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「塩対応」とはどんな意味?
話をしていると「あの人、塩対応だよね」なんてフレーズが出てくる経験をしたことがある人もいるのでは? でもそもそも「塩対応」とはどんなことを指すのでしょうか。
「塩対応」とは、相手への興味や関心を感じさせず、無愛想で必要最低限だけの反応をする言動を指します。
元々は、アイドルのファンが、握手会などで見せた無愛想な態度を「しょっぱい対応」と呼んだのが始まり。今では接客態度や、友人・恋人への冷たい態度を指す言葉としても広く一般的に使われています。
とはいえ、必ずしも「嫌いだから」ではなく、疲れやそのときの気分、心理的な余裕のなさが根底にあることも。本人も実はよくわかっていない複雑な行動とも言えそうです。
塩対応の類義語とは?

そんな「塩対応」に似た言葉はいくつかありますが、微妙なニュアンスの違いがあります。それぞれの違いを見てみましょう。
そっけない(素っ気ない)
相手に対して興味を示さず、必要以上に関わろうとしない態度を指します。思いやりが感じられないとそっけないと思われますよね。でも、そっけなさは、恋愛初期にもありがちな「照れ隠し」の場合も。好意がバレると恥ずかしいのでそっけない態度を取るというシーンはありがちでは。
冷たい
「冷たい態度を取る」という言い方も塩対応に近く、感情を抑えて距離を取るような行動のこと。意図的に関わりを減らしたいときなど、無意識のうちに自分を守るための一歩である場合も考えられます。
クール
「クール」は感情が表に出ない落ち着いた印象。塩対応と似ていますが、そもそもの性格的な部分でもあるもの。恋愛では「クールな人が魅力的」と感じる女性も多く、むしろ大人っぽく見えることも。
無愛想
あまりいい意味には捉えられない「無愛想」という言葉は、表情が乏しく愛嬌がない態度を指します。この態度は、本人に悪気はなくても、相手には冷たく映ってしまいがち。忙しいときや緊張しているときに余裕のなさから、つい無愛想になってしまう人もいます。
ドライ
「ドライ」も塩対応に近い態度になりますが、気持ちが全面に出るのではなく、割り切った関係を築くスタイルのことを言います。恋愛でも「お互い干渉しすぎないドライな関係がラク」というタイプの人もいて、束縛とは対義語にもなり、肯定的に捉えられることも比較的多いもの。
無視
「無視」という行動は、最もストレートな拒絶のサインと言えます。話しかけられても反応しないなど、明確に関係を断ち切りたいサインにも。ショックを受ける人もいるので、考えた末の行動であって欲しいもの。
【女性100人に聞いた】塩対応をしてしまったことがある?

※アンケート20〜39歳の日本全国の女性を対象にOggi編集部が質問。調査設問数10問、調査回収人数120名(未回答含む)
そんなネガティブな印象の強い「塩対応」。実は自分が「塩対応」をしたことがある、なんていう人もいるよう。そこでOggi世代の女性約100人にアンケートをとりました。
アンケートの結果は、「塩対応をしてしまったことがある」…44.2%、「塩対応をしたことはない」…55.8%となり、「ある」という人の方が少ないものの半数近くに及び、リアルな本音が見えてきました。
仕事などの外的要因、自分の気持ちなどの内的なものなど、理由はさまざまだと思いますが、多くの人が“塩対応する側”にも“される側”にもなっていると言えそうです。
塩対応をしてしまった理由とは

ここでは、自分が相手に塩対応をしてしまったことがある人に、その理由を教えてもらいました。「それって納得」とか「仕方なかったんだね」など共感する人も少なくないのでは。
