唯一無二の意味とは?
「唯一無二(ゆいいつむに)」とは、ただ一つあって、二つとないことです。ただ一つであることや、それ以外にはないことを示す「唯一」を強めた言葉として使われます。
ゆいいつ‐むに
出典:小学館 デジタル大辞泉
《「唯一」を強めていう語》ただ一つあって、二つとないこと。「唯一無二の存在」
唯一無二は、次の形で使われることがあります。
・唯一無二の存在
・唯一無二だ
それぞれの使い方を、例文を通して見ていきましょう。
使い方1.唯一無二の存在
代わりになるものがない存在に対して、「唯一無二の存在」と表現できます。その存在が極めて貴重であること、特殊であることを伝えたいときにも使ってみましょう。
・ハンドメイドアクセサリーの世界において、彼は唯一無二の存在だ。デザインといい、素材の組み合わせといい、彼がトレンドを牽引しているといっても過言ではないだろう
・あの猫は私にとって唯一無二の存在だった。今は別の猫と暮らしているが、決してあの猫の代わりではない
使い方2.唯一無二だ
絶対的な存在や独創的なアイデアなどに対して、ほかと比べられないことを強調して「唯一無二だ」と表現できます。
・彼女が描く淡い色彩は唯一無二だ
・彼がつくるスイーツはすべて素晴らしいが、とくにフルーツタルトは見た目、味ともに唯一無二だ
唯一無二の言い換え表現
唯一無二は、次の言葉で言い換えられることもあります。
・類いない(たぐいない)
・比類ない(ひるいない)
・並び無い(ならびない)
それぞれの使い方やニュアンスの違いについて、例文を通して見ていきましょう。
類いない(たぐいない)
「類いない(たぐいない)」とは、他に比べるものがないほど、その程度がはなはだしいことです。
なお、「類い(たぐい)」とは、同じ種類のものや同類、同じ程度のものや同等のものを指します。「類い」が「ない」、つまり、同じような水準のものがないという意味のため、極めて優れているときや比較できないほどのレベルのものに使います。
・今年の剣道大会で優勝したのは、類いない剣の達人だ
・彼女は類いない頭脳の持ち主だ
また、「類い稀(たぐいまれ)」という表現も使われます。非常に数が少なく珍しい様子、めったにないことを指す言葉です。
・彼の類い稀な美しさは、この小さな町では極めて異質だった
・決して恵まれた環境とはいえなかったが、彼女の絵画における類い稀な才能は徐々に開花していった
比類ない(ひるいない)
「比類ない(ひるいない)」とは、比較できるものがないことです。「類いない」と同じく、極めて優れているときや、比較が難しいほどの水準にあるときに使われます。
・彼女の歌声を聞いたことがありますか? 比類ない美声とは、まさしく彼女の声のことだと思います
・彼の比類のない優しさが、私の心を癒やしてくれている
並び無い(ならびない)
「並び無い(ならびない)」も、ほかと比較できるものがないことを指す言葉です。「類いない」や「類がない(るいがない)」の言い換え表現としても使われます。
・彼は並び無い権力者だ
・芸術作品はいずれも並び無いものだが、彼女が60代になってからの作品は「並び無い」という言葉さえ陳腐になってしまう。ただただ圧倒的な美だ
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唯一無二とは反対の意味で使う言葉
唯一無二の反対の言葉としては、「どこにでもある」や「似たり寄ったり」などが挙げられます。また、次の言葉も、唯一無二とは反対の意味の言葉として使われます。
・有象無象(うぞうむぞう)
・烏合の衆(うごうのしゅう)
それぞれの使い方やニュアンスについて、例文を通して見ていきましょう。
有象無象(うぞうむぞう)
「有象無象(うぞうむぞう)」とは、取るに足りない種々雑多な人々や、多く集まったつまらない連中のことです。唯一無二とは異なり、一人ひとりの存在に独自性がないときに使われる傾向にあります。
・優秀なアナライザーを雇用しようと求人広告を出したが、応募したのはいずれも有象無象ばかりだった
・有象無象の中で、彼女の聡明さは希少なダイヤモンドのように輝いていた
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烏合の衆(うごうのしゅう)
「烏合の衆(うごうのしゅう)」とは、規律も統一もなく寄り集まった群衆のことです。そもそも「烏合(うごう)」とは、烏(からす)の集まりのことで、人々が規律も統一もなく寄り集まっている様子を烏にたとえています。
・広場に集まった烏合の衆は、軽く1万人を超えている
・話題になったあの会社の前には人だかりができていた。まさに烏合の衆という言葉がぴったりで、統制もなく道に広がり、交通渋滞を引き起こしていた
唯一無二を適切な場面で使おう
唯一無二は、一つとして同じものがないことを意味する「唯一」を強調した言葉です。比べるものがないほど優れたものや、独自性のあるものを表現するときに、使われることがあります。
唯一無二の反対の言葉としては、有象無象や烏合の衆が挙げられます。いずれも「取るに足りない」や「規律がない」などのネガティブな意味を持つ言葉のため、使用するときは十分に注意をしてください。
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