テレビ出演以外にも多岐にわたるアナウンサーの仕事
前回のコラムで「新人研修」について書きましたが、今回はその研修を経て直面するアナウンサーの仕事というのは、どんなものがあるのかご紹介したいと思います!
一番イメージしていただきやすいのは、生放送や収録などの顔出しの仕事でしょうか。地上波、BS、CSだけでなく、ここ数年は配信、web用の動画なども増えました。
スタジオを飛び出してのロケも内容は様々です。専門家などへのインタビュー、街歩き、食リポ、最新のアクティビティの体験や、時にはアスリートのトレーニングを実践してみることも。
かつて、とあるオリンピック選手の練習に同行したものの私がほとんど付いていけず、ほぼ放送されなかったという苦い思い出もあります…(笑)
ラジオ
日本テレビのアナウンサーは、グループ会社のラジオ日本で『日テレアナ・ザ・ワールド!』というトーク番組(土曜22時半~30分間)を週1回交代で担当しています。局によっては様々な番組を持っていて、ラジオとの関係が密接なところも。
普段テレビで仕事をしていると、表情や身振り手振りによって、ごまかせてしまっている部分があることを、ラジオの仕事では痛感します。声だけで伝える、というのは非常に難しいですが、やりがいがあり、ラジオの仕事が好きなアナウンサーも多いです。私も『日テレアナ・ザ・ワールド』の自分の番を心待ちにしています。
スポーツ中継
野球、サッカー、ラグビー、ゴルフ、駅伝などの生中継に実況、リポート、インタビューが発生します。実況は特に、アナウンサーの中でも専門職です。
目の前で起きていることを的確に描写しながら、選手や競技のことを紹介し、解説者に話を聞き、何時間も話し続けるスタミナも必要です。そして何より例えばプロ野球なら試合はほぼ毎日のようにあるので、自分が実況しない日も取材や情報整理をすることになり、かける時間は膨大なものになります。
まさにプロフェッショナル、どうしてこの瞬間にこんな言葉を紡ぎだせるのだろうと、実況アナウンサーには尊敬しかありません。ちなみに他局のスポーツ中継を見ていても、今日の実況はどなたかな、と気になってしまいます。
イベント、記者会見の司会
映画の舞台挨拶、表彰式の進行なども行います。愛する『名探偵コナン』劇場版の舞台挨拶は毎年のように担当しています。
ふだんカメラを前に仕事しているので、実際にお客様がいる場というのは気も引き締まりますが、様々なリアクションなどがあって非常に楽しいです。今はコロナ禍で声が出せませんが、人の熱気やパワーというのは感じられるものです。観客の存在によってテンションが高まり、パフォーマンスが変わる、良くなるというのはアナウンサーですら実感しています。
ナレーション
楽しいバラエティにも、硬派なドキュメンタリーにも、実は多くの番組に声だけで説明や、時にはツッコミを行うナレーションがついています。こちらも声を駆使した表現で、番組の雰囲気を左右してしまいかねない難しくも面白い仕事です。
提供読み
民放テレビ局にとって重要な仕事のひとつが「提供読み」です。番組の途中や終わりなどにスポンサー企業名を読み上げ、「ご覧のスポンサーの提供でお送りします」なんていうものです。こちらは新人からベテランまでまんべんなく、シフトで担当します(番組によってはその番組を担当するアナウンサーが提供読みも行うものもあります)。
わたしも新人の頃、ドキドキしながら初めての提供読みをしました。研修を受け、なんとか世に出せるところまでになったと、お墨付きをいただいてデビューしたものの、自信の無さが声に出ていたようで、はっきり言って下手…。その初めての提供読みが使われたのが『家政婦のミタ』というドラマでした。
最終回には視聴率40%という信じられない数字を記録した大人気ドラマで、私の初提供読みが使われてしまったのです…。家でドラマを見て感動しつつも、自分の拙い提供読みが差し込まれて現実に戻され頭を抱える、ということを繰り返し、もっと練習しよう、と心から思いました(笑)。
これに各業務の打ち合わせ、自分なりの準備、資料整理、勉強会、などがありまして、勤務時間は埋まっていきます。同じ仕事の繰り返し、ということが比較的少ないおかげか、入社12年目になっても、新鮮な毎日を送ることが出来ています!
日本テレビアナウンサー 徳島えりか
1988年9月生まれ、東京都出身。O型。慶応義塾大学 法学部政治学科卒業後の2011年4月、日本テレビに入社。現在は、『シューイチ』『news every.』を担当。Instagram → @tokushima_erika