相手に興味がない
最も多かった理由は「相手に興味がなかったから」というもの。恋愛や仕事の場でどうしても心が動かされない相手もいると思いますが、無理して笑顔を見せるのは疲れますよね。気を遣って愛想よくするより、さりげなく距離を取るのもある意味正直で誠実な態度とも言えそう。
「興味がない相手にしつこくされたから」(30代・広島県)
「愛想を振りまく必要のない人だったから」(30代・大阪府)
「興味のない異性からしつこく言い寄られたから」(30代・兵庫県)
「興味はないが関係を切れないとき」(20代・東京都)
「相手に興味がない」(30代・京都府)
面倒くさい相手
やり取りするのが「面倒くさかったから」という率直な回答も目立ちました。相手の言動がしつこかったり、空気を読まないタイプだったりすると、つい反応を最小限にしたくなるもの。自分の心を守るための“防御的な対応”の一種でもあり、疲れない距離感を保つためにとる塩対応と言えるのでは。
「面倒くさかったから」(30代・岩手県)
「相手するのが面倒だから」(30代・青森県)
「鬱陶しかった」(30代・東京都)
「面倒くさいから」(30代・東京都)
機嫌が悪かった
自分の機嫌がよくなくて「イライラしていた」、「話を早く終わらせたかった」など、気分によってつい態度が変わってしまうことは誰にでもあるはず。落ち着いたときに自分の言動を振り返ると、後になって「冷たくしてしまったかも…」なんて気づくのではないでしょうか。
「イライラしたり、その場を早く済ませたいとき塩対応してしまう」(20代・宮城県)
「自分の機嫌が悪かったから」(30代・埼玉県)
「イラついたとき」(30代・東京都)
疲れていた
心も体も疲れていると、余裕がなくなってしまいますよね。「もう今日は何もしたくない」、「人と話すのもつらい」と感じるときに、「頑張って笑顔でいないと」なんて思うのは自分にとって逆効果。塩対応になってしまうなら、まずは休息が必要なとき。親しい人であれば、体調がイマイチなんだろうな、なんて察知してくれるはずです。
「疲れていて全部無理だったから。」(30代・茨城県)
「早く寝たかったから」(20代・大阪府)
「体調が悪かったから」(30代・山形県)
相手が塩対応だった
「相手に塩対応されたから、自分も…」という声も少なくないよう。相手の態度に合わせてつい“ミラーリング”してしまうのは、傷ついたことに気づいて欲しいという心理が働いているはず。ただ、浅い関係性ならそれでもいいですが、関係が深いのであれば、塩対応し返すだけでは険悪になるだけなので注意したいところ。
「塩対応されたからこちらも返した」(30代・茨城県)
「夫に塩対応したことはたくさんある。仕事を理由に育児参加しない時期があったから」(30代・神奈川県)
「自分の不安に思っていることを真面目に聞いてくれなかった」(20代・愛知県)
嫌なことをされた
例えば、「無神経な言動に腹が立った」、「嫌なのにしつこく声をかけられた」など、ネガティブな経験が原因になって塩対応してしまうという人も。相手に怒りや不快感を覚えたとき、そのまま負の感情をぶつけるよりも“冷静に距離をとる”塩対応は、実は賢い判断。感情を抑えつつ自分を守る“静かな抵抗”とも言えます。
「上司のデリカシーのない言動に腹が立ったから」(20代・東京都)
「話が理解できない人からしつこく声をかけられた時」(30代・埼玉県)
塩対応をしたエピソードをご紹介

塩対応をしてしまったときの理由がわかったところで、リアルな体験談を教えてもらいました。実は「あるあるだよね」なんてこともあるかもしれません。
仕事が忙しかった
