「正真正銘」という言葉を聞いたことはありますか? おそらく多くの人が耳にしたことがあるでしょう。馴染みのある言葉ですが、この四字熟語が本来どのような意味を持ち、どんな由来があるのか考えたことがある人は、少ないかもしれませんね。
「正真正銘」の意味や由来は?
はじめに、「正真正銘」の言葉の基本を確認しておきましょう。読み方や正確な意味、そして由来について深掘りしていきます。
読み方
「しょうしんしょうめい」。古くは、「しょうじんしょうめい」と読んだそうです。
意味
正真正銘とは、「嘘や偽りが全くなく、本物であること」。「正真」と「正銘」の2つの言葉から成り立っています。それぞれ、「正真」は、「偽りがなく本物であること」を、「正銘」もほぼ同じように、「偽りではなく正しいものであること、本物であること」を、意味します。「正真」と「正銘」、2つの言葉が1つになった「正真正銘」からは、「本物である」という意味の強さが感じられますね。
由来
「正真」の由来は仏教語であると言われており、仏陀の知恵・知見を意味する言葉です。紀元3世紀ごろに、仏典の翻訳に取り組んだ「竺法護(じくほうご)」という僧侶は、『正法華経』の中で、仏陀の悟りを「無上正真道」と訳したそうです。
また、「正銘」は、「(刀に)正しい銘が刻まれている」という意味から転じて、「正しいもの、本物である」という意味を持つようになりました。
使い方を例文でチェック!
正真正銘の意味や由来について確認できたところで、次は使い方を例文を用いてチェックしておきましょう。
1:正真正銘の純金だ
「本物だ」と強調したいものの前に付けて、「正真正銘の…」と使うことができます。非常に貴重なものや、偽物が存在するものなど、本物であることが重要なときによく使われる印象ですね。「の」を付けずに「正真正銘…」と言うこともあります。
2:正真正銘、間違いはない
単体で文頭に使われることも。たいていそのあとは、例文のように「間違いはない」、「本物だ」「確実だ」などといった言葉が続きます。後半の言葉の内容を、より強調したい時に使うと効果的でしょう。
3: 正真正銘の悪だ
「正真正銘」と聞くと、続くものは高価なものや価値があるものなど、「いいもの」という印象があるかもしれません。しかし、「悪」「悪者」「悪党」など、悪いものに対しても使えます。
類語や言い換え表現は?
次に、正真正銘の類語や言い換え表現も確認しておきましょう。四字熟語は堅苦しい印象がありますが、分かりやすい言葉に言い換えることで、話しやすく、相手にとっても聞き取りやすくすることができます。
1:紛れもない
「紛れもない」とは、「きわめて明白」「まちがえようがない」という意味です。「紛れもない真実」「紛れもなく本人」のように使います。
2:他ならない
「他ならない」とは、「決してそれ以外のものでない」「まさしくそう」という意味の言葉。一般的に、「…に他ならない」という使われ方をします。「友人のおかげに他ならない」「努力の成果に他ならない」などですね。
3:まさしく
「まさしく」は、「まさに」「間違いなく」という意味を持つ言葉。「まさしく彼女だ」「まさしく本物だ」というように使います。どの言い換え表現も、正真正銘よりも気軽に使えそうです。
英語表現は?
最後に、「正真正銘」の英語表現をチェック。「本物だ」「嘘ではない」と自信をもって伝えたい時や、相手に信じて欲しい時は、語彙が豊富だと説得力が増しますよね。
1:genuine
genuineとは、「本物の」「ニセモノではない」という意味を持つ形容詞。ほかにも、「正直な」「誠実な」「(血統が)純粋な」という意味もあります。
2:authentic
authenticは、「本物の」「れっきとした」という意味の形容詞。まさに「正真正銘の」と訳されることも。他にも、「信ぴょう性がある」「確かな」「認証済みの」という意味もあります。
3:the real deal
「the real deal」は、スラングと呼ばれる口語表現ですが、本物やニセモノではないものを表現したい時によく使われます。「He is the real deal.」と言えば、「彼は本物だ」「只者ではない」「本当に才能がある」というニュアンスになりますよ。
一緒に覚えておきたい「唯一無二」
「彼女は正真正銘、唯一無二の存在だ」といったフレーズを耳にしたことはありますか? 正真正銘と一緒に使われがちな「唯一無二」という四字熟語についても、簡単に確認しておきましょう。
意味
「唯一無二」は「ゆいいつむに」と読みます。よく聞く言葉なので、読める人が大半だと思いますが、読み方を知らないと一瞬戸惑うかもしれませんね。意味は、「ただ一つであり、二つはない」です。
使い方や言い換えは?
「唯一無二の存在」「唯一無二の資料」「唯一無二の楽しみ」などと使います。その物事が、「たった一つしかない」ということを強調したいときにぴったりですね。「唯一無二」を他の言葉で言い換えたい時は、「オンリーワン」「かけがえのない」「類のない」などと言うといいでしょう。
英語表現は?
おそらくみなさんもよく知る「only」という単語は「唯一無二」という意味で使えます。より強調したい時は「one and only」と言ってみましょう。
また、「unique」という単語を使ってもいいですね。「ユニーク」とカタカナ英語になっていることもあり、「個性があって他と違う」というイメージがありますが、唯一無二と同じように「ただ一つだけの」「他にはない」というシンプルなニュアンスで使うことが可能です。
最後に
「正真正銘」という四字熟語について、意味や由来から使い方、言い換え・英語表現まで解説しました。馴染みのある言葉ですが、改めて言葉について調べてみると、新しい発見がありますね。仏教が言葉の背景にあることは、おもしろい発見でした。他にも気になる言葉があれば、ぜひ調べてみてくださいね!
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