容赦いただきありがとうございます
「ご容赦いただき」は、ご理解いただきの言い換え表現のひとつです。「ご容赦」とは「許して受け入れる」という意味で、すでになにか起きてしまった際にその出来事に対する理解を求める表現として使われます。自分に過失がある場合や相手より不利な立場で「大目に見てほしい」というニュアンスで使われる言葉です。
言い換えをする際は、ご理解よりも許可を求める意味合いが強くなることに注意しましょう。
2. ご了承いただきありがとうございます
「ご了承いただきありがとうございます」も、同じく言い換えの際に使える類語のひとつです。「ご了承」には「事情を理解したうえで受け入れてもらう」との意味があり、ご理解と同じように事情を汲み取ってほしいとお願いする際などに使います。
ご理解との違いは、ご了承はこれから起こる未来のことに対して理解を求めていること、こちらの主張を受け入れてもらいたいという意思がさらに強まることです。
3. ご承知いただきありがとうございます
言い換えできる表現のひとつに、「ご承知いただきありがとうございます」もあります。「知る」の敬語表現であり、「事情などをわかっていること」「要求を聞き入れること」といった意味で使う言葉です。相手が自分の事情を理解して、申し入れを受け入れてくれた場合などに使います。
「ご承知いただき」という言葉は、理解を求めるだけではなく、知っておいてほしいというニュアンスが強い表現です。
ご理解いただきありがとうございますを理解しよう
ご理解いただきありがとうございますという言葉は目上の人に対して使う敬語表現のため、ビジネスシーンなどでよく使われている表現です。事情を汲んでもらったことに対する感謝の気持ちを、相手に丁寧に伝えたいときに使います。
「ありがとうございます」よりも、お礼申し上げます、感謝申し上げますとしたほうが丁寧な印象にできます。また、いただくよりも賜る<たまわる>としたほうがより丁寧になるため、上司や取引先などに対して使う際には時と場合にあわせた使い分けが重要です。
言い換えできる言葉は、以下のとおりです。
・ご容赦いただきありがとうございます
・ご了承いただきありがとうございます
・ご承知いただきありがとうございます
言葉の意味や正しい使い方、言い換え表現などを理解し、時と場合にあわせて使い分けられるようになりましょう。
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