皆さんは「気宇壮大」という四字熟語を知っていますか? なんとなく見たことはあるものの、字から意味を想像できないという方も多いかもしれませんね。「気宇壮大」は、ビジネスシーンでも使われる言葉なので、意味を押さえておきたいところです。そこで本記事では、「気宇壮大」の意味や使い方、類語となる四字熟語などを解説します。
「気宇壮大」とは?
「気宇壮大」は、「きうそうだい」と読みます。「けうそうだい」や「きゆうそうだい」ではありませんので気をつけてください。意味を辞書で確認していきましょう。
[名・形動]心意気がよく度量の広いこと。構想などが大きく立派であること。また、そのさま。「―な人物」「―な大河小説」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「気宇壮大」は、人としての器や考え方などが並外れて大きく、立派であること。また、スケールの大きな計画などを表します。「気宇」は、あまり見る機会のない言葉ですが、「心の持ち方や心の広さ」という意味。「壮大」は、「規模が大きくて立派なこと」です。
漢字の意味だけ見ると、人としての器の大きさや心の広さを指しますが、現在ではより範囲が広がり、壮大な物語や構想などにも使われています。
使い方を例文でチェック!
「気宇壮大」は、壮大なビジネスプランなどにも使うため、どのようなシチュエーションで使われるのか押さえておきたい言葉です。主なパターンを4つ紹介します。
1:部長はなんて気宇壮大な人だろうと感心した。
「気宇壮大」は、「気宇壮大な人」「気宇壮大な人物」と表現されることが多いです。例えば、仕事で重大なミスをしてしまい、退職せざる負えないような状況でもやる直すチャンスを与えたり、辛抱強く話を聞いてくれる姿は、人として懐の深さが伺えます。そんな時に例文のように表現することができますね。
2:部長の気宇壮大な構想を聞いて、私もプロジェクトに参加したく思いました。
「気宇壮大」は、スケールの大きな考えや構想などにも使います。例えば、グローバルな海外進出を視野に入れた計画や、数十年先の未来まで考えて計画を立てるなど、業界の常識にとらわれない大胆な構想は聞いていてワクワクするもの。自分も参加したいと手を挙げる人も現れるでしょう。
3:そのSF映画の気宇壮大なストーリーに観客は魅了された。
「気宇壮大」は壮大な構想を意味することから、スケールの大きな作品にも使われます。中でもSF映画は宇宙が舞台となり、主人公が時空を超えて冒険したり、敵と戦ったりするので、壮大な物語になりますね。
4:弟は気宇壮大な夢を語ってばかりで、なんの問題も解決していない。
「気宇壮大」は時に、否定的なニュアンスで用いられることも。例えば、口では大きなことを言ってはいるものの現実的にはなんの結果も出していなかったり、言っていることと自分の実力が噛み合っていないと、それを聞く人から「実力もないくせに気宇壮大なことを言っている」と馬鹿にされてしまうこともあるでしょう。
類語や言い換え表現は?
「気宇壮大」と似た意味を持つ言葉には、どのようなものがあるのでしょうか? 一緒に見ていきましょう。
1:豪放磊落
「豪放磊落」は、「ごうほうらいらく」と読みます。意味は以下のとおりです。
[名・形動]《「豪放」も「磊落」もほぼ同じ意味》度量が広く大胆で、小事にこだわらないこと。また、そのさま。「―な性格」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「豪放磊落」は、度量が大きく、小さなことにこだわらないことや、そのような人物を指す言葉です。太っ腹で面倒なことも笑い飛ばすような豪快な様子が特徴です。「豪放」と「磊落」はどちらも「度量が大きく、小さなことにこだわらない」というほぼ同じ意味を持っています。ちなみに「磊落」は、「大声で磊落に笑う」「磊落な性格」などと使うこともできますよ。
(例文)
・社長は豪放磊落な人物として部下に慕われている。
・付き合うなら豪放磊落な人がいい。
2:抜山蓋世
「抜山蓋世」は、「ばつざんがいせい」と読みます。意味は以下のとおりです。
《「史記」項羽本紀から》山を抜き取るほどの力と、世をおおいつくすほどの気力があること。英雄豪傑の力と意気の形容。力(ちから)山を抜き気は山を蓋(おお)う。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「抜山蓋世」とは、力が非常に強く勇気のあるさまを表します。中国の歴史書『史記』に由来する故事成語で、まるで山を抜き取るような力と、世を覆い尽くすほどの力を持った人物のことを意味する言葉となっています。
スケールの大きいさまは「気宇壮大」と似ていますが、「抜山蓋世」はどちらかというと心の強さを指す言葉。「心が広い、人としての度量が大きい」というニュアンスとは、やや異なることを覚えておきましょう。
(例文)
・その戦国大名はまさに抜山蓋世の雄である。
・彼は総理大臣候補として、抜山蓋世たる人物だ。
3:寛仁大度
「寛仁大度」は、「かんじんたいど」と読みます。意味を辞書でみていくと、
寛大で情け深く、度量の大きいこと。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
となります。寛大で慈悲深く、度量の大きい姿やそのような人物のことです。人としての度量が大きいことが「気宇壮大」と同じですが、こちらはあくまでも人の態度や人柄に対して使う言葉。「気宇壮大」のようなスケールの大きな構想や計画には使用できません。
(例文)
・お寺の住職はまさに寛仁大度と呼べる人物だ。
・人の上に立つなら、寛仁大度な対応を心がけなさい。
最後に
「気宇壮大」とは、「心意気がよく度量の広いこと」「構想などが大きく立派であること」という大きく分けて2つの意味があります。「気宇壮大な人」「気宇壮大な計画」などと表現しますね。一般的には、人柄が寛大であることなどを肯定する言葉ではありますが、あまりに実現不可能な計画を言っていると、皮肉の意味を込めて使われることも。複数の意味や使い方をよく理解してみてくださいね。
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