この記事のサマリー
・「妬む」は、「ねたむ」または「そねむ」と読む。
・「妬む(ねたむ)」とは、他の人が自分より優れている状態をねたましく思うこと。
・「そねむ」と読む場合は、「ねたむ」よりもさらに憎しみが強い状態のことを指す。
・「羨む」は、ねたむ・そねむの類語。
職場などの身近なところにすぐ「妬む」人っていませんか? 「妬む」人は、ほんのささいなことで嫉妬したり、愚痴を言ってきたりするため、付き合いづらい… と感じている人も多いかもしれません。
この記事では、「妬む」の意味や「妬む」人によく見られる特徴、対処法などを紹介します。「妬む」人との人間関係でお困りの方は、チェックしてみてくださいね。
『妬む』とは何か?|意味・語源・使い方をチェック
「妬む」という言葉を、ただ「羨ましい」という意味だけで使っていませんか? ここでは、辞書に基づいて、「妬む」の意味や語源を整理します。
「妬む」の意味
「妬む」は「ねたむ」または「そねむ」と読みます。「嫉む」とも書きますよ。ここでは、「ねたむ」の意味を見ていきましょう。
「妬む(ねたむ)」とは、他の人が自分より優れている状態をねたましく思うことを意味します。
辞書では次のように説明されていますよ。
ねた・む【妬む/▽嫉む】
[動マ五(四)]
1 他人が自分よりすぐれている状態をうらやましく思って憎む。ねたましく思う。そねむ。「同僚の昇進を―・む」
2 男女間のことで嫉妬(しっと)する。やきもちをやく。
「妻―・める気色もなくて過ごしけり」〈十訓抄・八〉
3 腹を立てる。恨み嘆く。
「いと憂しと思へど、さらに言ひも―・まず」〈大和・一五八〉
[用法]ねたむ・そねむ――「先に昇進した同期生をねたむ(そねむ)」など、うらやみ憎む意では相通じて用いられる。◇「順調な出世をそねみ、ねたまれる」のように重ねて使われることもある。また、「そねむ」の方が「ねたむ」に比べて、憎みうらむ気持ちが強い。
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
例えば「同僚の昇進を妬む」というように、単なる羨望ではなく、「うらやましさに憎しみが混ざる」心理状態です。
また、「男女間で嫉妬する」「腹を立て、恨み嘆く」という意味もあります。
つまり「妬む」には、他人との比較から生まれる苦い感情や、恋愛など人間関係にまつわる嫉妬心、さらには怒りや悔しさまで含まれるということです。
「妬む(ねたむ)」の語源は?
「妬む」という言葉は古くから日本語に存在し、『日本書紀』(720年)にも登場します。
語源については諸説ありますが、共通しているのは「心が痛む」「胸が痛む」という感覚です。
「ムネイタム(心痛)」や「名痛(ナイタシ)」といった語から派生したという説もあり、他人の優位や幸福を「痛み」として感じる心理が語の根底にあります。
「妬む(ねたむ)」の類語にはどのようなものがある?
「妬む(ねたむ)」と似た言葉に、「そねむ」や「羨む(うらやむ)」、「やっかむ」などがあります。
『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)によると、これらはすべて「他人の優位をうらやみ憎む」点で共通しますが、感情の強さや向きに違いがあります。
ねたむ:心の中で感じる「うらやましさ+憎しみ」。
そねむ:「ねたむ」よりも憎み恨む気持ちが強い。
羨む:憎む気持ちもあるが、「自分もそうなりたい」と願う意味も持つ。
やっかむ:元々は、関東地方の方言です。

職場・日常で見かける「妬む人」|心理から末路まで
「なんとなく空気がトゲトゲしい」「SNSの投稿で嫌味を感じた」──もしかしたらそれ、「妬む気持ち」からくる言動かもしれません。
ここでは、職場や日常でよく見かける「妬む人」の特徴と行動パターン、心理的背景、そして放置したときにどうなるかという「末路」までを掘り下げていきます。
「妬む人」の特徴と行動パターン
「妬む人」は、どこか攻撃的だったり、ネガティブな空気をまとう傾向があります。例えば職場では…
・同僚の成功に対して、表向きは笑顔でも、裏では皮肉を言う
・他人の手柄を素直に称えず、「運がよかっただけ」と評価を下げる
・SNSでは「意味深な投稿」で周囲をモヤモヤさせる
このような言動に共通するのは、自分と他人を常に比較していることです。
比較の結果として「相手のほうが上」と認識したときに、自分を守る手段として「妬み」が表に出てしまうといえるでしょう。
「妬む人」の心理
妬む感情の裏には、「比較」「自己価値の低下」「未来への不安」など、いくつもの心理的要因があります。
人は誰しも、他人と自分を比べてしまうものですが、特に以下のような傾向が強い人は要注意です。
・自分の価値を「他人からの評価」で測ってしまう
・完璧主義で、人より優れていないと耐えられない
・成果や結果がすぐに見えない状況に不安を感じやすい
こうした心理状態では、つい「妬む」気持ちから、嫌味を言ったり、攻撃的な態度につながったりします。
特にSNSなど「感情を吐き出しやすい場」では、自覚なく妬みの言葉を発信してしまうことがあるでしょう。

「妬む人」の末路と対処法|関係構築のヒント
妬む気持ちにとらわれ続けると、最終的に「人間関係がうまくいかない」「孤立する」といった末路をたどりがちです。職場で信頼を失い、会話の中心から外れていく… そんなケースは決して少なくありません。
とはいえ、妬む気持ちが芽生えるのは自然なことでもあります。大切なのは、「どう扱うか」。
対処法としては…
・嫉妬の感情に気づいたら、「なぜ今そう思ったか?」と内省する
・他人の成果を見たとき、自分の成長に目を向ける習慣を持つ
・相手を褒める言葉を意識的に選ぶ
自分の言葉が相手にどう届くかを意識できるようになると、自然と妬みの感情も和らぎます。
また、妬みをぶつけられた側であった場合は、「反応せずに距離を取る」「言葉を真に受けすぎない」ことが、心を守る上で効果的です。

「妬む」に関するFAQ
ここでは、「妬む」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1:「妬む」の意味は?
A:「妬む=他人が自分より優れている状態をうらやましく思って憎むこと」を指します。
この他、「男女間の嫉妬」や「腹を立てる」という意味もあります。
Q1:「ねたむ」と「そねむ」、「羨む」の違いは?
A:「そねむ」は「ねたむ」よりもさらに憎しみが強い状態です。一方「羨む」は「自分もそうありたい」と願う気持ちもありますが、ねたむ・そねむ気持ちも含む、類語です。
Q3:「妬む」を英語で表すと?
A:“envy”が適しているでしょう。
最後に
誰かと比べて嫉妬したり、やきもちを焼いてしまうことは誰にでもあることです。しかし、憎み続けてしまったとしたら、それは自分にとってもよくないこと。感情を言葉にすることで冷静になれたりもします。言葉を自分の気持ちと向き合うための道具の一つにしてみてください。
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