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この記事のサマリー
・「似て非なるもの」とは、見た目は似ていても中身が異なることを表します。
・本当に「似て非なるもの」かどうかは、表面的なものではなく本質の違いで判断します。
・英語では“sham”などが「似て非なるもの」に近い表現です。
「似て非なるもの」という言葉、聞いたことはあるけれど、意味は曖昧だという人が多い言葉の一つです。ビジネスシーンや日常会話でもよく使われるため、正しい意味や使い方を知っておくと安心ですね。
本記事では、辞書に基づく正確な定義と由来、具体的な使用例、類語との違いまでをわかりやすく解説していきます。
「似て非なるもの」の意味と背景を正しく理解しよう
最初に「似て非なるもの」の読み方と意味を確かめましょう。
「似て非なるもの」の意味と定義
「似て非なるもの」は、「にてひなるもの」と読みます。辞書では、「似て非なり」について、以下のように記載されています。
似(に)て非(ひ)◦なり
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
《「孟子」尽心下から》ちょっと見たかぎりでは似ているが、実際は全く違う。「慎重と臆病とは―◦なるものである」
見た目は似ていても中身がまったく異なる。そんな物事を表す言葉が「似て非なるもの」です。
「似て非なるもの」の語源と由来|出典は『孟子』
「似て非なる」は、古代中国の思想書『孟子』に由来します。『孟子』尽心・下の「孔子曰、悪似而非者、悪莠恐其乱苗也、悪佞恐其乱義也」という記述から「外見は似てはいるが本質的に異なるもの」「見せかけのものである」という意味で広く使われるようになりました。
参考:『故事俗信ことわざ大辞典』(小学館))

どんな時に使う?「似て非なるもの」の使い方と例文
「似て非なるもの」は、単なる見た目の違いだけでなく、価値観や性質など「本質的な違い」を強調する際に用いられます。ビジネスでも日常会話でも使える便利な表現ですが、意味を理解した上で適切に使うことが大切です。
そのバッグは一見ハイブランドのようだが、細部の縫製を見ると「似て非なるもの」だとわかる。
外見は本物に近いが、品質や作りに明確な差があるケース。「まがいもの」を表す典型例です。
二つの企画案はタイトルこそ似ているが、目的もアプローチもまったく違う「似て非なるもの」だった。
見た目や名称は近くても、内容・本質が異なる状況に使えるビジネスシーンの例です。
「努力」と「根性」は同じように語られがちだが、実際には「似て非なるもの」だと思う。
抽象概念の違いを表す使い方。本質的な性質の差異についての考え方を示しています。

類語や言い換え表現は?
ここでは「似て非なるもの」に近い意味を持つ言葉を紹介します。
紛い物(まがいもの)
本物と見分けがつかないほど似せて作った物。にせものや模造品、イミテーションともいいます。
例文:そのバッグは紛い物だと一目で見破られた。
偽物(にせもの)
本物に似せてつくったもので、まがい物ともいいます。
例文:展示会で注目を集めた絵画が、実は偽物だったと判明した。
見せかけ
見せかけることを意味します。主に外見やうわべのことを指しますよ。
例文:彼の冷静さは見せかけで、本心ではとても焦っていた。
「似て非なるもの」の英語表現
「似て非なるもの」を英語で表現する際は、“sham”を使うといいでしょう。「まがいもの」や「偽物」を指します。
例文:The product looked reliable at first glance, but it turned out to be a sham.
(その製品は一見信頼できそうに見えたが、実は似て非なるものだった。)
参考:『ランダムハウス和英大辞典』(小学館)

「似て非なるもの」に関するFAQ
ここでは、「似て非なるもの」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1.「似て非なるもの」とはどういう意味ですか?
A. 「一見似ているようで実際は本質的に異なるもの」を指します。
ぱっと見似ているが、実際には見せかけだけのものに対して使われます。
Q2.「似て非なるもの」の類語には何がありますか?
A. 「紛い物」「偽物」「見せかけ」などがあります。
Q3. ビジネスメールで「似て非なるもの」を使っても大丈夫ですか?
A. はい、使えます。
ただし、相手に対する評価として使うのは避けたほうがいいでしょう。
最後に
「似て非なるもの」は、単に「少し違う」という意味ではなく、本質的な違いがあることを強調する表現です。そのため、曖昧な相違ではなく、「どこがどう違うのか」を伝える文脈で使うことが大切です。
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