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「敬称略」という言葉を使ったことはありますか? ビジネスシーンなど、目上の人がいる場で用いる言葉であるため、実際に使う際は、間違えていないか、失礼にならないか、と気になりますよね。「敬称略」という言葉について詳しく見ていきましょう!
敬称略の意味は?
敬称略は、そのまま「けいしょうりゃく」と読みます。意味は、敬称を省略すること。その言葉には、「本当は敬称を使いたいのですが、分かりにくくなることを避けるため、省略させていただきます」というお詫びや確認の気持ちが込められています。
敬称とは?
敬称とは、役職や「様」「先生」「さん」など、相手に敬意を表すために名前の後に付けるもののことです。
なぜ敬称を付けるの?
呼び捨てだと失礼にあたる場面、例えばビジネスシーンや学校、公のイベントなどでは、目上の人や、外部の人に対して敬称をつけますね。敬称を付けることで相手と良い関係を構築でき、円滑なやり取りが期待できます。
どんな時に敬称を略す?
円滑な関係に欠かせない敬称ですが、そんな敬称を略す場面とは、一体どんな時なのでしょうか? 普段は敬称を使うビジネスや冠婚葬祭などでも、参加者が多い会議やイベントの名簿や議事録では、敬称を略すことがあります。
敬称を略す目的は、見づらさや読みづらさを避けること、そして書類作成にかかる手間を省いたり、進行をスムーズにすること。書類上で敬称を省略する時は、必ず「(敬称略)」と記載し、祝電等を読み上げる時は、敬称を略する旨をあらかじめ言っておきましょう。
「敬称略」はどこにいれる?
書類上で敬称を省略する場合、「(敬称略)」はどこに記載すればいいのでしょうか? 先ほど伝えたように、敬称略は参加者が多い会議やイベントの名簿や議事録に使われます。参加者一覧を載せる始めの部分に、「(敬称略)」と明記しましょう。具体例をいくつか挙げて紹介しますね。
・議事録
出席者(敬称略):鈴木太郎
・式典名簿
ご来賓名簿(敬称略、順不同):山田花子
敬称略は、「順不同」と合わせて使われることも多いので覚えておきましょう。「順不同」の意味は、「記載された名前は、地位や年齢、50音順などに関係なく無作為に並べています」という意味。
・出席者一覧
出席者一覧(敬称略、50音順):佐藤一郎
「50音順」と合わせて使われることも多いです。役職順に記載するのは神経を使うものですが、50音順に記載してしまえば、間違いがないのでかなり楽になりますね。
使い方の注意点
便利な敬称略ですが、相手に失礼にならないよう、使う際には注意したいポイントも。5つの注意点を確認して、正しく気持ち良く使えるようにしましょう。
少人数の時は使わない
敬称略を使うのにふさわしいと考えられているのは、参加人数が多い時です。少人数の時は敬称を省略せず、丁寧に記載しましょう。しかし、人数について具体的な決まりはありません。一般的には、10人以上であれば敬称略を用いても良いと考えられているようです。
「敬称略」の表記を忘れない
前述したように、「敬称略」には敬称を省略するという意味だけでなく、「敬称を省略する旨をお詫びする」というニュアンスが込められています。そのため、敬称略を記載し忘れてしまうと、何の断りもなく相手を呼び捨てにしたことになり、失礼だと受け取られてしまう可能性も。本来付けるべき敬称を省略する時は、しっかりと「敬称略」で断りとお詫びを入れましょう。
社内と社外の違い
ビジネスでの書類において、社外の人が含まれる場合は、敬称を略す場合でも、企業名を名前の後に記載します。また、社外の人を先に記載し、社内の人は後に記載します。
役職順にしない場合は順不同と記載
参加者の敬称を省略する場合も、基本的には役職順に記載しましょう。役職順にしない場合は、敬称略に加え「順不同」と記載するのを忘れないようにします。
メールでは使わない
敬称略はメールでも使えるのでしょうか? 基本的には、メールではきちんと敬称をつけ、省略することは避けたほうが無難です。敬称略は、ビジネスやイベントの参加者名簿や議事録、冠婚葬祭で使うものであると覚えておくといいかもしれませんね。
英語表現は?
会議やイベントは国内だけでなく海外でもありますよね。そんな時に、敬称略の英語表現を覚えておくと便利です。
1:titles omitted
日本語と同じように、参加者一覧の後に(titles omitted)と記載して(敬称略)と同じように使用可能。titleは、「表題、題名」という意味以外にも「称号、肩書き」という意味があります。omitは「省略する、省く」。
2:(Names listed) without honorifics
honorificは「敬語、敬称」、withoutは「〜なしで」という意味。Names listedは「名簿」なので、訳すと「敬称略の名簿」に。honorificはtitleと組み合わせて使われることも多く、honorific titleでも「敬称」を意味します。
3:We have omitted honorific titles here./We haven’t used any titles here.
文章で敬称を省略している旨を説明することも可能です。「We have omitted honorific titles here.」と言えば、「ここでは敬称を省略させていただきました」という意味に。また、「We haven’t used any titles here.」で「ここでは敬称を使っておりません。」つまり「省略させてもらいました」という意味になります。
4:random order/in alphabetical order
敬称略とセットで使われることが多い「順不同」や「50音順」の英語表現も、この機会にチェックしておきましょう! Random orderは順不同、In alphabetical orderは50音順という意味です。(敬称略、順不同)と書き表したい時は(titles omitted, random order)とすればOK。
最後に
ビジネスシーンなどでよく使う「敬称略」について、意味や使い方、英語表現まで解説しました。相手に失礼がないよう、きちんとルールやマナーを守って、便利に使いましょう!
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