そもそも「トリガー」って? まずはその意味を正しく理解
「口コミがトリガーとなって店が繁盛した」「けんかのトリガーは何だったの? 」などの表現を耳にしたことはありませんか? 何となくはわかるけどよくわからない。そんな「トリガー」という言葉を、まずは正しく理解しましょう。
トリガー、それは「きっかけ」
trigger(トリガー)を直訳すると、引き金。そこから、物事が動く引き金になった事柄のことを表すようになりました。要は、何かが起きた際の「きっかけ」に当たるのがトリガーだというわけです。「朝起きる時のトリガーは目覚まし時計」という使い方もOK。ただし、場面によっては意味合いの少し異なることがあります。
ここではその具体例を紹介しましょう。
ビジネス現場での意味
ビジネスでは、シンプルにきっかけ・要因として使われることが多いでしょう。たとえば「社内改革のトリガーとなったのは〇〇」という具合です。独特なのはIT業界。何かきっかけ(トリガー)になる動作が起こると、自動的に特定の処理を行うソフトウェアのことをトリガーといいます。処理を行うきっかけの動作、そして、そのきっかけにより動き出した処理のことをどちらもトリガーというわけです。
医療現場での意味
医療機器の作動のきっかけとなる機能のこと。特に、人工呼吸器で患者さんの吸気努力を感知するための機能を「トリガー」といいます。整体などの施術に対して使われるトリガーポイントとは別の意味合いになりますので、注意が必要。
心理学での意味
対象者、主に顧客の「心を動かす」きっかけや仕掛けという意味で使われます。心理学トリガーともいい、主にマーケティングやコピーライティングなどに必要なテクニックといえるでしょう。
金融での意味
「トリガー価格」という言葉を、聞いたことはありますか? アメリカ政府が、自国の産業保護を目的に設定した価格のことです。英語では、「trigger pricing」と表します。
政府が指定した商品には、一定の価格水準が決められます。その価格を下回る輸入物は、ダンピング調査の対象となるのが「トリガー価格」です。ダンピングによる大量の流入を防ぐために実施したものだといえますね。
このほか、「トリガー価格」は証券用語としても使われます。意味は、投資家があらかじめ指示しておく価格のこと。この価格がトリガーとなって、売買の注文が証券取引所に発注されます。
またちょっと難しいですが、「トリガー条項」という言葉も。ある条件が引き金(トリガー)となって事前に定めた条件を満たしたり抵触した場合に発動される条項のことです。たとえば日本では、ガソリン価格の高騰に対処するためのトリガー条項が法制化されています。ニュースなどで見聞することがあるかもしれませんね。
他にも、「トリガー産業」という言葉もあります。国や地域の経済成長を引っ張る産業のことを表しますよ。
使い方を例文でチェックしよう!
きっかけや要因、作動などの意味を持つ「トリガー」。TPOに応じた使い方をマスターしましょう。
ビジネスで使う時の例文:「社内のデジタル化を推進するためのトリガーが必要です」
働き方改革や業務の効率化を図るために欠かせないのがデジタル化。これを推進するためのきっかけ、仕掛けを作ることが必要だ、という意味です。たとえば研修を行ったり、デジタル人材の積極的な確保などがそれに該当するでしょう。
医療用語として使う時の例文:「トリガー感度を設定します」
人工呼吸器には、患者さんの吸気努力を感知して体内に吸気ガスを送る機能(トリガー)があります。この場合は「吸気努力を感知する感度を患者さんの自発呼吸の状態に合わせて設定します」という意味です。
心理学の言葉として使う時の例文:「利用者の声は、商品販売数を伸ばすための重要なトリガーです」
利用者の「使ってよかった」とのリアルな体験談を紹介することは、購買意欲を掻き立てるためによく使われる方法です。ほかにも注目のインフルエンサーとタッグを組む、サプライズプレゼントなどの特別感や今だけという希少性に訴えるなど、さまざまな心理学トリガーが考えられますね。
金融用語として使う時の例文:「トリガー価格で株の売買をしています」
例として、株価1,000円というトリガーを設定しておけば、自ら株価を確認しなくても、1,000円になったり上昇すれば買い、下落すれば売るという自動売買が成立します。設定した価格が株の売買のきっかけになるわけです。
英語表現もチェック
トリガーとは、英語の「trigger」が元になった言葉です。ここでは、英語表現も確認しておきましょう。「trigger」は名詞としても、動詞としても使われます。
名詞として使う場合、「pull the trigger on〜」とすることで「〜に引き金を引く」という意味になります。比喩としても用いられますよ。
最後に
日常的な言葉として、また専門的な用語として、「トリガー」はさまざまな使われ方をします。もし意味の理解に迷ったら、きっかけ、仕掛けなどと日本語に置き換えてみましょう。「トリガー」という言葉がぐっと親しみやすくなりますよ。
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