「目くじらを立てる」の意味や語源とは?
会話の中でもよく使う「目くじらを立てる」ということわざ。皆さんは正しい意味を知っていますか? 改めて意味や語源を確認しておきましょう。
意味
「目くじらを立てる」とは、他人の欠点を探し出して必要以上に強く責めること。あなたの職場にも、些細なことを取り上げて、ののしる上司がいるかもしれません。他人の細かいミスに敏感で、いちいち非難してくる様子を「目くじらを立てている」というように表現します。
そもそも「目くじら」とは一体何を指しているのでしょうか?
語源
「目くじら」と言っても「目鯨」と勘違いしてはいけません。「目くじら」は元々「目くじり」がなまった言葉で、目尻のことを指します。そして「目尻が立つ」というのは、目尻がつり上がる様子のこと。このような語源から、目尻をつり上げて怒っている人の様子を表した「目くじらを立てる」ということわざが使われるようになったのです。
使い方を例文でチェック!
「目くじらを立てる」は、日常生活でも使うことの多いことわざです。職場に限らず、普段の生活の中でも、目くじらを立ててくる人はいるでしょう。ここでは実際に「目くじらを立てる」を使った例文を紹介していきます。いくつか挙げていきますので、ぜひ参考にしてくださいね。
1:私の上司は細かいところに目くじらを立てるから、一緒にいると気が抜けない。
ビジネスにおいて、上司に目くじらを立てられることは頻繁にあるでしょう。理不尽に怒られて落ち込んでしまうこともありますが、あなたの成長を期待しているからこその行動なのかもしれません。程度にもよりますが、あまりマイナスに捉えなくて良いのですよ。
2:そんなに目くじらを立てるようなことじゃないのに、彼はずっとイライラしている。
「そんなに目くじらを立てることじゃない」というフレーズはよく使います。イライラし始めると、感情的になってしまって冷静に判断できなくなることがあるでしょう。周りから見ると、「そんなに目くじらを立てることじゃないのにね」と言われてしまうこともあるはずです。
3:ライバルである彼女は、私の些細なミスにすぐ目くじらを立ててくる。
競争社会では、揚げ足を取ろうと他人の細かなミスを執拗に取り上げる人も多いかもしれません。しかし、目くじらを立てて他人を非難している姿は、周りからマイナスなイメージを持たれることもあります。他人ばかりを気にするのではなく、まずは自分の仕事に専念することが大切でしょう。
4:姑と暮らしていると、細かいところにいちいち目くじらを立てられるので憂鬱だ。
いわゆる嫁姑問題ですね。今となっては聞くことが少なくなりましたが、姑の何気ない発言が、嫁にとっては目くじらを立てられているように感じることも多いのだそう。同じ内容でも言い方によって、相手に与える印象は変わってくるということを心得ておきましょう。
「目くじらを立てる」の類語には何がある?
「目くじらを立てる」の類語表現には、「揚げ足を取る」「粗を探す」「目を三角にする」などが挙げられます。それぞれの慣用句について詳しく解説していきますね。
1:揚げ足を取る(あげあしをとる)
揚げ足を取るとは、相撲や柔道で相手のあげた足を捉えて倒すところから転じて、人の言い間違いや言い損ないを取り上げて皮肉を言うことを意味します。そのような行動を取る人を「揚げ足取り(あげあしとり)」と言ったりもするでしょう。日常的な会話でもよく使う慣用句ですよね。広く浸透している言葉であるが故に、実は間違った意味で理解している人も多いのです。
「揚げ足を取る」は、発言に対する失態を取り上げる行為。そのため、業務でのミスなどは対象になりません。「人の失敗・やり損ないを見て、からかったり責める」という意味ではなく、あくまで言い間違いに対する皮肉だということを理解しておきましょう。
2:粗を探す(あらをさがす)
欠点や悪いところなど、落ち度を探す行為を「粗を探す」または「粗探しをする」という風に言います。一見良いように見える作品や人柄の細かい欠点を探し出すわけですから、少し悪意を感じる行動ですね。「目くじらを立てる」の些細なミスを取り上げるニュアンスが類似しています。
3:目を三角にする(めをさんかくにする)
「目くじらを立てる」と同じで「目」を含む慣用句ですね。怖い目つき、怒った時の目つきを意味しています。三角ということは、角があるということ。目に角がある、つまりつり上がった目のことを指しているため、「目くじらを立てる」と同じように怒った時の様子を表しているのです。
目くじらを立てる人と上手く付き合う方法
あなたの周りにも、すぐに目くじらを立ててくる人が少なからずいるでしょう。最後に、そんな人とも上手く付き合っていくコツを紹介します。人間関係で悩みたくない方は、少し参考にしてみてください。
1:相手のことを肯定してあげる
些細なミスを取り上げて責め立てる人は、他人の欠点を見つけることで、その人が自分より劣っていると認識し、自尊心を守っている可能性があります。つまり、人をけなすことで自分に自信をつけているのです。そのため、日頃から相手を褒めたり評価してあげることで、相手の自信も満たされ、他の人を非難することも減るかもしれません。
2:冷静に、素直に受け止める
些細なことで目くじらを立てられると、その瞬間は理不尽に思えるかもしれません。しかし、一度落ち着いて相手の言葉を受け止めてみましょう。相手は感情的になっているため、こちらの聞く態度が悪ければさらに強い非難をしてくる可能性があります。1つの助言だと思って素直に受け入れてみると、案外相手も攻撃してこなくなるかもしれません。
3:気にしないでおく
所詮、他人は他人、自分は自分です。いちいち細かいことで口出しをされると気になってしまうのも当然ですが、あなたが自分の意思を持って取った行動ならば、それはそれでいいのではないでしょうか? 1つの意見だと納得できるうちは良いですが、相手があまりに感情的に非難してくるようであれば、距離を置くのも1つの策ですよ。
最後に
「目くじらを立てる」について解説しました。言葉は聞いたことがあるものの、「くじらってどういう意味?」などと疑問に思っていた方も多いのではないでしょうか? 日常生活でも使うことの多いことわざですので、ぜひ例文などを参考にしながら使ってみてくださいね。
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