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「転寝」という言葉、どこか心地よさそうな響きがありますが何と読むのでしょうか? この記事では、読み方を確認し、意味や使い方、類語、英語表現まで紹介します。
「転寝」とは?|読み方と意味を確認しよう
「転寝」という言葉からは、日常の中のささやかな休息が感じられます。まずは、この言葉の基本情報から確認していきましょう。

転寝の読み方と意味
「転寝」は「うたたね」または「ごろね」と読みます。それぞれの意味を辞書で確認しましょう。
うたた‐ね【▽転寝】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)眠るつもりもないまま、うとうとと眠ること。仮寝。「テレビを見ながら―する」
「うたたね」は眠ろうとはしていないのに、ふとした瞬間に軽く眠ってしまう状態を指します。テレビを見ている間や本を読んでいるうちに、つい目を閉じてしまうような場面がこれにあたります。
ごろ‐ね【▽転寝】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名](スル)寝るしたくをしないで、そのまま横になって寝ること。ころびね。「疲れてソファーで―する」
一方の「ごろね」は、普段着のままソファなどに横になってそのまま眠ることをいいます。意図的に身体を横にして休むスタイルです。
「転寝(うたたね/ごろね)」の使い方を例文で確認
「転寝」の使い方を具体的な例文を通して見てみましょう。読み方別に紹介します。
午後の日差しが心地よくて、つい窓辺で転寝(うたたね)してしまった。
環境の心地よさに誘われて眠ってしまう様子を描いています。「つい」という副詞が、「意図せず軽く眠ってしまう」うたたねのニュアンスとよく合っています。
仕事の合間に、デスクで転寝(うたたね)していたら夢を見た。
短時間のうたたねでも夢を見ることがあるという、ちょっとした驚きやリアルさを含んだ表現です。忙しい合間の隙間時間という設定が「うたたね」と相性のいい使い方です。
疲れて帰宅後、そのままリビングで転寝(ごろね)してしまった。
この例文では、帰宅後に着替えや就寝準備もせず、そのまま寝てしまった状態が自然に描かれています。
休日の午後、カーペットで転寝(ごろね)するのが最近の癒やし。
意図的にくつろぎを求めて「ごろね」する様子を表現しています。ラフで心地いい時間を表す場面に適した使い方です。

「転寝」の類語・言い換え表現
「転寝(うたたね・ごろね)」に近い意味の言葉を知っておくと、場面に応じてより適切な表現を選びやすくなります。それぞれのニュアンスの違いにも目を向けてみましょう。
仮眠(かみん)
本格的な睡眠とは別に、短時間だけ取る眠りを指します。計画的に眠るときにも使われることが多く、「昼休みに仮眠を取る」などの場面で使われます。
微睡む(まどろむ)
眠気を催し、浅い眠りに入ることを表します。うとうととした一瞬の眠気の中にある感覚です。
うとうと
眠りかけている様子や、浅い眠りに落ちているさまを表します。「電車の中でうとうとしていた」など、日常的な場面でよく登場します。

『転寝草紙』とは?|文学で登場する「転寝」
『転寝草紙(うたたねそうし)』は、室町時代に成立したお伽草子のひとつです。ある大臣の姫君が、うたた寝の夢の中で出会った美しい貴公子を忘れられず、恋い焦がれるあまり病に伏してしまいます。しかし、石山観音への祈願の末、その相手である左大将と現実に結ばれるという筋立てです。
この物語には、小野小町の和歌「うたた寝に 恋しき人を 見てしより 夢てふものは 頼みそめてき」が深く関わっており、夢と恋の儚さが重ねられています。
また、王朝文学の趣を色濃く受け継いだ構成となっており、幻想的な世界観と信仰が織りなす、時代を超えて響く恋の物語といえるでしょう。
「転寝」の英語表現は?
「うたたね」と「ごろね」、それぞれに近い英語の言い回しを見ていきましょう。
take a nap
“nap” は「短い眠り」「うたたね」を意味し、“take a nap” とすることで「うたたねをする」「仮眠をとる」という表現になります。日常会話でもよく使われる言い回しです。
例文:I took a nap on the sofa after lunch.
(昼食後、ソファでうたたねをしてしまいました。)
lie down for a nap
こちらは「横になってうたたねする」や「寝る準備をせずにごろねする」といったニュアンスに近い表現です。簡易的な休息の様子が伝わります。
例文:He lay down for a nap without even changing his clothes.
(彼は服も着替えず、そのままごろねをしていました。)
最後に
「転寝(うたたね・ごろね)」は、ほんのひとときのまどろみに過ぎないかもしれませんが、その静けさややわらかさには、どこか特別な心地よさが宿っているかのようです。
日々のあわただしさの中でふと訪れる小さな休息を、言葉として知っておくことで、少し丁寧に味わえる気がしてきますね。思いがけず眠りに誘われたその時間が、ほんのわずかでも心をほぐしてくれるものとなるよう願っています。
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