「徹頭徹尾」という四字熟語をご存知ですか? 国語の教科書などで目にしたことはあるものの、意味はよくわからないという方も多いかもしれません。ビジネスシーンや座右の銘として用いられることもある言葉なので、正しい意味を押さえておくといいでしょう。本記事では、「徹頭徹尾」の意味や使い方、同じ意味を持つ四字熟語を解説します。
「徹頭徹尾」とは?
「徹頭徹尾」の読み方は、「てっとうてつび」。意味を辞書で確認していきましょう。
[副]最初から最後まで。あくまでも。終始。「―反対の立場を貫く」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「徹頭徹尾」とは、最初から最後まで同じ方針・考えを貫くさまを表します。「どこまでも」「始終」とも言い換えられますね。揺るぎない強い意志や主張を表すため、政治やビジネスシーンなどで用いられる言葉でもあります。
「徹頭徹尾」には、「徹」という文字が2つ入っています。「徹」は「徹夜」「徹底」という言葉にも使われているように、「貫き通す」という意味。最初という意味合いを持つ「頭」と、最後という意味を持つ「尾」と合わせて、「最初から最後まで貫き通す」という意味になります。
使い方を例文でチェック!
ビジネスシーンや政治の世界で、一貫した考えを主張したい時に、「徹頭徹尾」が使われます。社会人として耳にする機会も多い表現であるため、正しい使い方を覚えてみてください。
1:高層ビル建設に伴う商店街の取り壊しには、徹頭徹尾反対だ。
ある方針に対して、断固として反対する場合に、「徹頭徹尾反対だ」と表現します。昔ながらの景観を残したいという地元住民と、建設会社側の意見が食い違っていることがわかりますね。「反対」などの否定的な言葉がつく時には、否定の意味が強調される効果があります。
2:彼とは裁判で徹頭徹尾戦う所存です。
「徹頭徹尾」は、時に「徹頭徹尾戦う」と表現することもあります。相手との主義主張が異なり、真っ向から意見を戦わせたいという意味ですね。決して、主張を変えたり、相手の主張に屈することはないという強い意志が感じられます。
3:我が社は、徹頭徹尾お客様ファーストを心がけます。
例文のように「徹頭徹尾」は、企業理念や会社のスローガンなどにも使われます。揺るぎない信念を伝えることができるでしょう。一方で、途中で変更されたり、矛盾した言動をとっていると、企業理念との食い違いを指摘される可能性も。一貫性を約束できない場合は使わないほうがいいでしょう。
類語や言い換え表現は?
ずっと同じことを貫き通すという意味を持つ四字熟語に、「終始一貫」「初志貫徹」「首尾一貫」などがあります。「初志貫徹」は、「徹頭徹尾」と同じく座右の銘として用いられる言葉でもあります。1つずつ意味を見ていきましょう。
1:終始一貫
「終始一貫」は、「しゅうしいっかん」と読みます。意味は以下のとおりです。
[名](スル)態度・状態などが、始めから終わりまでずっと変わらないこと。「―して主張を曲げない」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「終始一貫」も、初めから終わりまで変わらないことを表します。「終始一貫して主張を曲げなかった」というように、頑なに主義主張を変えようとしない態度をとっている人に対して使われることも。意志が強いことがわかりますね。
(例文)
・祖父は終始一貫して昔ながらの製法を変えなかった。
・彼は終始一貫して弱音を吐くことがなかった。
2:初志貫徹
「初志貫徹」は、「しょしかんてつ」と読み、「最初に思い立った志を最後まで貫き通すこと」を意味します。「初志」は、文字通り「最初の志」。「貫徹」は、「最初から最後まで貫き通っていること」。最初にたてた目標や夢を諦めずに成し遂げたいという思いから、座右の銘に選ぶ人も多い四字熟語です。
(例文)
・受験に合格するために、兄は初志貫徹を座右の銘にした。
・目標を初志貫徹できたおかげで課長に昇進できました。
3:首尾一貫
「首尾一貫(しゅびいっかん)」の意味は以下のとおりです。
[名](スル)方針や考え方などが始めから終わりまで変わらないで、筋が通っていること。「―した論理」
『デジタル大辞泉』(小学館)より引用
「首尾一貫」も、方針や考え方が最初から最後まで変わらないことを指します。ここでも、「徹頭徹尾」のように体の一部である「首」が使われていますが、「頭」と同じく「最初」をという意味です。気持ちや態度が決して揺るぐことなく、一本筋が通っている状態ですね。
(例文)
・彼女は小学校から大学まで首尾一貫してピアノを習っていた。
・母親の教育方針は首尾一貫して変わることはなかった。
対義語は?
「徹頭徹尾」と反対の意味を持つ言葉には「竜頭蛇尾」が挙げられます。「竜頭蛇尾(りゅうとうだび)」とは、「初めは勢いがいいが、終わりは振るわないこと」。試合や選挙など最初は盛り上がりを見せて、調子が良かったものの、結果的に勢いが衰えてしまうことを指します。「竜頭蛇尾に終わる」と表現されることが多いですね。
「竜頭蛇尾」の漢字を紐解いていくと、「頭が竜のようで、尻尾が蛇のようであること」。竜は想像上の動物で、体は大きな蛇に似て、4本の足、2本の角、耳や髭を持ち、天に登り雲を起こして雨を降らす霊力があるとか。そんな神聖な存在であるものの、尻尾は蛇のようであるということで、最後は尻つぼみに終わるという結果を表す言葉となりました。
「徹頭徹尾」となんとなく字面が似ていますが、意味は全く異なるものなので混同しないようにしたいですね。
(例文)
・住民からの野次が飛び、演説は竜頭蛇尾に終わった。
・終盤相手に攻め込まれ、試合は竜頭蛇尾に終わった。
最後に
「徹頭徹尾」とは、「最初から最後まで同じ考えを貫き通すこと」。政治の世界では、「徹頭徹尾反対します」などと強い主義主張を表したり、座右の銘や企業理念に使われるなど大人としては頭に入れておきたい言葉です。ビジネスシーンでは、一貫した姿勢や揺るぎない態度が信用につながることも多いもの。この機会に、「徹頭徹尾」の意味と使い方をマスターしてみてはいかがでしょうか?
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