「どんな仕事も、同時にそつなくこなしている」。そういうマルチプレーヤーが周りにいたら、その人は「三面六臂」な人、と言えます。見習いたい憧れの存在といったところでしょうか。本記事では、「三面六臂」の意味や読み方、その人の特徴を紹介します。
「三面六臂」の読み方と意味は?
「三面六臂」は「さんめんろっぴ」と読みます。「三面」の「面」は「顔」を表す言葉で、3つの顔のこと。一方で、「六臂」の「臂」は「腕」を表す言葉。「六臂」とは、6本の腕を意味します。
「三面六臂」は3つの顔と6本の腕から転じて、一人で数人分もの働きをすることを表す四字熟語です。
3つの顔と6本の腕と聞くと、誰もが知っている有名な仏像がありますね。奈良県・興福寺にある「阿修羅像(あしゅらぞう)」です。阿修羅像には3つの顔があり、右脇面が怒り、左脇面が苦悩、正面がお釈迦様の教えを聞いて悟りを開いた顔を表し、手は6本あることで、多くの働きをすることを表しています。
1つの体に3つの顔と6つの腕があれば、数人分の働きができますね。そこから転じて、1人で何人分もの働きをすること、多方面で素晴らしい活躍をすることを意味するようになりました。
今自分ができることをしっかりと積み重ねていくことで、「三面六臂」の活躍ができるビジネスパーソンを目指したいですね。
「三面六臂」の人の特徴は?
「三面六臂」の人には、共通した特徴がいくつかあるようです。一緒に見ていきましょう。
1:効率的に行動する
「三面六臂」の人は、時間を最大限に活用し、効率的に仕事をこなします。多才な能力があり、一人で複数の仕事を同時進行できるので、成果を迅速に達成すると言えるでしょう。その存在は、チームに効率性と生産性をもたらすと言えます。
顔や腕と同じく、時間は誰にも等しく同じだけ与えられている有限なもの。それゆえに、「長く」行うことは難しく、「効率的に行動」するしかありません。
2:柔軟性がある
変化に対応し、柔軟に行動できるのも「三面六臂」の人の大きな特徴です。新しい状況や挑戦に直面しても、すばやく対応し、適切な解決策を見つけ出します。その柔軟性は、多くの人々にとって参考となり、周囲の人の模範となるでしょう。
3:リーダーシップがある
「三面六臂」の人は、他の人々に影響を与える力を持っています。行動力ともたらす成果は、他の人々にインスピレーションを与え、リーダーシップの資質を発揮するでしょう。どんな困難な状況でもチームを鼓舞し、前進させます。
4:バランス感覚がある
複数の仕事をこなせるのも、高いバランス感覚があるから。仕事とプライベートの両面で充実した生活を築き、健康と家庭円満を保つための努力を惜しまない姿勢も見受けられます。そのバランス感覚は、周囲の人々にも影響を与え、良い生活の指針にもなるでしょう。
「三面六臂」と「八面六臂」の違いは?
「三面六臂」に似た四字熟語に、「八面六臂(はちめんろっぴ)」があります。「八面六臂」は、「三面六臂」がもとになっている四字熟語。意味は同じになります。ただ、「八面」の方が「広い範囲」を表すことから、「三面六臂」よりも「八面六臂」の方が、多方面にわたり活躍するといった意味合いになるようです。
仕事ができて、スポーツも万能で、ピアノも弾けて、絵画も上手く、気遣いがあり、周りにいつも仲間がいて… 。「八面六臂」の人は、ビジネスにおいて、超人的なビジネスパーソンと言えそうですね。
ストレス耐性があり、自己コントロール力にも長けているのではないでしょうか。自分軸がしっかりしているからこそ、どんなことが起こっても、冷静に対処をしていけると言えます。
活躍する人を表す四字熟語
「三面六臂」と同じように、活躍する人を表す四字熟語があります。ここでは、読み方とともに4つ紹介しましょう。
1:雲蒸龍変(うんじょうりょうへん)
「雲蒸」は雲が沸き立つこと。「龍変」は龍が思うままに動きまわること。雲が群がり湧くのに乗じて、蛇が龍となって天に昇ることから転じて、英雄・豪傑が時機をとらえて大いに活躍することの例えです。
どんなに実力がある人物でも、タイミングを見計らって自分の才能を発揮することが重要と言えます。
2:蛟龍雲雨(こうりょううんう)
「蛟龍」は、雨が降ると龍になり、天に昇るという古代中国の想像上の動物。水中に棲む蛟龍は雲や雨があれば、それに乗って天に昇り龍になると言われることから、能力を発揮する機会の無かった英雄や豪傑が、機会を得て能力を発揮することの例えです。
努力をして結果を出していても、なかなか報われないことがありますね。部署の異動や上司が代わるタイミングで、大きく羽ばたくこともあるでしょう。
3:獅子奮迅(ししふんじん)
「獅子」はライオンのこと。「奮迅」は奮い立って、猛進するような激しい勢い。または、そのような猛烈な勢いで活動することを表します。百獣の王であるライオンが、猛りはやることから、物事に対処するのに、その勢いのはなはだ激しいこと、または迅速勇猛に行動することの例えです。
周りを圧倒するような勢いで、仕事をこなす人がいると、自分もその勢いに巻き込まれて、成長していける気がしませんか。
最後に
今回は「三面六臂」について解説しました。「三面六臂」は、「1つの体に3つの顔と6本の腕を持つ」ことを表し、転じて、一人で何人分もの働きをすることを表す四字熟語です。
「三面六臂」の人は、個人としてだけでなく社会全体にも貢献できる存在と言えそうですね。効率性、柔軟性、そしてリーダーシップの発揮が期待できます。仕事のやり方を工夫し、効率を上げて、「三面六臂」の活躍を目指したいですね。
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