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「巧遅は拙速に如かず」という言葉を耳にしたとき、「どういう意味なんだろう?」と感じた人もいるかもしれません。特に仕事や日常での判断に迷ったとき、この言葉が示す考え方がヒントになることもあります。
この記事では、「巧遅は拙速に如かず」の意味、使い方、類語や対義語、ビジネスの場面での活用法、そして英語表現までを、できるだけわかりやすく紹介していきます。
「巧遅は拙速に如かず」とは?|読み方と基本の意味から押さえる
言葉の意味を知ることで、見えてくる価値観があります。「巧遅は拙速に如かず」も、そのひとつ。まずは読み方と基本の意味を見ていきましょう。
「巧遅は拙速に如かず」の読み方と意味
「こうちはせっそくにしかず」と読みます。辞書で意味を確認しましょう。
巧遅(こうち)は拙速(せっそく)に如(し)かず
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《「文章軌範」有字集小序から》仕事の出来がよくて遅いよりは、出来はわるくとも速いほうがよい。
「巧遅」は「仕上がりは優れているが時間がかかること」を意味し、「拙速」は「仕上がりは粗いけれど早いこと」を指します。「如かず」は「及ばない」という意味です。つまり、「巧遅は拙速に如かず」は、「完成度は高くて遅いより、多少粗くても早いほうがいい」といった考え方を表しています。

どう使う?「巧遅は拙速に如かず」の具体的な例文
この言葉を日常会話で使う場面は多くないかもしれません。しかし、使いどころを知っておくと、いざという時に自然な言い回しとして役立つことがあります。
「まず動くべきだ」という彼の姿勢は、まさに巧遅は拙速に如かずだと思う。
素早い判断や行動を評価する場面で、前向きな意味合いとして用いることができます。
この件は慎重さよりスピードが求められる。まさに、巧遅は拙速に如かず、だね。
納期や即応性が重視されるビジネスシーンで、状況の優先順位を示す際に使いやすい表現です。
「巧遅は拙速に如かず」とは言うけれど、丁寧さが求められるときもあるよね。
状況によっては、バランスを意識することも大切です。

「巧遅は拙速に如かず」の類語と対義語
言葉の背景にある考え方を知っておくと、場面に応じた表現の選び方がしやすくなります。ここでは、似た意味や反対の意味を持つ表現を紹介していきましょう。
類語・兵は神速を貴ぶ(へいはしんそくをたっとぶ)
戦いにおいては、すばやい判断と行動が何より重要であるという意味です。特に時間が勝敗を左右する場面では、「巧遅は拙速に如かず」と同じような考え方として使われます。
対義語・急がば回れ
目的に早くたどり着きたいときほど、近道ではなく、安全で確実な方法を選ぶべきだというたとえです。拙速よりも丁寧さや慎重さを重んじる考え方で、「巧遅は拙速に如かず」とは反対の姿勢を表しています。
ビジネスシーンでの「巧遅は拙速に如かず」|評価される場面とは?
「巧遅は拙速に如かず」は、ビジネスの現場でも引用されることがあります。すばやい行動が求められる場面では、特にその意味が生きてきます。ここでは、仕事の中でこの言葉がどのように受け取られているかを見ていきましょう。
「拙速」を尊ぶ姿勢
製造業を中心に、まずは試してみるという姿勢が重視されることがあります。完璧な計画を練るより、小さく始めて改善を積み重ねる。このような柔軟なアプローチは、「拙速」に価値を見出す考えと通じています。

ミスを恐れて動かないより、まず手を動かす文化
失敗を避けようと考えすぎて動けなくなってしまうこともあります。そんなとき、「巧遅は拙速に如かず」という言葉は、まず一歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。多少の不完全さがあっても、早く行動することの意義に目を向けた姿勢です。
拙速と巧遅のバランスをどう考えるか?
もちろん、すべての場面で「拙速」が優れているとは限りません。場合によっては、時間をかけて丁寧に進めることが求められることもあるでしょう。
最後に
「巧遅は拙速に如かず」は、時に判断を急ぐための言い訳に聞こえることもあるかもしれません。しかし、そこに込められた意味を知ることで、自分の選択に一歩踏み出すきっかけになることもあります。完璧を求めるより、まずやってみる。そんな気持ちが必要になる場面は、意外と多いのではないでしょうか。
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