この記事のサマリー
・「一生懸命」は、物事に全力で向き合い、力を尽くす姿勢を表す、とても身近な言葉です。
・ビジネスシーンでは「真剣に取り組む」「力を尽くす」などへの言い換えがより自然です。
・類語には、「一途」「真剣」「本気」「一心不乱」などが挙げられます。
「一生懸命」は、よく使う言葉だからこそ、意味や使い方をあいまいにしたまま口にしている人も多いかもしれません。似た表記の「一所懸命」とは何が違うのか、ビジネスではどう言い換えると自然なのか、英語ではどう表すのか…。
意味を把握すると、何気なく使っていた言葉の印象は少しずつ変わっていくものです。この記事では「一生懸命」について見ていきましょう。
「一生懸命」とは?
まずは、意味を確認します。
意味
「一生懸命」には、大きく2つの意味があります。現在よく使われるのは、「命がけで事に当たること。また、そのさま」という意味です。日常会話や文章では、文字通り命をかけるというより、物事に全力で取り組む様子、力を尽くして向き合う様子を表す言葉として使われています。
もう1つの「引くに引けないせっぱ詰まった場合。瀬戸際」という意味は、現代の日常会話ではあまり一般的とはいえないでしょう。
辞書では次のように説明されていますよ。
いっしょう‐けんめい〔イツシヤウ‐〕【一生懸命】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
[名・形動]《「一所懸命」から》
1 命がけで事に当たること。また、そのさま。「―に働く」「―探しまわる」
2 引くに引けないせっぱ詰まった場合。瀬戸際。
「―の敵(かたき)を防ぐ」〈風来六部集・放屁論〉

「一生懸命」の使い方
「一生懸命」は頻繁に使われている言葉ですが、具体的な使い方を例文とともに見ていきましょう。
私は何ごとにもベストを尽くし、一生懸命がんばれるのが強みです。
自分の強みや取り組む姿勢を伝えたいときに、「一生懸命」を使うことがあります。例文は、物事に全力で向き合える姿勢をアピールする一文です。
ただし、自己PRでは「一生懸命がんばれる」だけでは抽象的に聞こえてしまうでしょう。どのような場面で、どのように力を尽くしたのかを添えると、説得力が増します。
一生懸命に努力したのですが、私の力が足りず申し訳ありません。
全力で取り組んだものの、結果が伴わなかったことを伝える表現です。謝罪や報告の場面で使う場合は、「一生懸命に努力した」という言葉だけで終えるのではなく、結果、反省点、今後の対応まで添えると、より誠実に伝わります。
スキルや能力が未熟だからこそ、一生懸命やるしかない。
経験や知識が十分でない場面でも、目の前のことに全力で向き合う姿勢を表しています。「一生懸命」は、能力の不足を気合で補う言葉ではありません。物事に誠実に力を尽くす様子を伝える言葉として使うと、自然な表現になります。

「一生懸命」を使う際に気をつけたいこと
「一生懸命」は、前向きな姿勢を伝えやすい言葉です。ただし、頻繁に使いすぎると、かえって印象が弱くなることがあります。特にビジネスシーンでは、「一生懸命やります!」だけでは具体性に欠けるため、何に力を尽くすのかをあわせて伝えることが大切です。
また、「一生懸命」は親しみやすい言葉である一方、改まった場面ではやや幼く聞こえることもあります。その場合は、「努力します」「精進してまいります」「誠実に対応いたします」「力を尽くします」など、相手や場面に合う表現を選ぶといいでしょう。
「一所懸命」と何が違う?
「一所懸命」は、もともと一か所の領地を命をかけて生活の頼みにすること、また、その領地を表す言葉でした。そこから、命がけで物事をすること、そのさまを表す意味でも使われるようになりました。
『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)では、元来の語は「一所懸命」であり、領土を命を懸けて守る意味だったものが、発音の類似と意味の類推から「一生懸命」に変わったと説明されています。
参考:『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)
「一生懸命」の類語
「一生懸命」には複数の類語があります。言い換えの表現に使えますので、それぞれの意味を見ていきましょう。

「一途」
「一途」は、他を考えずに一つのことに打ち込むこと、また、そのさまを表す言葉です。「一途に取り組む」「一途に努力する」のように使います。
「一生懸命」が全力で取り組む様子を広く表すのに対し、「一途」は、一つの物事や相手に気持ちが向かい続ける様子を強く表します。努力の姿勢だけでなく、思いの深さを表す場面にも使われる言葉です。
《例文》彼女は一途に努力を重ね、ついに夢を実現させた。
「真剣」
「真剣」は、まじめに物事に対するさま、本気で物事に取り組むさまを表す言葉です。「真剣に考える」「真剣に取り組む」のように使います。
「一生懸命」が行動に力を尽くす様子を表しやすいのに対し、「真剣」は、考え方や態度の本気度を表すときにも向いています。ビジネスの場面では、「一生懸命取り組みます」よりも「真剣に取り組みます」の方が、落ち着いた印象になるでしょう。
《例文》将来を真剣に考えた結果、転職することを決めた。
「本気」
「本気」は、まじめな気持ちや真剣な気持ちを表す言葉です。「本気を出す」「本気で取り組む」のように使います。
「一生懸命」が、力を尽くして取り組む行動の様子を表しやすいのに対し、「本気」は、その人の気持ちや覚悟に焦点が当たる言葉です。「本気で取り組む」と言うと、単に努力するだけでなく、気持ちの面でも真剣であることが伝わります。
《例文》本気で取り組めば、結果にかかわらず得るものがあるはずだ。
「一心不乱」
「一心不乱」は、心を一つの事に集中して、他の事に気を取られないことを表す言葉です。「一心不乱に祈る」「一心不乱に研究する」のように使います。
「一生懸命」が全力で取り組む姿勢を広く表すのに対し、「一心不乱」は、集中の度合いが強い場面に向く言葉です。単に努力していることを伝えたい場合は「一生懸命」、他のことが目に入らないほど集中している様子を伝えたい場合は「一心不乱」が合います。
《例文》一心不乱に勉強し、第一志望に合格した。
参考:『デジタル大辞泉』、『使い方の分かる 類語例解辞典』(ともに小学館)
「一生懸命」に関するFAQ
ここでは、「一生懸命」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「一生懸命」とは、どのような意味ですか?
A. 「一生懸命」は、物事に全力で向き合い、力を尽くす姿勢を表す言葉です。
Q2. 「一生懸命」と「一所懸命」は何が違いますか?
A. 「一所懸命」は、もともと一か所の領地を命を懸けて守る意味から使われた語です。「一生懸命」はそこから生じ、現代では一般的な表記として広く使われています。
Q3. 「一生懸命」のビジネスでの言い換えは?
A. ビジネスでは、「真剣に取り組みます」「力を尽くします」「誠実に対応いたします」「精進してまいります」などが使いやすい表現です。相手や場面に合わせて選ぶと、落ち着いた印象になります。
最後に
「一生懸命」は、力を尽くして物事に向き合う姿勢を表す、まっすぐな言葉です。意味の近い言葉との違いを知ると、自分の思いをより自然に伝えやすくなりますね。
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