大変なことや処理する量が多いなど仕事はストレスが溜まりがち。つい上司や同僚に塩対応になってしまうケースも多いようです。仕事に集中したいときや、限界的な忙しさから心身が疲弊している場合には、笑顔をキープする心がけなんてできなくて当然。年齢や立場もさまざまな中では、あっさりと塩対応をするのが無難と言えそう。
「仕事で疲れていて限界だった。後で病院に行ったら鬱状態だった」(30代・茨城県)
「上司に何を言われても、きつかったので無表情で機械的に反応した」(20代・東京都)
「仕事をしていたときに、年配の方から長話をされ、その場を早く済ませたく塩対応した」(20代・宮城県)
「忙しいのに体調が悪かったとき、仕事を頼んできた同僚にそっけない態度を取ってしまった」(30代・山形県)
「接客の仕事中、プライベートなことも聞いてくる客に対応するのが面倒くさくなり、塩対応をしてしまった」(20代・栃木県)
「職場で初対面の人に自分だけ無駄に話しかけられて面倒くさかったので、塩対応で興味ないですアピールをした」(30代・青森県)
興味がない相手だった
特に興味がない人から好意を示されて困惑してしまうのは恋愛シーンではよくある話。相手を傷つけたくないけれど、誤解はされたくない…。ある意味で優しさがあったり、とはいえ切実な状況から生まれる塩対応かも。曖昧にせず、塩対応という態度で伝えるのもひとつの誠実さなはず。
「興味がない人に告白をされて、スルーした」(30代・京都府)
「興味のない男性からデートに誘われ、やんわり興味がないことを伝えるために塩対応をしました」(30代・東京都)
「好きではない異性から言い寄られたから」(30代・兵庫県)
「興味ない人から言い寄られたので冷たくあしらってしまった」(30代・石川県)
「しつこく誘われたので本当に忙しいから無理、と冷たく言ってしまいました」(30代・静岡県)
必要最低限の会話だけ
簡単に関係性を壊すことができない相手もいますよね。そんなときに、無用なトラブルを避けるための“静かな線引き”として塩対応するというパターンも。会話が変に盛り上がらないようにさりげなく切り上げる、余計なことは話さず最低限の反応だけで終わらせるのは塩対応の王道です。
「必要最低限の言葉しか返さない(相槌を打つだけなど)」(30代・大阪府)
「話しかけられても愛想笑いで終わらせる」(30代・北海道)
「聞かれても軽い返事で流す」(20代・千葉県)
恋愛対象じゃない
恋愛関係が終わる頃に見られる塩対応も。自分の中で“区切り”をつけたいという心理が働いていることもあります。とはいえ、自分からネガティブなシチュエーションはつくりたくないので、さりげなく冷たくすることで、関係が自然に変化することを望んでいると言えるのでは。
「年上の恋人が『これから一緒にいるときに年齢差が障壁になると思っているから、何とかしないといけない』と何度か言っていたのに、3年経っても具体的な話は何もできなかった。一緒にいるのがつらくなってきたので塩対応を取るようになった」(20代・愛知県)
「彼氏のことが嫌いになってしまって、あえて嫌われるために塩対応した」(30代・群馬県)
面白くない話題
会話をしている中で、「どうしても共感できない」、「話に興味が湧かない」など、話題が合わないときに塩対応してしまうのもよくあるパターン。この場合は、あえて塩対応をするというよりも、自然な態度として“塩モード”になってしまっているのでは。簡単に気分は上げられないので、仕方ないかもしれません。
「面白くない話をされたり嫌な話ばかり聞かされたりしたので、『はいはい』と塩対応してしまった」(30代・兵庫県)
塩対応をされたときの対処法も確認!

