この記事のサマリー
・「覚束ない」は「おぼつかない」と読みます。
・「覚束ない」は、成り行きが疑わしい、あやふや、頼りないという意味を持つ言葉です。
・「覚束ない足取り」は、歩き方が安定せず、しっかりしていない様子を表す表現です。
「覚束ない足取り」「覚束ない記憶」など、日常で耳にしたり、使うことのある「覚束ない」。意味は何となく想像できても、いざ説明しようとすると迷う人も多いのではないでしょうか?
読み方や漢字の成り立ち、似た言葉との違い、ビジネスで使う際の注意点まで整理すると、この言葉の輪郭が見えてきます。この記事では「覚束ない」について見ていきましょう。
「覚束ない」とは?
まずは意味から確認していきます。
意味
「覚束ない」は「おぼつかない」と読みます。主に、「物事の成り行きが疑わしく、うまくいきそうにない」「はっきりせず、あやふやである」「しっかりせず、頼りない・心もとない」という意味で使われます。
辞書では次のように説明されていますよ。
おぼつか‐な・い【覚▽束無い】
[形][文]おぼつかな・し[ク]
1 物事の成り行きが疑わしい。うまくいきそうもない。「昨年並みの収穫は―・い」「今の成績では合格は―・い」
2 はっきりしない。あやふやである。「―・い記憶をたどる」
3 しっかりせず、頼りない。心もとない。「足もとが―・い」「―・い手つき」
4 はっきり見えないで、ぼんやりとしている。
「門上の楼に、―・い灯(ひ)がともって」〈芥川・偸盗〉
5 ようすがはっきりせず、不安である。気がかりだ。
「―・く思ひつめたること、少しはるかさむ」〈伊勢・九五〉
6 不審である。おかしい。
「やや久しくものも言はでありければ、人ども―・く思ひけるほどに」〈宇治拾遺・一〉
7 疎遠で相手のようすがわからない。
「かのわたりには、いと―・くて、秋暮れ果てぬ」〈源・末摘花〉
8 待ち遠しい。もどかしい。
「返り事せずは―・かりなむ」〈堤・虫めづる姫君〉
[派生]おぼつかながる[動ラ五]おぼつかなげ[形動]おぼつかなさ[名]
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
例えば、「今の成績では合格は覚束ない」なら「合格できそうにない」、「覚束ない記憶」なら「記憶があやふやである」、「覚束ない足取り」なら「足取りがしっかりせず頼りない」という意味になります。
また、古くは、ぼんやりとしてはっきり見えないことや、相手の様子がわからず気がかりなこと、会うことが待ち遠しい気持ちなどを表す場合もありました。
なお、「覚束」は当て字です。
参考:『日本国語大辞典』(小学館)

「覚束ない」の例文をチェック
次に「覚束ない」を使用した例文を紹介します。
「赤ちゃんの足元はまだ覚束ないので、近くで支えてあげながら見守る必要があります」
「覚束ない足取り」とは、歩き方が安定せず、しっかりしていない様子を表す表現です。「覚束ない」には「しっかりせず、頼りない」という意味があり、ふらついていたり、一歩一歩が不安定だったりする足取りについて使えます。
必ずしも「足に力が入っていない」という意味ではなく、歩行の頼りなさを幅広く表現する言葉です。

「手元が覚束なく、今にもスープがこぼれそうで心配だ」
「手元が覚束ない」とは、手の動きがしっかりせず、頼りなく見える様子を表します。慣れていない作業に取り組むときなどにも使われますが、「覚束ない」そのものが「不慣れ」という意味ではありません。
この例文では、スープをこぼしそうなほど手元の動きが安定していない様子を表しています。
「彼の覚束ない知識では、まだプロジェクトを一人でこなすには不安が残る。サポートを付ける必要があるだろう」
「覚束ない知識」とは、十分に確かとはいえず、頼りなさが残る知識を表します。「覚束ない」には「はっきりしない」「しっかりせず頼りない」という意味があるため、知識や理解に十分な確信を持てない場合にも使えますよ。
この例文では、プロジェクトを一人で担当するには知識がまだ十分に確かではなく、サポートが必要だと判断している状況を表しています。
「覚束ない」の類語を紹介
次に、「覚束ない」と意味が重なる類語を、違いや使い分けとともに紹介します。

