7月は新人アナウンサーがデビューする時期!
7月、新人アナウンサーが各局デビューする時期、ということで、今回は私(2011年入社)のデビューまでの道のりを振り返ってみたいと思います。
▲研修中の写真がなかったので、デビューして数ヶ月後、初レギュラー「ZIP!」担当時
4月1日の入社式からしばらくは、採用された職種にかかわらず、座学で会社の仕組み等を学び、その後、現場研修へ。番組制作の現場だけでなく、営業局でスポンサー企業へ同行させてもらったり、通販事業の商品買い付けの場に同席したり、刺激的な日々でした。
研修は、腹式呼吸と正しい発音・発声の練習から
アナウンスの研修が始まるのは、ようやく6月くらいから。
内定者の頃も研修を受けてはいましたが、改めて、まず腹式呼吸を身につけるべく、吸って吐いてをひたすら繰り返し、太く芯のある声が出せるようにします。声を響かせるイメージをつかむために「宝塚の男役になったつもりで!」なんて指導もありました。お腹から声が出せるようになると、長く話し続けても声がかれたり、喉を傷めてしまったりしにくくなります。
続いて、発音。「あいうえお」の母音それぞれを、正しい口の開け方で音声化できたら、続いて、子音。ハ行は腹筋を意識して、ラ行は舌をゆるめない、など注意すべきポイントはたくさんあります。アナウンサーの訓練としてよくイメージされる早口言葉ではなく、大きく口を動かすことで明瞭な音を出す、という練習が主になります。
その中で歌舞伎の「外郎売(ういろううり)」という演目を覚えるくらい繰り返し声に出すのですが(言いにくい言葉がたくさん出てくるので俳優・声優の方も練習によく使うそうです)この時期は夢の中でも「外郎売」を唱えていました…。
新人時代は自己紹介が憂鬱で…
正しい発音・発声を身に着けたら、ようやくニュース原稿など文章を読む段階へ進みます。詩や絵本の朗読をして表現の練習もします。さらに、地震、大雨などの災害時の対応や、スポーツの知識、食リポに備え食事マナーの確認、身だしなみについてなど、多岐にわたるカリキュラムが組まれます。
中でも私が最も苦手だったのが、自己紹介の練習でした。新人アナウンサーは何度も自己紹介をする機会があります。貴重な、ありがたいチャンスです。ただ、これといった特技や突飛なエピソードもない私にとってはこれが本当に難しくて、何を言えば良いのだろう… と、毎回憂鬱になっていました。
それでなくても毎日覚えることや考えることだらけ、そしてテレビで見ていたアナウンサーのようになかなかできない自分への焦りもありました。
同期の山本紘之アナウンサーは“戦友”
また、アナウンス研修は同期と教えてくれる先輩アナウンサーのみの空間です。私の同期は山本紘之アナウンサー(これまで「news zero」などを担当、今は「ZIP!」のスポーツキャスターです)一人なのですが、山本アナは大学までサッカー部で、プロからも誘われたほどの選手でした。
アスリートならではの勘の良さ、吸収力で、みるみる上手くなっていく一方、私は学生時代、短期間ですがアナウンススクールに行っていたこともあり知識だけは多少頭にあるのに、成長の手ごたえが無い…。今後アナウンサーとしてやっていけるのだろうかと落ち込んでばかりで、当時、研修を担当してくれた先輩からは「あの頃の徳島は本当に暗かった」といまだに言われます(笑)
同期と比較されているような気持になって勝手に卑屈になっていましたが、その時期を乗り越えられたのも同期のおかげ。山本アナのがむしゃらさに感化されて、私もとりあえずやるしかない、と前を向くことができました。この研修期があるので、アナウンサーにとって同期というのは“戦友”に近いような存在です。
こうした研修を続けつつ、7月下旬あたりから番組の中で時間をいただいて挨拶したり、CS放送などでニュース読みをしたり、
今度はさらに多様な現場で壁にぶち当たることになります……。
今年の新人アナウンサーはこの二人! よろしくお願いします!
今年度の日本テレビ新人アナウンサーは林田美学(みのり・左)、浦野モモ(右)の2人です。新しいことに挑戦する高揚感に満ちた瞳がまぶしいです。
もう私は研修の講師をする側になってしまいました。飲み込みが早くガッツのある2人なので、あれもこれも、と伝えたくなってしまう一方で、焦らないでいいよ、まずは心と体の健康を第一に日々楽しんでね、と思ってしまうのは年を重ねたからなのかもしれません…。
まもなく2人も皆様にテレビにてお目にかかることになります。どうぞ宜しくお願い致します!
日本テレビアナウンサー 徳島えりか
1988年9月生まれ、東京都出身。O型。慶応義塾大学 法学部政治学科卒業後の2011年4月、日本テレビに入社。現在は、『シューイチ』『news every.』を担当。Instagram → @tokushima_erika