「久闊を叙する」とは? 意味・読み方・由来
「久闊を叙する」という言葉をご存じですか? 日常的に使う言葉ではないため、知らない人が多いかもしれません。本記事では「久闊を叙する」について、意味などを紹介します。久しぶりの再会時に使える言葉なので、ぜひチェックしてください。まずは、辞書の意味を見ていきましょう。
意味と読み方
久闊を叙する
読み方:きゅうかつをじょする
無沙汰をわびるあいさつをする。久し振りに友情を温める。「互いに—・する」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「久闊を叙する」は、昔の友人などに久しぶりに再開し、親交や友情を温め直すことを表します。昔の友人や知人などに、長期間会っていないことが前提になりますので、そのことを把握しておくといいですね。
「久闊」「叙する」それぞれの意味
「久闊を叙する」の「久闊」「叙する」も、日常ではあまり見聞きしませんよね。それぞれの言葉についてもチェックしていきましょう。
「久闊」は、久しく会わないことや、連絡をしないことを表す言葉です。「叙する」は、述べて表すという意味。
「久闊を叙する」は、久しく音信が普通だった人に「長い間ご無沙汰しておりました」とわびることや、再会して親交を温め直すことを意味する言葉です。
「久闊を叙する」と似ている言葉
「久闊を叙する」と似ている言葉を見ていきましょう。「旧交を温める」「旧友と再び懇意になる」「無沙汰をわびる」「久しぶりに挨拶する」を紹介します。
「旧交を温める」
「旧交を温める」は、昔からの交際を再び始めることを表します。読み方は「きゅうこうをあたためる」。古い友人や知人などと再会し、再び交流することを表すため、「久闊を叙する」と似た意味を持つ言葉といえるでしょう。
《例文》同窓会で小学校のクラスメイトたちと再会し、旧交を温めた。
「旧友と再び懇意になる」
古い友達と再び親しく交際することや、仲良く交流することを表すのが「旧友と再び懇意になる」です。この言葉も「久闊を叙する」と似ていますよね。「きゅうゆうとふたたびこんいになる」と読みます。
《例文》旧友と再び懇意になり、一緒にパリを旅することにしました。
「無沙汰をわびる」
長い間、訪問や音信をしないことを表す「無沙汰をわびる」は、「久闊を叙する」と似た意味を持ちます。読み方は「ぶさたをわびる」。「ご無沙汰をお詫びします」のように使われている言葉です。
《例文》前職の同僚と久しぶりに再会し、無沙汰をわびた。お互いに年を取ったと笑い合ったが、彼のやさしい笑顔はあの頃のままだった。
「久しぶりに挨拶する」
「久しぶりに挨拶する」は、長期にわたり連絡していなかった人と挨拶を交わすことを表します。「ひさしぶりにあいさつする」と読む言葉です。
《例文》昔、お世話になった方に再会、久しぶりに挨拶することができました。
「久闊を叙する」の使い方
「久闊を叙する」の使い方を見ていきましょう。例文を紹介しますので、参考にしてくださいね。
【例1】大学を卒業して10年。久しぶりの同窓会に多くの人が集まり、あちらこちらで久闊を叙していた。
進学や就職などの転機があると、古い友人とはあまり会わなくなることが多いでしょう。しかし、同窓会などがきっかけで、交流が復活するということも。例文が表すのは、久しぶりに同窓会があり、会場のあちこちで「ご無沙汰していました」「久しぶりだね!」という声が上がっていたさまを表しています。
【例2】古い友人たちとの関係を維持するには、久闊を叙する機会を定期的に設けることが欠かせません。
人との関係を保つには、やはり会って交流する機会を設けることが必要ですよね。会わなくなると疎遠になりがちですから、意識したいところです。例文が表すのは、まさにそのこと。親交や友情を温め合う機会を大切にしたいですね。
【例3】一緒にいつも遊んでいた幼馴染をSNSで発見。連絡を取り、来月故郷にあるカフェで久闊を叙することになった
SNSやブログなどがきっかけで、幼馴染や昔の知人と再会することもあるでしょう。例文は、SNSがきっかけで連絡をとり、故郷で再会することになったことを表す一文です。
長い間会っていなかったとしても、瞬時に昔のような関係に戻り、いろんな話をすることができそうですね。
「人との交流」が関連する慣用句
ここからは「久闊を叙する」のような、人と人との交流に関連する言葉を見ていきましょう。いくつかピックアップして紹介します。
「心腹の友」
心を許し合った最も親しい友人を表すのが「心腹の友」です。読み方は「しんぷくのとも」。少し親しいのではなく、最も親しい友人を指す言葉です。
《例文》私の心腹の友は、中学と高校をともに過ごした彼女だ
「知己」
自分のことをよく理解してくれる親友を意味する言葉。「ちき」と読みます。
《例文》同期入社のOさんは、いつの間にか私の知己だ
「麻の中の蓬」
「麻の中の蓬」とは、蓬(よもぎ)のように曲がりやすいものでも、まっすぐな性質の麻の中に入って育つことができれば、曲がらずに伸びるという意味。これが転じて、人は善良な人と交流すれば、自然に感化されて誰でも善人になることを表すたとえとして用いられています。
「あさのなかのよもぎ」と読みます。
《例文》麻の中の蓬というから、付き合う友人は選んだほうがいいよ
「金蘭の契り」
きわめて親密な交わりを「金蘭の契り」といいます。読み方は「きんらんのちぎり」。中国の書物が由来とされる言葉で、「金蘭の交わり」ということも。
「金蘭」とは、非常に親密な交わりや、非常に厚い友情を表す言葉。信じ合い、深く理解しあっている人同士の交わりを示す言葉です。
《例文》Aちゃんとは小学校からの友人で、金蘭の契り。彼女以上に私のことをよく理解している人は他にいないだろう
最後に
「久闊を叙する」について、意味や使い方などをまとめました。あまり見聞きせず、使うこともない言葉かもしれませんが、「久しぶりに旧交を温め合う」「久しぶりの交流になったことをわびる」などの意味があります。昔の友人や仲間と再会して感激したり、昔話に花が咲いたりするのはたのしいもの。ワイワイと過ごす時間は、とてもいいものですよね。
TOP画像/(c)Adobe Stock