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2022.07.12

米国出産でメンタル崩壊。朦朧とする中、現れたのは…<元テレビ朝日プロデューサー転職実録#49>

仕事と自分の人生を見つめ直す社会人10年目。今回は、コロナ禍のアメリカで出産した話 後編です。元バラエティ番組の女性プロデューサー 古瀬麻衣子が考える「理想の人生」への近づき方。

古瀬麻衣子

これまでの連載はこちら

年末のニューヨークで出産を経験して

さて、早速前回に引き続き、ニューヨークでの出産についてエピソードをご紹介していきます!

無痛分娩により、予想以上にスムーズに出産を終えたところまでは良かったのだが、、、

基本的にアメリカの産婦人科では経膣分娩の場合、産んでから2 Nightsで退院というのが主流。

私が産んだ時間は23時18分、、、そう、42分後に24時を跨いだため、

ここで1 Nightとカウントされてしまったのです。早朝に産んでいれば丸2日は病院で休めたのに、私はたった36時間ほどで大晦日のマンハッタンに放り出されることに(笑)。

まず、その36時間をプレイバック。今思い出しても目が潤んでしまう、、、そんなメンタル崩壊の36時間。

当然ですが全てが初めて。しかもナースとの会話は全て英語なので、イチイチ聞いたことのない単語に頭が割れそうになる。

新生児の黄疸とか、産後の血栓の可能性とか、様々な書類へのサインも大量の英語。もう疲れ切った体にバチバチと鞭を打たれて、途中から理解していないものにもサインしてしまった。

さらに、授乳の仕方も教えてもらえず、「分からなかったら、ナースコールして!」と言われるものの、コールしても全然来てくれない。

ラクテーションコンサルタント(授乳のプロ)が指導してくれると説明を受けるも、その人も全く来ない、、、ひたすら飲んでるか分からない娘を見つめるのみ。

夫もにわか知識で、赤ちゃんはお腹の中の音で安心するからと、その手のYouTubeを聞かせるも、一向に泣き止まない。

なんで泣いてるんだろうと心が割れそうになって、これから娘が成人するまでの20年、一体どれほどの心配をするんだろうと果てしない未来に気が遠くなり。。。

そんな朦朧としている私に翌朝配られた1発目の朝食がこちら。

フレンチトーストにソーセージ、シリアル。うーん食欲が湧かない。

担当の日本人女医から病院食は期待するなと釘を刺されていたけれどね。

夕食はこれ。

鶏の胸肉とマッシュポテトとインゲン。

お頭付きのお祝い膳が出る日本と違いすぎて(涙)。ちなみに昼はチキンのサラダのみ。

そして、2日目の夜、横になるスペースがなかった夫は一旦帰宅。

新生児と二人っきりの深夜。私の初クライシスがここで始まった。

まだ出血があり、病院着にまだ血がついている。丸2日寝ておらず、授乳をしてもしても泣き続ける赤子をどうしていいか分からない。夜中2時、3時何度もナースコールした。

若いナースはとにかく授乳しろとしか言わない。詳細は英語が早くてうまく理解できない。疲れていて、何度も聞き返す気力がない。

このまま娘が死んでしまったらどうしようと、病室をオロオロ歩き回る。

アメリカで産まなきゃ良かったのか… と追い詰められた。日本にいるお母さんに助けてほしい、そんな想いが朦朧と頭をよぎったその時、神が降臨した。

夜勤で交代になったベテランナース。年は50歳くらいだろうか。

病室にスタスタと入ってきて、「こんな狭い病室で可哀想に。広いプライベートルームが空いたから、そこに移りましょう」と。

私はすかさず、「追加チャージは、、、(アメリカの医療費は鬼だから)」

「チャージないから安心して! お母さんは赤ちゃんより重たい物は持たないで。ベイビーを抱っこして、部屋を移動しましょう」と。

その後、彼女が慣れた手つきで荷物を全て移動させ、泣き続ける娘をささっとおくるみで包んで、ポンとベビーベッドに置いた。

そしたら、本当に不思議なことに、娘はすっと眠りについた。

キュッと強めに包まれた感触が昨日まで滞在していたお腹の中に似ているようで、安堵の表情に見えた。

自分の顔を見て、気持ちの糸が切れてしまう

私はようやく落ち着いてバスルームに行き、産後初めて自分の顔を見た。

驚くほどボロボロになっている自分。急に気持ちの糸が切れてしまった。涙が溢れて溢れて溢れて、泣き声を押し殺すことが出来ない。

あまりにも母親として無力な自分に、さらに英語が出来なくて、ナースとうまく話せず、必要最低限のケアしか娘にしてあげられていないことに、たまらなくなった。

日本で産んでいたら、絶対にこんな風になっていないと自分を責めるしかなかった。今でもあの時の、張り裂けそうな想いは忘れられない。

自分のキャリアと夢を追いながら、迷うことなくアメリカでの出産を推し進めた自分に「選択と責任」という大きなキーワードが突きつけられた。

今後、娘に何かあった時に、私はこの国で彼女を守れるのか?

守るものが出来た今、私らしい選択とは何なのか? 向き合う日々が始まったわけです。

兎にも角にも、ベテランナースのおかげでメンタルの落ち着きを取り戻した私は晴れて大晦日に退院し、ニューヨークで2022年の幕開けを迎えたのでした。

次回は身をもって体験したアメリカでの育児やお金事情についてお届けします。

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古瀬麻衣子

1984年生まれ。一橋大学卒。テレビ朝日に12年勤務。「帰れま10」などバラエティ番組プロデューサーとして奮闘。2020年、35歳で米国拠点のweb会社「Info Fresh Inc」代表取締役社長に就任。現在NY在住。日本人女性のキャリアアップをサポートする活動も独自に行なっている。

Instagram:@maiko_ok_
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