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2022.08.23

米国出産のリアル#3 出産2ヶ月で帰国決意。緊急事態に日本領事館の対応は…<元テレビ朝日プロデューサー転職実録#52>

仕事と自分の人生を見つめ直す社会人10年目。今回は、アメリカで生まれた娘を抱えて、日本へ出国する話。元バラエティ番組の女性プロデューサー 古瀬麻衣子が考える「理想の人生」への近づき方。

古瀬麻衣子

これまでの連載はこちら

娘の聴力に不安。日本への出国を決意した

前回のVol.51のコラムに対して、たくさんのメッセージを読者の方々から頂きました。

一つ一つ読ませて頂き、私が敢えてこの苦難を公開しようと思った目的が少しでも果たされている気がして、ホッとしました。

SNSでは幸せそうな一瞬だけが切り取られて、他人を羨ましく思うことが多い時代かと思うのですが、わざわざシェアしていない色んな現実をみんな抱えて生きている。

何もしなければ何も起こらないわけですが、何かに挑戦したり、立ち向かったりする時には幸せと一緒に、悩みや苦しみも必ず付随している。

そんな想いで今回も書いております。

パソコンでタイピングをする女性
(c)Shutterstock.com

さて、前回からの続きですが、最愛の娘の難聴疑惑をハッキリさせるためにニューヨークから日本へ一時帰国することを決めたのが今年の2月でした。

育休は1ヶ月しか取得していなかったので、この時は日中仕事をしながら、朝と夕方、帰国のための準備をし、夜は娘が寝てから静かに仕事の続きをし、日本にいる夫と話し合いも。

いくらベビーシッターさんが1日数時間来てくれていても、さすがに体力的にも、精神的にも限界が近づいていました。

そんな中、私が一番骨を折ったのが娘のパスポート取得に関して。

当然ですが、パスポートがないと出国出来ないわけで、大人であれば、サッと必要書類を用意して、申請に向かえばいいだけですが、生後1ヶ月の娘には必要書類が揃っていないのです。

アメリカ国籍のパスポートを取得するためにはBirth Certificateという出生証明書やソーシャルセキュリティナンバー(マイナンバーのようなもの)が必要で、出産した病院がその申請手続きはおこなってくれているのですが、いつ届くかは神のみぞ知る状況。

毎日、毎日ポストを眺めて、焦りを募らせるのみ。

さらに日本国籍のパスポートを取得するには出生届をマンハッタンにある日本領事館に提出し、そこから日本へ郵送で送られた出生届を区役所が受理し、戸籍に反映されたのちに、夫が戸籍謄本をアメリカへ郵送するという、とてつもなく時間がかかる作業が必要でした。

これではいつ日本に帰れるか。ただただ、何も出来ない親として娘を眺めているだけ。

ここで私は何もしないより、動いてみるという性格もあり、日本領事館へ電話。全ての状況を話し、すがる思いで相談をしてみました。

私は日本国籍しか持っていないので、日本に頼るしかなかった。

すると、領事館の方が「お子さんの体が心配でしょう。緊急の渡航証を発行出来ますので、それで帰国するしかないですね」と。

その存在は聞いたことがあったものの、この場合に適応してもらえるとは思っていませんでした。それは発行された日から数日間限定でしか使用出来ないパスポートなのです。アメリカで生まれた証明書であるBirth Certificateと日本側に提出する出生届があれば発行して頂けることが分かり、私たちの一時帰国は大きく前進しました(他にも必要書類はありましたが、それはすぐに準備出来るものでした)。

日本にいれば、こんな複雑なことに悩む必要もないわけなので、異国の地で出産し、1人で育てることのあまりの大変さに卒倒しそうでした。

ベビーシッターや友人の助けを借りて、無事帰国。精密検査も受診

そして、雪が溶けきれず、マイナス気温の2月中旬。ようやく全ての書類が揃い、私は娘を連れて、日本領事館へ向かいました。1人で行くのが不安すぎて、実はベビーシッターさんにも同行してもらいました。

連日の準備や仕事、夜中の授乳でほとんど寝ていなくて、1人でいるのが心細かった、それだけです。あの時のベビーシッター(日本人のさやさん)の優しさは今でも忘れられません。

領事館の方も本当に親切で、帰国後に行うべき米国パスポート取得についてなどを丁寧に説明してくださり、無事に問題なく渡航証を手にしたのです。

渡航証

さらに帰国前日にはボストンから友人がわざわざ泊まりに来てくれて、私の帰国準備や娘の沐浴を手伝ってくれました。最後は空港まで一緒に来てくれて、赤子を抱くと何も運べなくなる私のためにスーツケースも運んでくれたのです。

そのくらい、あの時の私は誰かに頼らないと、あと一歩で倒れてしまいそうな状況だったのかもしれません。その友人への恩も一生忘れません。

こんな紆余曲折を経て、私は生後2ヶ月の娘を1人で国際線に乗せ、日本へ。羽田空港で夫と再会した時、安堵で号泣したのは言うまでもありません。

そして隔離期間を経て、娘は大学病院で精密な検査を行い、両耳共に聴力に問題がないことが確認されました。検査室でその結果を聞いた時も、号泣したのは言わずもがなです。

出産後の2ヶ月間が私にとってはあまりに怒涛すぎて、過酷すぎて、色んな電池が切れてしまい、その後、しばらく日本でエネルギーを養うことにしました。

その後の展開はまた次回。

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古瀬麻衣子

1984年生まれ。一橋大学卒。テレビ朝日に12年勤務。「帰れま10」などバラエティ番組プロデューサーとして奮闘。2020年、35歳で米国拠点のweb会社「Info Fresh Inc」代表取締役社長に就任。現在NY在住。日本人女性のキャリアアップをサポートする活動も独自に行なっている。

Instagram:@maiko_ok_
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