「意気消沈(いきしょうちん)」とは、「意気込みがすっかり衰えること、元気がなくなること」を言います。用いられている漢字から、なんとなく意味は伝わりますが、意味を知っておくと、正しく使えますね。本記事では、意味や類語、使い方、前向きになる四字熟語を紹介します。
仕事が上手くいかなかったり、パートナーと些細なことで衝突してしまったりすると、気持ちが落ち込んでしまいますよね。意気消沈とは、そんな状態を指します。本記事では、その意味や類語、意気衝天(いきしょうてん)との違いを解説!
「意気消沈」の意味は?
「意気消沈」とは、元気をなくしてしょげること、意気込みが衰えること、威勢がくじけることを表す四字熟語です。
「意気」は、事をやりとげようとする積極的な気持ち、気概、いきごみのこと。「消沈」は、消えうせること、また、気力などが衰えてしまうことを言います。反対の意味の言葉が合わさってできた言葉と言えますね。
自信を持ってプレゼンした企画が上司の反応が悪かった、良かれと思って行なった行為が実は迷惑だった、など、自分はやる気十分でのぞんだことが、期待通りにならなかった場合、元気がなくなり、しょげてしまうことも。
意気消沈してしまうことは避けたいところですよね。一方で、改善点が見つかったり、新しい視点を得たり、視野が広がったりと悪いことばかりではありません。起きたことは素直に受け止めて、前向きにとらえることが、大切です。
「意気消沈」の使い方は?
どんな風に、「意気消沈」を使うのでしょうか。ここでは例文を使って解説します。
1:試験で予想以上の難問が出題され、学生たちは意気消沈してしまった。
ここで使う意気消沈は、予期しない難しさに対しての挫折感を表しています。万全の準備で、のぞんだ試験。その予想を上回る難解な内容に、打ちのめされた経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか? 先生からの期待の表れだと、前向きにとらえましょう。
2:新しいプロジェクトに取り組んでいたが、メンバーとの連携が難しく、彼は意気消沈してしまった。
この場合は、プロジェクトリーダーとしての苦悩が描かれています。プロジェクトの内容自体は問題が無くても、仲間との協力がうまくいかないと、成功はあり得ません。まずは、プロジェクトの目的を具体的に定義し、進行すべき範囲やゴールを明確にします。何よりもメンバーとのコミュニケーションが大事ですね。
3:目標未達成で悩んでいる部下を、叱責することしかせず、意気消沈させる部長は上司として失格だ。
古い時代感覚を持った上司に、ありがちな指導方法と言えるでしょう。叱って部下のやる気や根性を見出すというやり方は、今は通用しませんよね。かえって、部下の気持ちが沈んでしまうだけではなく、パワーハラスメントととらえかねません。周りで働く同僚が、サポートしてあげることを心がけましょう。
「意気消沈」の類語は?
意気消沈に似た意味を持つ言葉は、いくつかあるようです。読み方と共に3つ紹介します。
1:意気阻喪(いきそそう)
意気阻喪とは、意気込みがくじけ、弱ること。「阻喪」は、気力がくじけて、勢いがなくなること、また、気落ちさせることを言います。意気消沈とほぼ同じ使い方になりますね。
2:陰陰滅滅(いんいんめつめつ)
陰陰滅滅とは、雰囲気や気分が非常に暗く、気が滅入るようであるさまを表します。「陰陰」とは、薄暗く、もの寂しい様子。意気消沈より一歩踏み込んで、物悲しく、失望感が強い場合に使います。
3:青息吐息(あおいきといき)
青息吐息とは、困って苦しいときなどに、弱りきって吐くため息のこと、また、そのため息の出る状態を言います。「青息」とは、苦しみ嘆いた時につくため息。「吐息」は、落胆したり、緊張がゆるんだりしたときに思わず出る息のこと。このような状態の時には、大きく深呼吸をしてみましょう。一旦その状況から離れることも大切です。
「意気衝天(いきしょうてん)」との違いは?
「意気消沈」と読み方が似ている、「意気衝天」。実際はどのような意味なのでしょうか。これを機に覚えておきましょう。
「意気衝天」とは、「意気込みが天を突くほどに盛んなこと、意気旺盛なこと」。意気消沈とは、反対の意味を持つ言葉と言えそうですね。「衝天」とは、天を突くこと、意志や気力が盛んなこと。強い意志や情熱、高い志向を持って物事に挑む様子を表しています。
自分の意志にそって、イキイキと働いている人は、こちらも勇気をもらえますね。一緒にいると、自分もやる気が湧いてきて、前向きな気持ちになれそうです。
意気消沈している人からすると、羨ましく感じ、眩しく見えることも。今は少し落ち込んでいるけど、いつかは、自分もそんな風になれると、目標にしてみるといいかもしれませんね。
前向きになる四字熟語を紹介
意気消沈した時に、前向きになる言葉を知っていると、自分で自分を励ますこともできそうです。ここでは、3つ紹介します。
1:気炎万丈(きえんばんじょう)
「気炎万丈」とは、大いに気炎をあげること。また、そのさまを言います。「気炎」とは、燃え上がるように盛んな意気、議論などの場で見せる威勢のよさのこと。意気込んでのぞむ会議の前には、気炎万丈を思い出してみましょう。
2:雄心勃勃(ゆうしんぼつぼつ)
「雄心勃勃」は、心が盛んに沸き立つ様子を言います。「雄心」とは、勇ましい心、男らしく強い心のこと。「勃勃」とは、物事が勢いよくわき起こるさま。「勃勃たる勇気」と表現したりします。何かを始める時に、唱えてみるといいかもしれません。
3:意気軒昂(いきけんこう)
「意気軒昂」は、意気込みが盛んで、元気いっぱいな様子。「軒昂」は、意気が高く上がるさま、奮い立つさまを言います。意気軒高と書くことも。自分の好きなことを思いっきり楽しんでいる時や、やりがいのある仕事を任されている時、意気軒昂な状態にあると言えるでしょう。
最後に
今回は、「意気消沈」について解説しました。いつも物事が上手くいくということはありませんね。失敗したりつまずいたりして、気づきや学びを得ることで、成長していくと言えます。意気消沈は成功するための心の準備状態と、ポジティブに考えてみましょう。
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