「心もとない」
「心もとない」は、頼りなく不安で、心が落ち着かない様子を表す言葉です。「覚束ない」と意味が重なる場合がありますが、両者にはニュアンスの違いがあります。
「覚束ない」は、「記憶があやふやである」「成功するか疑わしい」といった不確かさそのものを表す場合にも使えます。一方、「心もとない」は、その状況から感じる不安や頼りなさに重点を置いて使われることが多い言葉です。
例文:「初めて一人で担当する仕事なので、まだ少し心もとない」
「おぼろげ」
「おぼろげ」は、はっきりしないさま、不確かなさまを表す言葉です。特に、記憶や認識などが明確ではない場合に使われます。
「覚束ない記憶」と「おぼろげな記憶」は近い意味で使えますが、「覚束ない」には、その記憶が確かではなく、頼りにしていいのか不安だというニュアンスを伴う場合があります。
例文:「幼いころに行ったきりなので、訪れた場所についてはおぼろげにしか覚えていない」
「気遣わしい(きづかわしい)」
「気遣わしい」は、物事の成り行きなどが気にかかり、心配であることを表す言葉です。「覚束ない」が物事の不確かさや頼りなさを表すのに対し、「気遣わしい」は、それについて心配する気持ちに重点があるといえます。
例文:「遠方に住んでいるため、入院中の祖父をなかなか見舞えず、容体が気遣わしい」
参考:『デジタル大辞泉』(小学館)
「覚束ない」を英語で伝えるなら
「覚束ない」を英語で表現する場合は、「doubtful」や「uncertain」が使えます。どちらも「不確かな」「はっきりしない」という意味を持ちますが、ニュアンスには違いがあります。
「doubtful」 は、物事の実現や成功について疑わしいと感じる場合に使われる表現です。例えば、「計画の実現は覚束ない。」という場合には、「It is doubtful whether the plan will succeed.」と表現できます。
「uncertain」 は、物事の見通しが立たないことや、状況が不確実であることを表す言葉です。例えば、「新商品の売れ行きは覚束ない。」という場合には、「Sales of the new product are uncertain.」と表現できます。
また、「足元が覚束ない」のように、動作が不安定な様子を表す場合にも「uncertain」が使われることがあります。
このように、「覚束ない」は、実現の可能性が疑わしい場合には「doubtful」、先行きが不透明な場合には「uncertain」など、文脈に応じて使い分けるといいでしょう。
参考:『ビジネス技術実用英語大辞典V6』(プロジェクトポトス)
「覚束ない」に関するFAQ
ここでは、「覚束ない」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1:「覚束ない」の読み方と意味は?
A:「覚束ない」は「おぼつかない」と読みます。物事の成り行きが疑わしく、うまくいきそうにないこと、はっきりせずあやふやなこと、しっかりせず頼りないことなどを表します。何について使うかによって、意味の重点が変わる言葉です。
Q2:「覚束ない足取り」とは、どのような様子ですか?
A:歩き方が安定せず、しっかりしていない様子を表します。ふらついていたり、一歩一歩が不安定だったりする状態に使えます。
Q3:「覚束ない」と「心もとない」の違いは?
A:「覚束ない」は、記憶があやふや、成功するか疑わしいなど、不確かさや頼りなさそのものを表す場合があります。「心もとない」は、頼りない状況から生じる不安や気がかりな気持ちに重点がある言葉だといえるでしょう。
最後に
「覚束ない」は、文脈によって受け取られ方が少しずつ変わる言葉です。記憶や足取り、物事の見通しなど、何について使われているのかに目を向けると、意味がつかみやすくなりますね。
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