自分が塩対応してしまったときがあれば、「あれ、私、塩対応されてる?」なんていう経験をした人も決して少なくないはず。そんなときに、どう対処するのがいいのかアンケートで聞いてみました。
そっとしておく
相手が塩対応するときは、無理に踏み込まず“そっとしておく”のが正解。その人の気分や状況を尊重することに繋がり、関係をこじらせずに済みます。また、時間を置くと自然に解けるケースも多いので、焦らず距離を保つのが大人の余裕です。
「虫の居所が悪かったのかな~と考えて、その日はあまりその人に話しかけないようにする」(30代・山形県)
「それ以上関わらない」(30代・北海道)
「気づいたら、それ以上踏み込まない」(30代・埼玉県)
「どうしようもないので引き下がるしかありません」(30代・東京都)
「放っておく」(30代・埼玉県)
気にしない
つい塩対応されてしまうと、「何か気に障った?」なんて不安になってしまうこともありますよね。でも、必ずしも自分が原因であるとは限りません。気にしすぎると自分まで疲弊してしまうもの。深く考えることなく、とりあえず軽やかに受け流すのも、心を守るためのスキルと言えるはず。
「あまり深く考えない。悩まない」(30代・山梨県)
「あまり気にしないようにする」(30代・福岡県)
「その場では気にせずそのままでいる」(20代・栃木県)
「気にせず離れる」(30代・大阪府)
塩対応をし返す
塩対応を「やられたらやり返す」派も一定数いましたが、これは一時的に距離を取るための自衛策。感情的にならず自分も淡々と対応すれば、無駄ないざこざは防げます。過剰に反応せずに落ち着いて対応し、冷静でいることが正解です。
「こちらも塩対応」(30代・兵庫県)
「やられたらやり返す」(30代・群馬県)
「塩対応し返す。あえて距離を取る」(30代・東京都)
無視する
相手にエネルギーを奪われないための賢い方法は、「スルーすること」、「反応しないこと」。関わるたびに塩対応されてストレスを感じるなら、物理的にも心理的にも距離を取るのが◎。無視するのは冷たいようにも思われますが、自分を守る上では必要なこと考えて。
「スルーする」(30代・京都府)
「無視する」(30代・神奈川県)
「黙ってスルー」(30代・岩手県)
「無視して自分の好きなようにする」(30代・東京都)
相手のことを考えてみる
一歩引いてみることで、「相手も疲れているのかも」などと考えられれば、目の前の景色が変わることも。相手の立場や気持ちを想像できると、自然と人間関係が円滑になりますよね。冷たい塩対応の裏には、実は“助けて欲しい”なんて気持ちが隠れていることもあり得ます。
「相手の気持ちを考える」(30代・愛知県)
「相手の様子をうかがう」(30代・福島県)
受け流す
相手の行動を「真に受けすぎず、軽く受け流す」。そう意識するだけで、塩対応も怖くなくなります。人には誰しも心の余裕がなくなる瞬間があるもの。ちょっとした“塩っ気”も、深刻に受け止めずユーモアで包み込むのが大人の対応です。
「真に受けすぎず、塩対応も『へえ〜』と楽しむ」(30代・千葉県)
「相手にしない」(30代・兵庫県)
受け入れる
「キャパオーバーなんだろな」などと受け止めてあげられると素敵。相手の塩対応を“理解する気持ち”で包み込めると、関係がふっと和らぐこともあるはず。相手を変えようとしたり非難することなく、その流れをそのまま受け入れることが、最終的に自分の心も軽くしてくれます。
「いっぱいいっぱいなんだ、と受け入れる」(20代・神奈川県)
最後に
「塩対応」はどうしてもネガティブな行動として受け取られてしまいがちですが、実は本人の思いは別にあることも見えてきたのでは。冷たさの裏には「自分を守りたい」、そのために「距離を保ちたい」という自然な心理もあります。そう考えると“塩対応”は、決して悪いことではないですよね。
誰だって疲れる日や余裕のない瞬間があるもの。隠そうと思いながらも、どうしてもにじみ出てしまうこともありますよね。それが「塩対応」をしてしまう人の深層心理では。
大切なのは相手の背景を想像しながらも、傷ついたりネガティブに傾いた自分の気持ちもケアすること。複雑に絡み合う人間関係の距離感に悩んだときこそ、“少しの塩っけ”で関係を整えるのも、大人のバランス感覚と言えるのかもしれません。
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Oggi 編集部
「Oggi」は1992年(平成4年)8月、「グローバルキャリアのライフスタイル・ファッション誌」として小学館より創刊。現在は、ファッション・美容からビジネス&ライフスタイルテーマまで、ワーキングウーマンの役に立つあらゆるトピックを扱う。ファッションのテイストはシンプルなアイテムをベースにした、仕事の場にふさわしい知性と品格のあるスタイルが提案が得意。WEBメディアでも、アラサー世代のキャリアアップや仕事での自己実現、おしゃれ、美容、知識、健康、結婚と幅広いテーマを取材し、「今日(=Oggi)」をよりおしゃれに美しく輝くための、リアルで質の高いコンテンツを発信中。



