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この記事のサマリー
・「人口に膾炙する」は広く人々に知られ話題になることを表します。
・読み方は「じんこうにかいしゃする」。
・個人的な感想ではなく世間的に知られている事柄に対して用います。
ビジネスシーンで、少し難しそうな表現に出会うと、正しく使えているか不安になることがあります。「人口に膾炙する」も、その一つかもしれません。
読み方が分かりにくく、意味も推測しづらい言葉ですが、知識として持っていると役に立ちます。
本記事では辞書の記述に基づき、読み方や意味、使い方、関連語を整理します。実際のビジネスや日常会話で迷わず使えるように、確認していきましょう。
「人口に膾炙する」とは? 意味・読み方・成り立ちを整理
まずは、気になる読み方と意味から確認していきましょう。
「人口に膾炙する」の読み方・意味を正確に理解
「人口に膾炙する」の読み方は、「じんこうにかいしゃする」です。意味は世間で話題になることを示します。
辞書では次のように説明されていますよ。
人口(じんこう)に膾炙(かいしゃ)◦する
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《膾(なます)と炙(あぶりにく)とが、だれの口にもうまく感じられるところから》人々の話題に上ってもてはやされ、広く知れ渡る。「―◦した名言」
語源は?
「膾炙」の「膾」はなます、「炙」はあぶり肉を表しています。いずれも多くの人が好む食べ物であることから、評判になるという意味に転じたそうです。
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)

「人口に膾炙する」の例文と使い方
意味がわかったところで、使い方を例文とともに確認していきましょう。
新製品のキャッチコピーがSNSで拡散され、瞬く間に人口に膾炙した。
多くの人が「話題にするようになった」「広く知れ渡った」という状況を、商品プロモーションに絡めて表現した例。SNSでの急速な浸透との相性がいいですね。
昭和の文豪の一文は、簡潔ながら核心を突いており、今では人口に膾炙する名言となっている。
時間が経つほど価値が認められ、大勢の人が引用するようになったことを伝えています。
あのドラマの最終回のセリフは視聴者の心をつかみ、放送翌日にはすでに人口に膾炙していた。
セリフが「誰もが話題にする」状態を表す用法。ニュースやSNS、会話でよく取り上げられる状況を表現できます。

「人口に膾炙する」の言い換え表現や類語は?
「人口に膾炙する」に近い意味を持つ語として、辞書には「脚光を浴びる」や「口の端に上る」「ブーム」などが挙げられます。それぞれの意味を見ていきましょう。
「脚光を浴びる」(きゃっこうをあびる)
「脚光を浴びる」は、世間の注目の的になることを表します。「脚光を集める」と言いがちですが、こちらは本来の言い方ではないので注意しましょう。
「口の端に上る」(くちのはにのぼる)
「口の端に上る」とは噂になることを表します。
「ブーム」
「ブーム」はある物が急に人気になることを表します。スピード感も含む表現だといえますね。
「人口に膾炙する」の英語表現
「人口に膾炙する」に相当するフレーズとしては、“be on everyone’s lips”が挙げられます。直訳すると「みんなの口に上る」という意味で、「人口に膾炙する」と同義ですね。
世界的規模で話題になる場合は、“be on everyone’s lips the world over”とすることで、「世界中で話題になっている」というニュアンスを補強できます。
例文:The phrase quickly became a catchword and was soon on everyone’s lips.
(その言葉はたちまち流行語となり、すぐに多くの人の口に上るようになった。)
参考:『ビジネス技術実用英語大辞典V6』(プロジェクトポトス)

「人口に膾炙する」に関するFAQ
ここでは、「人口に膾炙する」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「人口に膾炙する」の読み方を教えてください。
A. 「じんこうにかいしゃする」と読みます。
Q2. ビジネスメールで使っても問題ありませんか?
A. 問題ありません。世間で広く知られる状況を説明するときの文脈に合います。
ただし、伝わりやすさを考えながら使うことをおすすめします。
Q3. 類語には何がありますか?
A. 「脚光を浴びる」や「口の端に上る」「ブーム」などが挙げられます。
最後に
「人口に膾炙する」は、作品や人物が広く知られるさまを表す言葉です。意味を理解しておくと、文章や会話で迷う場面が減り、状況に応じた自然な表現を選びやすくなります。読み方や類語も合わせて覚えておくことで、表現の幅が広がりますね。
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