「とどのつまり」の意味や語源とは?
「とどのつまり」という言葉、聞いたことはありますか? 日常生活でそれほど頻繁に使われる言葉ではないかもしれませんが、いざというときのために基本的な意味は知っておきたいところ。今回は、「とどのつまり」の意味や語源、覚えておくと便利な言い換え表現などを解説します。
意味
「とどのつまり」とは、「いきつくところ」「結局」という意味。いろいろな過程を経て、いきついた最後の場面で使われる慣用句です。「とどのつまり計画は失敗に終わった」というように、さまざまに手を尽くしたけれど結果が思わしくなかった場合などに用いられます。
語源
「とどのつまり」という言葉の「とど」とはなんなのだろうと疑問に思いませんか? 諸説ありますが、「とどのつまり」は、出世魚の「ボラ」が由来とされているようです。地域によっても若干違うようですが、「ボラ」は、成長過程で以下のように名前が変わります。
ハク(約3センチ)→ オボコ(5~10センチ)→ イナ(約20センチ)→ ボラ(30~40センチ)→ トド(50センチ以上)
このように「ボラ」は、最後に「トド」という名前になることから、「いきつくところ」「最終的に」という意味合いで、「とどのつまり」という言葉が生まれたとされています。ちなみに、あまりなじみのない「ボラ」ですが、刺身や煮付けにして食べられたり、高級珍味のカラスミは、ボラの卵巣の塩漬けなんですよ。
「とどのつまり」の使い方
最終的な結果を伝えるときに使われる「とどのつまり」ですが、いくつか注意点もあります。ここでは「とどのつまり」を使う際に押さえておきたいポイントを紹介しましょう。
ネガティブな結果に対して使うのが一般的
先述したように「とどのつまり」を使う際には、多くの場合ネガティブな意味合いが含まれます。期待していたような結果が出なかったときや、理想通りにならなかった場面で使われることが多い言葉です。会話の中では、「とどのつまり、中止になった」「とどのつまり、失敗した」というように、悪い結果を伝えるときに使用されるでしょう。そのため、「何度も練習したおかげか、とどのつまり実験に成功した」というように最終的によい結果になった場合にはあまり使われません。
・お互いに不満を募らせ、とどのつまり喧嘩になった。
・何度も準備を重ねてきたが、とどのつまりイベントが中止になった。
ある程度時間をかけた物事の最終的な場面で使う
「とどのつまり」は、最終的にたどり着いた結果のこと。たとえば、「夜更かししてしまい、とどのつまり会社に遅刻した」というように、短期間でなおかつ工程が少ない場合にはあまり使われないため注意しましょう。
・数年かけて話し合いを続けてきたが、とどのつまり離婚してしまった。
・努力を重ねてきたが、とどのつまり娘は舞台の主役に選ばれなかった。
類語や言い換え表現とは?
「とどのつまり」は、「最終的に」という意味がありますが、日常会話ではやや使いづらい表現かもしれません。似たようなニュアンスを持つ類語を合わせて覚えておきましょう。
結局
「結局」は、日常会話でも頻繁に登場する言葉ですね。囲碁で一局打ち終える意味から、いろいろなことを経て落ち着いた最後や結末という意味で使われるようになりました。「結局」も、「とどのつまり」と同じく「最終的に」いうニュアンスを持つ言葉です。
・あれこれ試してみたが、結局失敗した。
・二人は結局元のさやにおさまった。
挙げ句の果て
「挙げ句の果て」は、日常会話よりも小説などの書き言葉でなじみのある表現ではないでしょうか。「結果」「終わり」という意味の「挙句(あげく)」を強調した言い方で、「最後の最後には」という意味です。こちらもどちらかというと悪い結果に対して使われることが多いでしょう。
・口論が続き、挙げ句の果てに殴り合いになった。
・さんざん喧嘩した挙げ句の果てに逃げ出すとはね。
つまるところ
「つまるところ」も、「要するに」「結局」という意味です。いろいろと考えた挙句にたどり着いた答えを述べるときなどに用いられます。類義語には「つまり」などもあります。
・会社の倒産はつまるところ資金不足が原因でしょうか。
・つまるところ店舗の移転を考えているということでしょうか?
英語表現とは?
「とどのつまり」は、日本独自の表現なので、直訳できる英語表現はありません。そこで、「結局」「最終的な」という意味を持つ英単語を代わりに使ってみましょう。例えば、「after all(結局・やはり)」「in the end(結果・ついに)」「in the upshot(結局・結果)」などが近い表現といえますね。
・We’ve decided not to move to Tokyo after all.(結局、私たちは東京に引っ越さないことにした)
・My father was right after all.(結局父が正しかった)
・They got divorced in the end.(二人はついに離婚した)
・I didn’t buy the book in the end.(最終的に本は買わなかった)
・In the end, Sarah chose to go to Boston University.(ついにサラはボストン大学に進学することを決めた)
・What was the upshot of it all?(結局最後はどうなりましたか?)
最後に
「いきつくところ」「結局」という意味の「とどのつまり」。ある程度の期間や過程を経てたどり着いた結果を表すユニークな表現です。「とどのつまり」は、計画が失敗してしまったり、仲のよい人と喧嘩してしまったりとネガティブな結果に対して使われることが多いのがポイント。
「とどのつまり」の「とど」とは、出世魚の「ボラ」の最終的な呼び名であることも豆知識として一緒に覚えてみてはいかがでしょうか。
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