この記事のサマリー
・自己矛盾とは、一般に自分の主張や行動の中に相反する要素を含む状態を指す言葉です。
・言行不一致だけでなく、考えや方針の内部にある食い違いも広く意味に含まれます。
・単なる迷いや感情の揺れまで、すぐ自己矛盾と呼ぶのは不自然でしょう。
「自己矛盾」という言葉を聞くと、言っていることと行動が違う人を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、もう少し複雑な含みを持つ言葉です。会話や仕事の場面で何気なく使うと、相手への強い評価として伝わってしまうこともあります。
似た言葉との違いを知ると、これまで曖昧だった使い方の輪郭が少しずつ見えてくるはず。この記事では「自己矛盾」について、見ていきましょう。
「自己矛盾」とは?
まずは、「自己矛盾」の意味やから確認していきましょう。

意味
「自己矛盾」は、論理や実践の中に、自分自身を否定する要素が含まれていることを表します。
辞書では次のように説明されていますよ。
じこ‐むじゅん【自己矛盾】
引用:『デジタル大辞泉』(小学館)
論理や実践において、自己の中に自己を否定するものを含んでいること。「―に陥る」
つまり「自己矛盾」は、自分の主張や考え、行動の中に、それと相反する内容が含まれている状態を指す言葉です。
発言と行動が食い違う場合にも使えますが、それだけに限りません。ある主張の中に、その主張を成り立たなくする内容が含まれている場合や、自分の方針と実際の行動がかみ合っていない場合にも用いられます。
「自己矛盾」の使い方
ここからは、「自己矛盾」の使い方を具体的な例文とともに見ていきましょう。
「自分の意見を持つべきだ」と言いながら、他人の意見を少しも認めない彼の態度には、自己矛盾がある。
「自分の意見を持つべき」と主張するなら、他人が別の意見を持つことも認める必要があります。しかし、それを否定しているため、自分の主張と態度が食い違っています。
環境保護の大切さを訴えながら、使い捨ての商品を大量に買い続ける生活には、自己矛盾が見られる。
環境を守るべきだという考えと、環境に負担をかける行動が同時に存在しています。言っていることと実際の行動が反対方向を向いている例です。
平和を実現するためだと言って暴力に訴える考え方は、自己矛盾を抱えている。
平和とは争いや暴力のない状態を目指すものです。それを実現する手段として暴力を選ぶと、目的と方法が矛盾してしまいます。

「自己矛盾」の類語や言い換え表現は?
ここからは、「自己矛盾」と似た言葉を見ていきましょう。「自家撞着」「矛盾撞着」「パラドックス」を紹介します。
「自家撞着」(じかどうちゃく)
「自家撞着」とは、同一人物の文章や言動が前後で食い違い、合わないことを意味します。
「自己矛盾」と近い意味を持つ言葉です。
《例文》説明を続けるうちに、前に述べた内容と食い違い、自家撞着に陥っていることに気づいた。
「矛盾撞着」(むじゅんどうちゃく)
「矛盾撞着」は、前後のつじつまが合わないことを意味します。
「撞着」は、つきあたることを意味する語で、「矛盾撞着」は、前後の内容が食い違い、論理が合わない場合に使われます。
「自己矛盾」と近い場面で使われることもありますが、必ずしも自分自身の内部の食い違いだけを指すわけではありません。
《例文》説明の前半と後半で前提が変わっており、全体として矛盾撞着をきたしている。
「パラドックス」
「パラドックス」とは、一見すると真理に反するように見えて、実は一面の真理を言い表している表現、または正しい推論から導かれているように見えながら、結論で矛盾をはらむ命題を指す言葉です。
「自己矛盾」は、自分の主張や行動の中に、それを否定する内容が含まれている状態を表します。一方、「パラドックス」は、逆説的な表現や、結論で矛盾をはらむ命題に重点があります。
どちらも矛盾に関わる語ですが、自己矛盾は「自分自身の内部の食い違い」、パラドックスは「逆説的な表現や命題」と整理するとわかりやすいでしょう。
《例文》一見すると不自然に思えるが、その言葉にはパラドックスとしての面白さがある。
「自己矛盾」に関するFAQ
ここでは、「自己矛盾」に関するよくある疑問と回答をまとめました。参考にしてください。
Q1. 「自己矛盾」とはどういう意味ですか?
A. 「自己矛盾」とは、論理や実践において、自分自身を否定する要素を自分の中に含んでいる状態を指します。発言と行動が食い違う場合だけでなく、主張や考え方の中に相反する内容がある場合にも使われます。
Q2. 「自己矛盾」と「矛盾」はどう違いますか?
A. 「矛盾」は、二つの物事のつじつまが合わない状態を広く表します。一方、「自己矛盾」は、その食い違いが同じ人の考えや主張、行動の内部にある場合に使います。
Q3. 「自家撞着」と「自己矛盾」は同じ意味ですか?
A. 近い意味で使われます。
最後に
自分や誰かの発言に食い違いを感じたとき、「自己矛盾」という言葉を責めるために使うより、何と何が合っていないのかを静かに見つめるきっかけにできるといいですね。
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