さまざまなシーンで使える「キャパオーバー」とは
会話などでよく見聞きする「キャパオーバー」。自分でもこの言葉を使ったことがあるという人は多いでしょう。しかし、意味や使い方をはっきりと把握せず、使っているということもあるかもしれません。
キャパオーバーは、さまざまなシーンで使うことが可能です。意味や使い方を知り、適切に使えるようにしたいですね。
キャパオーバーの「キャパ」って?
キャパオーバーは、英語をもとに日本で作られたカタカナ語です。キャパオーバーの「キャパ」は、「capacity」のこと。この英語には次のような意味があります。
▷キャパシティー【capacity】読み方:きゃぱしてぃー
1:収容能力。また、容量。
2:物事を受け入れる能力。受容力。
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
上記から、キャパオーバーは、収容能力、もしくは物事を受け入れる能力がオーバー、超えてしまっている状態を表すということがわかりますね。
キャパオーバーは、建物やスペース、入れ物と言った物理的なことと、人の能力に対してよく使います。基本的には、容量や能力を超えたため、何かしらの対策をする必要がある場合や、対処し切れず限界を超えた状態そのものを表現する際に使われることが多いでしょう。
キャパオーバー、どう使う?
ここからはキャパオーバーの使い方を見ていきましょう。例文とあわせて紹介します。
一般的な使い方
《例文》
・予想以上の来場者数になり、会場はキャパオーバーになりそうだ
・データが重すぎて、パソコンがキャパオーバー気味だ
・思いもよらないことが次々と起き、キャパオーバー寸前です
会場やスペースなど、物理的な何かが許容量を超えた場合、パソコンやスマートフォン、データなどが処理能力を超えた場合に、キャパオーバーを使って表現します。
また、出来事や環境などの変化、人間関係や恋愛などの影響により、心身ともに限界が近い場合や、時間的余裕がなくて忙しいという場合も、キャパオーバーを使うことが多いでしょう。
ビジネスシーンでの使い方
ビジネスシーンでの使い方も見ていきましょう。
《例文》
・離職者が続いていることもあり、今のままではキャパオーバーになるだろう
・来月で育休が終わるので、キャパオーバーにならないよう、パートナーと家事と育児の分担について話すことにした
・私の能力では対処が難しく、完全にキャパオーバーです
ビジネスシーンでは、能力や時間、人手などが不足し、自分では対応や解決が難しいことを表す際によく使います。
キャパオーバーを言い換えるなら
さまざまなシーンで使えるキャパオーバーを言い換えるなら、どのような表現が適しているかを見ていきましょう。
その1:「いっぱいいっぱい」
少しの余裕もない状態を表す「いっぱいいっぱい」は、追い詰められていてパンク寸前というイメージがありますよね。何かを依頼しようと相手の状況を尋ねた際に、「今はいっぱいいっぱいです」と言われたら、今は依頼しない方がいいと誰もが思うでしょう。この言葉は、キャパオーバーの言い換え表現として適していると言えます。
《例文》
・彼は今、いっぱいいっぱいのようで、対応は難しそうです
・あれこれ考え過ぎていっぱいいっぱいになり、眠れなくなった
その2:「立て込む」
何かしらの用事や仕事などが重なっている状態をイメージさせる「立て込む」も、キャパオーバーの言い換え表現に使うことができます。特にかしこまったシーンでは、使いやすいかもしれません。
《例文》
・上司に新しい仕事を頼まれたが、他の業務が立て込んでおり、断わるしかなかった
・特定の案件が立て込んでしまい、他の業務がおろそかになりつつある
キャパオーバーを使う場合に注意したいこと
キャパオーバーはシーンを選んで使う方がいい言葉です。
たとえば、取引先やお客様から何かを依頼され、対応が難しい場合に「キャパオーバーのためできません」と答えたら、相手はどう思うでしょうか? いい印象を抱く人はほとんどいないでしょう。また上司に対して使うのも避ける方が無難。無礼だと思われるかもしれません。
キャパオーバーを理由に依頼を断る前に、まずは自分の状態について上司や先輩に相談を。業務量の調整やサポートをお願いしてみましょう。
キャパオーバーになってしまったら?
特にビジネスシーンでは、キャパオーバーになることはめずらしくありません。その場合の対処法についても見ていきましょう。
まずは休息を
「キャパオーバーかもしれない」と感じるようになったら、まずはしっかりと休息を取りましょう。キャパオーバーは、時間や業務量の余裕だけでなく、心の余裕も奪います。残務のことや、行き詰っている仕事が気になるかもしれませんが、あれこれ考えるのは一旦止め、休息を取りましょう。
仕事中であれば、好きなドリンクを飲む、少し外の空気を吸うなどして、ひと息つくのもいいですね。また、その日はあえて仕事のことを考えず、好きなことをする、早く寝るなどもおすすめです。
休息を取ることで、気分が変わり、脳がリフレッシュされるということも。そこで新しいアイデアが思い浮かび、業務が進むというのも珍しくありません。
相談する
キャパオーバーになりそう、もしくはなってしまった場合、一番避けるべきなのは、一人で抱え込んでしまうこと。残業や早出出勤をして、一人で何とかしようとするのはNG。自分だけが無理をしても、いい結果にはつながらないでしょう。
キャパオーバーを感じたら、まずは周りの人に相談を。上司や先輩、同僚、後輩などに頼り、他の人のアイデアや意見をもらいながら、立て直していきましょう。
上司や先輩の中には、キャパオーバーを経験したという人もいるでしょう。経験した人は相応の解決策を知っていることが多いです。勇気を出し、思い切って頼ってみるのも手ですよ。
振り返りで要因を探る
状況が落ち着いたら、振り返りを行い、キャパオーバーになった要因を探っておくのもいいですね。キャパオーバーを繰り返さないようにするにはどうすればいいか、状況を整理し、気づきがあれば書き出してみましょう。そうすることで、次はスムーズに対応できるかもしれません。
最後に
キャパオーバーは、収容能力、もしくは物事を受け入れる能力がオーバーしている状態を表します。日常だけでなく、ビジネスシーンでもよく登場しますので、使い方などを確認しておきましょう。キャパオーバーになりそうな時は、一人で抱え込まず誰かに相談を。完全にパンクする前に、対策してくださいね。
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